2012.05.21

■目標達成?

 体重や体脂肪率を維持するための努力は、ほとんどしていないとも言えるし、ほんの小さな努力を続けているとも言える。

 ほんの小さな努力とは、無理のない範囲で炭水化物や油脂類の摂取を減らすということだ。

 ほんとにぜんぜん「無理のない範囲」なので、パスタもラーメンもうどんも蕎麦もふつうに食べる。天そばを食べたりざるそばを2枚食べたりすることもあるし、昨日はお寿司を、今日はカレーをたらふく食べた(ただし、カレーのご飯は少ない)。
 2日連続でケーキも。

 ところが、今日の体重が65kgなのである。体脂肪率は15%。

 これまでも、瞬間最大風速的にその数字になったことは何度かあるが、ここ2〜3週間、だいたいそのあたりを維持しているような気がする。
 これまで維持していたのは、66kg強、16%強。

 1kgや1%ちょっとのことなのだが、この差は大きい。ここ数年、その「1」がなかなか持続的には減らなかったのだから。

 思い当たる理由はひとつしかない。4月から始めたウォーキングである。

 夜、たった30分前後のことで、それだけでは4000歩にも届かないぐらいなのだが、やはり有酸素運動というのは有効なのだろう。Wii Fit のヨガをいくら続けても、体重は減らなかった。

 先日、新聞に「急な激しい運動は禁物です。まず、ジョギングなどの軽い運動から始めてみましょう」みたいなことが書いてあったが、正気の沙汰とは思えない。
 いきなりジョギングを始めるなど、十分に「急な激しい運動」である。ぼくらはもう、20歳ではないのだ。残念ながら。

 ときどきさぼり気味の、たった30分のウォーキングでも効果が出てきたような気がする。ほんとうに効果があるのかどうかは、8か月後の健康診断を待たねばならないけれど。

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2012.05.13

■素晴らしい時代?、素晴らしいマシン

 ここに書いたかどうか忘れたが、この夏、可能ならば中央ヨーロッパに行くことにした(あ、今思い出した、書いた)。

 可能ならばといっても、すでに航空券を買ってしまったことでもあり、何としても可能にせねばならない。
 昨日(録画で)見た「探偵! ナイトスクープ」に、「このために働いている」といって毎日酔いつぶれるまで酒を飲んでいるオッサンが出てきたが、もしそういうものが私にあるとすれば、それは旅行することだ。

 現状では、往復の航空便が決まった以外、まったく何の計画もない。『地球の歩き方 中欧』を買いはしたものの、ほとんど読んでいない。
 どこへ行けばいいんだろう。行くにはどのぐらい時間がかかるんだろう・・・

 家にあるヨーロッパの道路地図で中欧をカバーするのは、縮尺が100万分の1のおおざっぱなものだけである。買わなければならないのだが、amazonとかで見ても実際どんな地図かわからないので、実物を見るためにジュンク堂にでも行こうかなあと思っていた。
 ただ、行ってもあるかどうかわからないし、これまでみたいに現地に着いてから本屋で買ってもいい気もする。しかし、言葉がまったく通じないかもしれない国のドライブ(束の間のオーストリアの後は、たぶんいきなりのスロベニアになる)を、地図なしで始めるのもちょっとどうかと考えていた。
 ___

 そんな折り、待ち望んでいた iPad 用オフライン日本地図(MapFan)がいつの間にか発売されているのを知った。これでネット環境がない場所でも困らない。しかも特価で900円!

 たった900円で、日本全国の地図を自由自在の縮尺で見ることができる。本で揃えたら、どれぐらいの価格とどれほどのボリュームになることだろう。
 いや、何しろ、日本全国一画面表示から私の家が見える縮尺まで、無段階で表示できるのだ。理論上、紙の地図ではどれほどたくさん揃えても無理なワザである(冊数が無限大になってしまう)。
 ___

 日本にこれがあるんだから、ヨーロッパにだってあるんじゃないかという気はしていた。でも、これだって出たばかりだし、なくても不思議ではない。だめ元でと検索すると、もっとすごいものが見つかった。

 1万500円とか7千800円とかのがあって、それを買おうか、でも、試しに買ってみるには高いなあと思っていたところ、なんと無料で存在したのである(Europe - Offline map with directU)。

 まさか、こんなものが無料で手に入るなんて予想もしていなかった。半信半疑でいろいろ使ってみると、紛れもなく、ヨーロッパ全土で住宅地図レベルの縮尺までをカバーしている。アイスランドでさえ。

 いくらか問題もあるようだけれど、縮尺自在でこれだけの情報が得られれば文句はいわない。↑の7800円のナビゲーション地図を買ってもらうための広告の役割を果たしているようだが、地図としてはこれで十分である。

 驚異の廉価や無料ワールドは喜ぶべきことだけれど、こういうのが出てくると、大昔に患っていた「ソフトウェアは無料(ないしはもっともっと廉価)でなければならい」という妄想病がまたぶり返してきそうで怖い。努力やコストにはそれなりの対価が支払われてしかるべきである。

 まあ、あるものはありがたく使わせていただくわけだが・・・


 (追記)
 いまたぶん、フランス・ドイツ・イタリア・イギリスの比較的詳しい道路地図が家にある。旅先でほとんどお土産を買わない私にとっては、貴重な思い出の品だ。今回の旅行でそういうものがなくなると思うと、ちょっと寂しい。

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2012.05.11

■かなり欲しい

 今の車を買ってから11年近く経つ。走行距離も11万キロを超えた。ひとつふたつ怪しい点もあるのだが、外観はナンバープレートを除けば新車同様である。

 そのこともあるし、欲しいと思う車がなかったこともあって、車を買う気にはならなかった。ほとんどの場合、デザインが気に入らない。

 ところが、ここに来て、デザインの気に入った車が出てきてしまった。

 いや、86やBRZではない。デザインもそれなりに好きだし、試乗してみると、相当よかったのだが、いまさらライトウェイトFRに先祖返りしても仕方ない気もする。
 同世代の乗った86なんかがそのうち街に溢れるのも嫌だ。

 欲しいのは、ほとんど実用性のない高価な車。思っていたよりさらに高くて、ちょっと気持ちが萎えた。
 しかし、実にかっこいいのである。リアビューにはちょっとどうかなと思うところもあるが、フロントやサイドビューは絶賛してもいいくらいだ。

 かなり欲しい。

 仮に今注文しても納車は1年先とかになるだろうが、まだ実物も見ていないし試乗もしていない。それに、今の車だってとりあえずは快調である。

 特に何ごともなければ、2〜3年後に買うかなあ・・・ でもちょっと高いしなあ・・・

 という感じで、この2〜3年がそこそこ幸せに過ごせれば、それもいいかと思っている。結局は買わなくても。

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2012.05.06

■暑中寒

 5日の富田林は夏の陽気で快晴だった。気温は 28℃ぐらい。これ以上暑くなったら散策が不快になるぎりぎりの暑さである。

 その前日の4日は、大阪湾の浜辺にシギやチドリを見に行ったが、ときおり小雨の降る肌寒さで、ジャンパーを着てちょうどいいくらいだった。

 このブログでも何度か触れているように、この時期は暑さ寒さの落差が激しい。

 快晴だった5日にしても、夕刻には激しい雷雨があり、自宅近郊では雹まで降ったという。
 そういえば、朝も寒かった。目が覚めた時間が早かったこともあろうが、ひさしぶりに どてら を羽織って朝食をとった。
 ___

 肌寒かった4日から、5日の朝にかけて、北アルプスでたくさんの方が遭難し、8人が亡くなったという。
 このあたりの天気と関係あるのかどうかわからないけれど、向こうの気温は氷点下で、吹雪にもなったらしい。

 私などが自力では辿りつけない高みを歩いていらっしゃる方々のことだ。おそらくは、この時期の気候のことや山岳地帯の天気のことなど、私よりはよほどよくご存じだったと思う。

 だが、私が毎回、真夏のヨーロッパで震え上がるように(そして同じことが大台ケ原でも信州でも起こるように)、知識としても経験としても知っているはずのことですら、その内容が「今ここ」とかけ離れている場合には、思い出すのに多大な想像力を必要とする。

 さらに、過去の知識や経験を今回の行動に繋げるまでには、また別のハードルが立ちはだかる。

 そのハードルとは何か。

 まだよくわからないのだが、ひとつは楽観するこころ(昨年流行ったことばでいえば、「正常性バイアス」だろうか)、もうひとつは無駄を省いて楽をしたい姿勢(内田樹氏に言わせれば「消費者マインド」)ではないかと思う。
 たぶん、ほかにもいくつか要因はあるにちがいない。

 薄着で遭難したと言われている一部の方々のことを言っているのではない。いや、彼らもそうかもしれないが、自戒のためにこれを記しているのである。

 幸い、真夏のヨーロッパの街で寒さに震え上がっても、命を落とす危険はほとんどないけれど。

(後記:街ならいいが、山はどうだろう。ヨーロッパアルプスをハイキング中に雨に降られたことがあるけれど、あれが吹雪とかだったらどうなったかわからない。そもそも、真夏のアルプスのあの標高(2千数百メートル)で、気温や天気が最悪でどうなるかなんて、ほとんど考えていなかったと思う。)

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2012.05.05

■とんだ散策

 人並み以上に渋滞や混雑が嫌いだ。

 そして、ゴールデンウィークはどこへ行っても人が多いという。だから確かに、あまり出かけたりしない。

 だが、ルートと場所と方法を選べば、混雑とは無縁にささやかな行楽ぐらいはできる。
 たとえば2年前は自転車に乗って「とんだポタリング」に出かけた。

 今年は車で出て「とんだ散策」をした。2年前は大阪府北部の摂津富田、今年は南部の富田林である。

 予想どおり、途中渋滞にはまったく遭わず、寂しくない程度にしか人出もなかった。

 富田林の寺内町は、落ち着いた古い街並みの残る、関西では屈指の町である。大阪府では唯一「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているということで、重要文化財の旧宅もある。
 奈良県橿原市の今井町には劣るが、まあ、近くに住んでいるなら1度や2度ぐらいは訪れる価値はあるだろう。

 お昼はおいしい二八そばと「赤ねこ餅」と呼ばれるきな粉をまぶした柔らかいお餅を食べた。餡は入っていないが、久しぶりの懐かしい味という感じでおいしくいただいた。同じものを過去に食べたことはないんだけれど。

 その後、近くの山沿いにある新興住宅地の中にあるカフェに赴く。家人がネットで調べて目をつけていた店だ。
 「森の中のカフェ」みたいなの(たとえばこんな)をイメージしていたようなのだが、ただの住宅である。
 ウッドデッキに出れば借景で向かいの山が見えるものの、デッキには2組しか入れず、しかもタバコの煙が漂っていた。それ以外の席は個人のお宅にお邪魔しているような趣である。

 でもまあ、悪くはない。

 コーヒー一杯と、超豪華に見えるモーニングセットとの値段がほとんど同じだったので、後者を注文する。朝から夕方までいつでもOKなのだそうだ。
Dsc00424_32 ちょっと驚くようなワンプレートにコーヒーもついてくる。ついさっき蕎麦を食べたばかりなのに、すんなり入ってしまった。

 帰り、以前、両親と行った蕎麦屋で感動したおいしい鴨を扱っている店に寄り、鴨ロースを購う。
 車を降りる前、「200gにしようか、300gにしようか」とか言っていたのだが、最低でも1枚?単位なので500gになるという。「まあそれぐらいなら」と500gにする。1kgだと言われたらどうしただろう・・・
 家人によると「小売り歓迎」とか書いてあったそうで、それは要するに、本来は卸売りをする店だということのようだ。

 いつも食べている牛肉の1.5倍ぐらいの値段なのだが、さっとソテーして食べると、やはりそれなりにおいしい。
 それなりなのは、もちろん私が焼いたからで、きちんと料理すれば絶品になるに違いない。

 まだ半分以上残っているので、残りは鴨鍋にしようと思っている。
 ___

 連休もあと1日で終わりなのだが、「DLife で録画したアメリカドラマ視聴作戦」はほとんど進んでいない。録画したのが減るどころか、むしろ増え気味である。減らすためには実質45分ぐらいのを1日3本以上見なければならないのだが、なんだかんだでそんなには見られない。

 明日も、買い物をしてから家人の実家に行く予定だ。

 こうして、今年の連休もあっという間に終わってしまう。

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2012.05.04

■フェア・ゲーム あるいは アメリカの免罪符?

 ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ。

 久々に声を大にして伝えたい、素晴らしい傑作。

 原作となる The Politics of Truth および Fair Game が書かれ、こんな映画が作られて、出版・上映されたことが、アメリカをかろうじて「まともな国」にとどまらせている。

(Fair Game, 2010 U.S.A.)
The Politics of Truth: Inside the Lies that Led to War and Betrayed My Wife's CIA Identity, 2004 Joseph Wilson)
Fair Game: How a Top CIA Agent Was Betrayed by Her Own Government, 2008 Valerie Plame Wilson)

※標題に「免罪符」と書きましたが、もちろん、こんなもので免罪されるわけではありません。

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2012.05.03

■初めての e

 胸ポケットにはいつもデジカメを入れている。
 そのために、「世界最小・最軽量」みたいなやつを手に入れてきたのだが、最近は機能が充実しすぎて、少し分厚く、重くなってしまっている。
 着崩れるのがどうこうとかいうタイプではないのだが、そのせいで無様になるのもどうかと思っていた。

 昨夜、ショッピングモールで鞄屋さんの前を通りかかり、ベルトに通すことができるケースがあるのを見て、こういうのを買えばいいのだと思い立った。実際、双眼鏡をそうやって持ち歩くこともある。

 だがもちろん、その辺の店に適当なのがあるわけはない。
 スマートフォン用ならあるだろうからと思ってネットで探したが、大きさが合わない。そうこうするうち、デジカメにだってそういう専用ケースが出ているのを知った(当たり前か・・・)。

 しかし、いいのがない。

 似たような大きさなので、メーカにこだわらず探しても、そもそもベルト通しがついているものが少ないのだ。気に入ったのが2つ見つかったのだが、いずれもついていなかった。廃番の在庫処分で安かったのに、残念である。

 そんな中、やっと「これだ」というのを見つけた。しかも SONY の CyberShot 用。完璧である。
 問題は、数年前に生産を終了していることだ・・・

 それでも最初はなめていた。型番がわかったのだ、広いネットの海を検索すれば・・・

 ところがないのである。kakaku.com にも楽天にも、Yahoo オークションにすら。
 ひとつだけ、amazonであっさり見つかったのだが色違いで、価格もほとんど旧定価のまま。安ければ何かの縁だと思って違う色でも買うのだが、どうも食指が動かない。

 この辺まで来ると意地になって探し出す。この情熱を仕事に向ければと思うのだが(いや、たまには向けてます)、これが自分なのだ、仕方ない。

 Google で検索して2ページ以降を見ることすら稀なのだが、7ページ目、8ページ目と進んでいく。すると、eBay にならいくつか出ているのがわかった。アメリカ映画を通して名前だけは知っている、世界最大のインターネットオークションサイトである。

 狙った色はやはりないのだが(世界中探してもないのだろうか・・・)、目をつけたのは約85%引きのもの。もちろん新品で、出品者の評価も非常に高い。
 カナダから送ってくるので送料が気になるのだが、それを入れても半額以下である。これまで eBay を利用しようと思わなかった最大の理由は送料がかかりすぎるだろうということだったのだが、こういうこともあるのだ。

 これも何かの縁だと思い、さっそく会員登録して購入手続きをする。eBay の会費を取られたりしないか、個人相手にどうやって支払うのかなど気になったが、いずれも杞憂のようだ(買うだけなら会費は無料だし、クレジットカードを利用した PayPal というシステムで簡単に支払いができるらしい)

 品物が着くまではどうなるかわからないが、今後、急がないものは eBay で買うことも選択肢に入ったのは朗報だ。

 うーん、でも・・・

 やっぱり地域経済や地球環境のことなんかが頭をよぎって素直には喜べない。

 (追記)
 この2日後ぐらいに、無事「落札」され、今日(2012年5月14日(月))品物がカナダから届いた。思ったより早かった。日本に住んでいながら、SONY の製品をカナダから85%引きで個人輸入するというのは、やはり何だか不思議である。

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2012.04.29

★やっぱり86にしようかなあ・・・

 スバルのBRZに試乗したいと思って販売店に電話すると、留守番電話が出て、4月28日から5月4日まで7連休だという・・・ しかもどの店舗も。

 何じゃそりゃ。
 私でさえ、カレンダーどおりの予定なのに。

 労働者にとっては言祝ぐべきなのだろうが、せめてゴールデンウィークを外して休むとかできないのだろうか。

 この書き入れ時に売る気はないのか?
 それとも、GWにディーラーに行こうなどという人はほとんどいないのかな?

 86ではなくBRZにしようと思っていたのだが、販売店がこうだと不安になる。

 やっぱり86にしようかなあ(ウソ、買う予定はありません)。

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2012.04.19

★屋号のない洋食屋?

 今年度から、というわけでもないのだが、家人に付きあって夜のウォーキングを始めた。
 ふたりとも運動不足がひどくて、太っていないのに血液検査の数値が高い(何の?)。

 息子が塾に通っていた1年間だけ、塾のある日に歩いていたのを覚えているので、4年間のブランクがある。

 都合でできない日もあるし、この際心を入れ替えて、通勤の際にもなるべく歩いたりしている(いつまで続くかわからないけど)。

 ただ、遠い方の職場へ行く日は車なので、なかなか歩くというわけにもいかない。
 徒歩と電車でも通えるのだが、時間もかかるし利便性も格段に落ちる。車をやめるという選択肢は今のところない。

 そこで、職場から最寄り駅まで歩いて昼食を食べにいくことにした。また職場に戻ることになるので、いちおう往復歩ける。
 桜は散ったが気候はいい。1週間前に同じことをやれば満開の桜だったと思うのだが、後の祭りである。

 ともかく・・・

 駅近くを歩いていると、路地裏の小さな家の前に、譜面台に楽譜を広げたようなメニューが置いてあった。
 メニューがあるからには店だとは思うのだが、ためつすがめつ眺めても看板らしきものが見当たらない。隣との間に隙間もなければ家の前に庭もない、いきなり外壁で入り口の、間口の狭い家である。玄関?の横には自転車が置いてある。

 なんとなく風の噂で聞いたことのある(というよりインターネットで見たことのある)洋食屋ではないかと思うのだが、入る勇気がない。
 玄関前でメニューを眺めていると、「ごちそうさま」といって客らしき人が出てきた。

 やはり洋食屋なのだ。

 しばらく考え、意を決して入ろうとすると、また客が出てきた。入れ違いに入る。

 店内はカウンターのみ。ややくたびれた、どちらかというとちょっと小汚い感じが拭えない店である。ご夫婦と思しきお二人の対応も、ホスピタリティにあふれているとは言いがたい。

 ちょっと失敗したかなと思いつつ、スパゲティを注文する。奥さん?は、ちょっと驚いたような表情をした後、申し訳なさそうに「かなーりお時間がかかりますけど、よろしいですか」とおっしゃる。
 ただならぬ時間の長さを予想した私は「どれぐらいですか」と聞く。「20分、いや、30分ぐらい・・・」

 確かに、「混雑時にはスパゲティの注文をお断りする場合があります」とメニューに書かれていた。でも、断りたいという感じでもなかったし、乗りかかった船だったので「そちらがよろしければ、それでお願いします」と注文してしまった。

 微妙な空気が流れ、何だか申し訳ない気分になる。
 他の客はほとんど日替わり定食を食べているようだ。

 だがまあ、注文を受けたご主人?は、眉ひとつ動かすことなく淡々としている。

 私のためだけに湯を沸かし、フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ、アンチョビを刻んでツナ缶を開ける。
 それなりに待たされたが、パスタが鍋に入ってしまえば10分以内に料理が出てくることは確実だ。計ってみると茹で時間は5分だったが、ご主人はタイマーや時計を使わず、ときどき茹で具合を確認しつつ茹で上げた。

 長くなるので結論を書こう。

 スパゲティはとてもおいしかった。いろんな店で食べているが、たぶん1,2を争うのではないかと思う。

 日替わり定食やハヤシライスやオムライスやハンバーグやカレーがメニューに並ぶ洋食屋の出すスパゲティとはとても思えない。その辺の専門店より確実においしい。

 一緒に出されたフランスパンは一部が焦げていて、ちょっとどうかと思うものの、このパスタが食べられるなら、たぶんまた来るだろうと思った。

 店の人の愛想も特に悪いわけではない。客のほとんどは常連のようだが、話しかけられると、静かにぼそぼそという感じで会話している。楽しそうには見えないが、嫌々しゃべっている感じでもない。そういう人柄なのだろう。

 こんな店に看板がないなんて・・・ もしかしたら「名もなき店」を気取っているのだろうか?

 店を出てから改めて看板を探すと、15センチ四方ぐらいの赤茶色(訂正:緑色)の石に彫られた店名を知ることができた。右下に小さく彫ってあるだけなので、近づかないと読めない。看板というよりは表札である。

 やはりというか、ネットで風の噂を聞いていた、あの洋食屋らしい。帰宅して調べると、ほとんど「絶賛」されている。

 あんな店が、あんなところに埋もれているとは・・・

 ハヤシライス・オムライス・ハンバーグ・エビフライ・カレー・・・みたいなメニューなのだが、どれもあのパスタのようにおいしいのだろうか。

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2012.04.14

★驚きの DLife

 BS放送で DLife というチャンネルがあるのをたまたま知った。

 ほんとうに「たまたま」で、たった1回、新聞の記事で読んだだけだ。それ以前も以降も、どんなメディアからも存在を知らされたことはない。
 知らない人も多いのではないかと思う。

 ご存じない方はウェブサイトをご覧になればわかるが、アメリカの人気テレビドラマをこれでもかというぐらい見せてくてるチャンネルである。しかも、吹き替え版も字幕版もほぼ並行して。
 前者でも音声を英語にして吹き替えの日本語を字幕表示することもできる(その場合、字幕版より字幕が詳しくなるという妙な?ことが起こる。表示の仕方が無様だけれど)。

 映画もときどきやっている。

 それが無料。

 この春定年退職した人たちなどは、このチャンネルのお蔭で暇を持て余さずにすんでいるのではないかと思うぐらいだ。

 どれもこれもかなり面白そうなので、ほぼ片っ端から録画している。

 問題は・・・ 見るのが追いつかなくて、どんどん溜まってくることだ。ハードディスクレコーダの容量にだって限りがある。

 あ、今思いついた。ゴールデンウィークに一気に消化しよう。

 でもその後は? 夏休みまでハードディスクが溢れないですむとはとても思えない・・・

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2012.04.08

★謎のお花見スポット?

 先週の「探偵!ナイトスクープ」で、瞬間視聴率が25%を超えたという作品の再放送があり、その中に、「謎のお花見スポット」というのが出てきた。

 和歌山県日高町から見える山頂付近に怪しくオレンジ色に光るところがあり、夜桜スポットのように見えるのだが、いくらがんばっても行くことができない。その謎を解きたいというのだ。

 依頼者と探偵が苦労した挙げ句現場に辿り着くと、そこにはフェンスで囲まれた航空機用の施設があったという。

 それはそれでいいのだが、「それが具体的に何なのかは国家機密で答えられない」「これ以上しゃべると俺が消されるかも・・・」みたいな終わり方をしていたのが不思議だった。

Dsc00204_32 番組中で和歌山県御坊市の名前も出ていたのだが、その付近の航空機用施設といえば、関西のパイロットならだれでも、「御坊VOR/DME」を思い浮かべるだろう。
 北側から南紀白浜空港に行くときは、この御坊VOR/DMEを目指し、そこで針路を変えて白浜へ降りる。

Dsc00203_32 航空地図を引っ張り出して確認し、google map で航空写真を見ると、問題の施設は間違いなくそれであった。番組で言っていた「西山」山頂のすぐ北に、見慣れた丸い円盤が写っている。田村探偵がたどった道路も見える。

 「航空保安無線施設」とか「地上航行援助施設」とかいうのだが、要するに航空機用の灯台だと思えばいい(かつてはほんとうに火をともす航空灯台も存在したらしいが)
 飛んでいる航空機がその場所からどの方向にどのぐらい離れているかがわかるように、電波を出して伝える施設である。

 VOR/DMEの意味はそれぞれ次の通り。

 VOR(Very high frequency(VHF) Omni-directional radio Range beacon:超短波全方向式無線標識)
 DME(Distance Measuring Equipment:距離測定装置)

 こんなものは秘密でも何でもない。↑のリンクの通り、国土交通省のウェブサイトで位置や目的を広報しているほどだ。
 第一、灯台が秘密だったら船は安心して航行できない。飛行機だって同じである。

 ネットで検索すると、自衛隊の施設関連だと推測している人もいるようだが、純然たる民間機専用施設だ。

 何であんな終わり方をしたのか。ああやって視聴率を稼いでいるのだろうか。

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2012.04.06

★実態が表現を産むのだ

 ときどき、左の鬢のあたりから一本だけ白髪が飛び出していることがある。

 気がつくと抜いたりしていたのだが、抜いた累計はせいぜい10本にもならないだろうと思う。右も抜いたことがあるが、こちらは5本にもならないかも。

 だが、今日は左に2本見つけた。一本抜いて(というか途中でちぎれて)2本目に取りかかるために、隠れてしまった白髪を探そうと鬢をかき分けて鏡を見たとき、「うわっ」と思った。

 ざっと20本ぐらいの白髪が見えた。あるいはもっと多いかもしれない。

 「一匹でも見かけると、その30倍はいるんですって」という往年のゴキブリ退治のコマーシャルを思い出した。

 ゴキブリは根絶やしにしたいが、白髪の方はもうすっぱり諦めることにした。妙に飛び出してくるのがあったら、それだけを相手にしよう。
 ___

 「鬢」なんて書いて今どき通じるのかと思って何気なく辞書(大辞林)を引くと、そっけなく「頭の左右側面の髪」と記した語義の後に、たったひとつ載っていた用例が

 「鬢に白いものがまじる」

 なるほど。実態が表現を産むのだ。

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2012.04.05

★タバコ一本で懲戒免職? または ○○に権力

 タバコの煙が苦手だ。

 発がん性だとか有害だとかそういう問題ではない。煙たくて臭くて不快なのである。煙を吸わされるのは、オナラを嗅がされるのにほぼ等しい。他人が飲食する場所で吸うのなどはもってのほかだと思う。

 最近は煙害に悩まされることも減ってきて、そのせいで逆に感受性が上がり、免疫はなくなってきた。つまり、ほんの少しの煙でも敏感に察知し、嫌な思いをしたり咳が出たりすることが増えた。

 屋外でも、風向きによっては、数十メートル先のたった1本のタバコに咳が出ることがある(先日あった)。
 喫煙者のほうも、こんな敏感な連中にいちいち煙たがられていたら大変だろうと思うほどだ。

 それでも、喫煙者には傍若無人な者も多く、「敷地内禁煙」の休憩所で昨日も今日もタバコを吸っている人がいた。もともとそこが喫煙所であったせいもあるのだが、禁煙になってからもう1年以上経つ。
 しかも、3方の壁(4つ目は出入り口である)には巨大な禁煙の看板やら喫煙の害を訴えるポスターやら、吸わないでくださいというお願いやらが所狭しと貼られている。
 それらに囲まれながら堂々とタバコを吸い、あまつさえ、吸い殻は地面に放置していたりするのだ。

 そのすぐ横を人が通る。

 腹立たしいとは思うものの、「敷地内禁煙」と言われたのでは、いったいどこで吸えばいいのかと、私ですら同情したい気持ちもないではない。
 ___

 「橋下市長、駅で喫煙の助役の懲戒免職検討を指示」(yomiuri.co.jp)だそうである。

 問題の助役は、4月3日の朝、四つ橋線本町駅の駅長室内にある給湯室でタバコを1本吸ったという。火災報知器が作動し、列車4本に1分ほどの遅れが出たということで大事になったようだ。地下鉄構内はすべて禁煙らしい。

 結果的に厳重注意ではすみそうにない事態になったとはいえ、所詮はタバコ1本のことだ。本人も反省しているだろうし、周囲への警告にもなっただろう。処分するなら(よくわからないけど)訓告とか戒告とか減給とか停職とかほかに選択肢もあるだろうと思う。

 万一免職にするにしても、諭旨免職だってある。ほんとに懲戒免職なんて言ったのかな?(と思っていると、tv-asahi.co.jpでも「喫煙した助役を懲戒免職に、管理職は減給処分にするよう指示しました」とある)。

 タバコ一本で懲戒免職というのは、裁判でも起こされれば、まず間違いなく「懲戒権の濫用で違法」だという判決が出るだろう。
 弁護士でもある橋下氏は、それがわかっていて「免職は法的に問題があるかもしれないが、司法決着すればいい」(yomiuri.co.jp)と発言している。

 つまりは、「違法」だと言われるであろう行為をあえて強行しようとしているわけである。なんという無法者だ。橋下氏に比べれば、無法喫煙者などかわいいものである。

 自分でも違法だとわかっている権力の濫用を行い、恬として恥じるところのない権力者・・・

 私ですら、無法喫煙者の味方をしたくなってしまう。

 追記:結局、交通局長の判断で停職3か月となりそうで、橋下市長も了承したそうです(『朝日新聞』2012.5.16朝刊)。それでも重すぎるのではないかと思いますが・・・

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2012.03.31

●案ずるより産むが易し2

 夏の旅行のチケットを取った!

 今年の夏は久しぶりに家族でヨーロッパにでも行きたいと思っていた。数えてみると、なんと8年ぶり!になってしまう。

 「ヨーロッパは嫌や」と息子は言うのだが、最後の記憶でも小学生の時なのだ。

 1か月も前から、行きたいなあ、行けるかなあ・・・とうじうじしていたのだが、この1か月は実際に飛行機を取るというような精神的余裕もなく、今日(正確には昨日)年度が終わって、やっと動けるような気がしてきた(まだ積み残している仕事もあるんだけど)

 案の定というか、値段も微妙に上がっている。おそらく、4月になるとまた上がるのだろう。

 この日からこの日まで行けると決まってしまえば(あるいは無理矢理決めてしまえば)、チケットを取るのはネットでさくさくである。

 ・・・と思っていたら、土壇場で画面が真っ暗になってしまい、挙げ句に嫌なメッセージが出て、予約が成立したかどうかわからない。
 電話をしてみるが、月曜にかけ直せという留守電の声、しかも英語だ。評判のいい航空会社のはずなのだが、どんな商売をしてるんだろう。

 いずれにせよ、月曜まで待っていられない。月曜は4月なのだ。もし取れていなかったら、値段も大幅に変わってしまうのではないだろうか。

 ええい、ままよと、今度は Windows 7 に切り替えて Internet Explorer で予約。こういうときはやはり、相手が間違いなく対応しているという安心感がある。

 それでめでたく・・・

 予約成立のメールも1通しか来ないし、二重請求されることはあるまい。

 珍しく、in と out の都市を変えてみた。さて、どんなルートでどこへ行こうか。

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2012.03.27

●案ずるより産むが易し

 長い?人生で初めて、畳の表替えをした。

 大人になって初めて住んだマンションも次のも、表替えをする前に引っ越してしまったからだ。
 いや、「する前に」というよりは、「すべきなのにしないうちに」といったほうが正確かもしれない。

 今回も、すべきだと思ってからゆうに5年は経つと思う。珍しく拙宅を訪れた義母が、畳のあまりの悲惨さに驚いたぐらいだ。

 何となく腰が重く、息子の大学が決まったらということにしていた。2浪していたらもう1年延びたことになる。3浪していたら・・・

 ともあれ替えることにしたのだが、良心的な業者や相場がわからない。義母に聞いても、もう一つぱっとした返事がない。
 よくチラシが入っている大手らしき業者のは、1畳2700円からとか書いてあるので、そんなものかとも思っていたが、良心的な価格でやっているとうたう手書きのチラシの零細業者は最低でも5800円である。
 倍以上ではないか。何でそんなに違うのか。

 ネットで調べると、2700円というのはほとんどおとり広告に近いらしい。まともなものを頼むと、やはり1畳1万円ぐらいかかるという。

 それで結局、零細業者のほうに来てもらった。

 来たのが、80代も半ばに見える親方でびっくりした。私の父親よりもかなり上に見える。もしかしたら90近いのではないだろうか。

 5800円のでも別にいいのだが、ずらずらと出てくるサンプルを見ているうちにやっぱりいいものはいいのがわかる。8000円から1万円ぐらいのがまあ妥当なところで、親方もその辺にあたりをつけているようだった。
 だが、この際、それなりにいいものをと、もう少し高いのに色気を出すと、「ほんまにええのがよろしいんでしたら、もっと上のもありまっせ」と、出していなかったサンプルまで出してきた。

 年齢と風貌にだまされたのかもしれないが、商売人というよりは昔気質の職人といった風情に見える親方が信頼できそうであったことと、最初から高いのを見せなかったことなんかも気に入って、相見積もりを取ったりするのも面倒なので、もうそこに頼むことにした。

 価格を比べたところで、電気製品や車なんかと違い、もともとのモノが違うのだから、素人にはどうせわからない。複数の業者を同時に呼んで目の前にサンプルをならべてもらい、説明を受けながら比べたりすればわかるだろうけど、たかが6枚の表替えにそこまでする勇気もない。

 結局、1万4千円と書いたサンプルで、通常の売値は1万2千円だというものを、1万1千円にしてもらって替えることにした。
 消費税を入れると、6畳でちょうど7万ぐらいになる。ぼったくられていないことを祈るのみだ。

 長々と書いたが、見積もりに20分、畳引き取りに20分、再度入れるのに20分というぐらいだった。もしかするとそれぞれ30分かもしれないが、それにしても、合計1〜2時間のことだ(もちろん、表替えの作業自体は時間がかかるだろうが、それは先方が仕事場でする)。

 新品の畳は目にも鮮やかな緑で、イ草の香りもすがすがしい。

 こんな簡単に入れ替えられるんだったら、何年にもわたってうじうじと考えながら放置しておくんじゃなかった。

 その他たくさんのことと同様、ほとんどがほんとに「案ずるより産むが易し」である(いや、実際の子どもを産むのはさすがに違うと思うけど)。
 それがわかっていて、些細なことをいつもいつも「案じて」ばかりいる。

 人間、いや、少なくとも私は、いつまで経っても成長しない。

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2012.03.18

●季節は進む

 いろんなことに追われているうちにあっというまに1か月が経ってしまった。

 先月、凍結した歩道に注意を促し、山麓の残雪を観賞しながら歩いた鳥見行だったが、今日は暖かい雨の中。
 薄い上着しか羽織っていないにもかかわらず、歩くと汗ばむほどであった。

 明日はまた寒くなるというのだが、もう凍るということもあるまい。

 三寒四温、暑さ寒さも彼岸まで。まもなく春分である。

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2012.03.13

●京都散策

 息子が京都の大学(「の」がなければ言うことはないのだが、あいつなりに地道にがんばっていたのを知っているので、素直に喜んでいる)に進学することが決まったので、先週末、梅見やらを兼ねて一緒に京都に行ってきた。

 家族3人で実家以外に「お出かけ」するのはどのぐらいぶりだろう? もしかすると、2年半ぶりとかかもしれない。
 まあ、いずれにせよ、もう親と一緒に外出する年齢でもなくなってしまった。自分のことを考えれば、親が大学に来たことなど1度もなかったと思う。いや、高校でさえ多分そうだった。

 これまでなぜかまったく縁のなかった大学だし、縁ができるような気もしていなかったので、所在地もろくに知らなかった。ましてやキャンパスに入ったこともない。
 駅からの遠い道のりを、息子が一人で歩き、かなり離れて夫婦もついていく。

 《中略》

 行きは風情のないわかりやすい道を使ったが、帰りは京都らしい小路を使って散歩がてら戻る。
 期待していたビストロの場所がわからなくて電話すると、今年から昼間の営業をやめているというので、まあここでもいいかという感じのカフェで昼食にする。
 これが妙なところで、50代ぐらいの内気そうなおじさんが一人でやっている。

 メニューの中に「12:00から18:00までは間違いなくやってます」と書いてあったのに、出るとき、看板が「準備中」になっているので、だれかがいたずらでもしたのかと思った。
 「いいんですか?」と聞くと、「客が多くなるとドキドキしてしまって焦るので、あまり入ってこないようにしている」という。私たちが出るとまた営業を再開するらしい。

 コストパフォーマンスの高いランチを出していて、ケーキ類とかもおいしそうだった。すぐ近くに長蛇の列の食堂があるのにここは空いていたし、何より、このレベルの店で私たちの後に客が入ってこないのが不思議だったのだが、まさかそんな理由だったとは・・・

 神社をはしごして、満開近い梅を見たり蕾も出ていない桜を見たり。
 最後に、私自身はたぶん40年ぶりぐらいではないかと思う鹿苑禅寺金閣舎利殿を訪れる。恥ずかしいぐらいの世界的観光地だ。
 20世紀半ばの再建とはいえ、やはり圧倒的な存在感である。

 歩き疲れたので駅までタクシーで戻る。日本でタクシーに乗ったのも何年ぶりだろう?

 京都はもちろん嫌いではないのに、もと暗しで滅多に行かない。これから毎日のように通う息子を羨ましく思う。

 楽しい学生生活になることを祈りたい。

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2012.03.06

●不在の感覚

 喪失感とか不在の感覚とかいうことについてつらつら書こうと思ったけれど、いくら何でもいい大人がたかが小鳥のことでどうこう言うのもあれだなと思い直した。

 思い直しつつも、やっぱり簡単には書いておきたくなった。

 たとえば・・・

 夜、風呂に行くとか寝るとかで、リビングの電気を消すことがある。消す前に必ず、文鳥にとって問題ないかを確認するのが癖になっていた。食事中だったり金網につかまっていたりするときに電気を消すと、真っ暗な中で困らないかと思っていたのだ。
 小鳥の方も心得たもので、真っ暗になる雰囲気を察知すると、止まり木やらブランコやらにさっと飛び移って、電気を消せる状態にしてくれる。
 こう書くと複雑なようだが、夜、一人でいるリビングを後にして電気を消すということは、無意識的かつ自動的に、そういう儀式が繰り返されることを意味していた。

 そんな儀式が必要なくなり、何のためらいもなく電気を消せるようになっても、やっぱり消す前には自動的に立ち止まり、視線をカゴに向け、そして初めて、あ、もうあいつはいないんだと思う。
 ___

 朝起きたとき、仕事から帰ったとき、妙にリビングが静かだなあと感じるのも、チュンチュンうるさく出迎える小鳥がいなくなったからだ。

 カゴはまだそこにある。冬場だけかぶせるダンボールの蓋も。
 あわせても1平米にも満たないが、かたづけた後は、狭いリビングががらんとして見えるだろうと思う。

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2012.03.05

●天寿

 珍しく、朝、雨音で起こされた。こんなことはいつ以来だろう?

 リビングへ上がると、小鳥はやはり固くなっていた。息子も朝食のパンに手をつけずに固まっている。
 考えてみれば、彼は人生のほとんど半分をこの鳥と付き合ってきたのだ。

 羽毛のせいか、冷たくはなかった。が、もちろん、あの暖かさも、毎分500回の鼓動も失せていた。

 もしかしたら、朝にはまた元気にチュンチュンバタバタしているのではないかという期待もほんの少しはあったのだが、やはり無理だった。

 家人によると、スリッパの先端に開いた穴からクチバシを出して、穏やかに横たわる感じでこときれていたという。

 一生のほとんどをカゴの中で暮らしたわけだし、家の外へ出たのは数回ぐらいしかないだろう。幸せだったかどうかはわからないけれど、それなりに愛されて天寿を全うしたとは思う。
 ___

 仕事から帰ってから、ちょうど日暮れごろ、3人揃って埋葬した。

 先日、庭の掃除をした際に動かした石がちょうどおあつらえ向きの位置にあったので、それを墓石とすることに決めた。
 私が石を動かし、家人と息子が穴を掘り、北枕に寝かせて花を添えて埋め、石を戻す。

 22g の小鳥にとっては、分不相応なぐらいの立派なお墓になった。

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●最後の飛翔

 9年近く飼っている文鳥が、どうやら最後の時を迎えつつあるようだ。

 3月2日の夜は、カゴに保温のためのダンボールをかぶせようとすると、いつもどおり睡眠の定位置であるブランコに飛び乗ったのだが、3日の夜は、何度そぶりを見せても餌箱の中から動こうとしなかった。
 餌箱から飛び出している止まり木のような部分に乗って餌が食べられなくなってから、餌箱の中に入って食べるようになっていたのだ。そうなってから、半年ぐらい経つだろうか。

 それでもずっと元気で、カゴに手を入れるとすぐ飛び乗ってきていたのだが、4日の夜には、餌箱の下と床に敷いた新聞紙の間にうずくまって動こうとしなかった。

 カゴから出して手の上にくるんでやると、気持ちよさそうにじっとしている。心臓は相変わらず、速い鼓動を続けている
 カゴから出したら手の上でじっとするようになってからも数か月だろうか・・・

 だが、4日夜はもう、足もとがおぼつかず、止まり木に止まると前後左右に揺れて落ちそうになっていたし、掌の上でも立っていられない。

 家人の掌の上にいるとき、私が手を出すと必ずこちらへ移ってきていたのに、動こうとしない。
 掌から掌へ、厚みの分だけ落とすような形で受け渡し、交替で1時間ほど手の中にくるんでいてやると、少し元気を取り戻した。

 そして、なぜか不意に、私の掌を離れ、家人の方へ、たぶん最後になるだろう飛翔をした。

 といっても、ソファから左後ろのテーブルへ、ほんの2メートル足らずの距離である。
 まともに着地できず、よろける。
 その後は家人と息子が手に乗せたまま、心配そうに見守る。

 カゴの中からブランコやハシゴや高い方の止まり木を取り外し、床に置いた皿の上にエサと水を入れる。
 がんばってどこかにつかまったあげく、落ちたりしないための用心だ。

 暖かいところでじっとさせてやるのがいいのではないかといろいろ知恵を絞ったが、結局は、中に潜るのが好きだったふわふわのスリッパの中に入れてやることにした。

 入れてやると喜んで、だが力なく奥の方でうずくまる。つま先に開いた穴から桜色のクチバシがなんとか確認できるが、手前から見ると、もはや脚が地に着いていない。横たわって寝ているようである。

 体はまだ規則正しく動いている。生きてはいるのだが、横になって脚を宙に浮かせて寝転がっているのだ。

 小鳥の姿ではない。

 そのスリッパをカゴの中に入れて小一時間が経ち、日付が変わって5日になった。

 今この瞬間、生きているかどうかはもうわからない。

 たぶん、朝までもつまいと思う。この鳥の1日は人間の10日だ。
 ___

 この鳥に対する思い入れは、おそらく息子が一番深い。

 中学3年の高校入試の時、去年の大学入試の時、そして再度の大学入試の今年、私たちが半ば真面目に心配していたのは、ちょうど受験前に文鳥が死んで、そのショックで息子が失敗することだった。
 幸か不幸か、死ななくても息子は失敗を重ねた(笑)

 幸い、死ぬ前に大学が決まったのは、あるいは、大学が決まってからさほど時をおかずに死にそうなのは・・・ 間違いなく単なる偶然だろう。
 だが、明朝には入学手続き書類の受付が始まるのも、紛れもない事実だ。

 もし死んだら、どうやって弔ってやればいいのだろう? こういう小動物の死に、我々は特定の葬送儀礼をもっていない。

 床に敷いた新聞を替えてやったとき、黒い風切り羽が一本落ちていた。

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2012.03.03

●いつの間にやら雛祭り

 なんかちょっと目まぐるしかった。いつの間にやら雛祭り。まあ、関係ないけど。

 さっき、風呂上がりの洗面所で視界の端を小さな虫が飛び回っているのが見えた。誓って飛蚊症によるものではない。

 急に暖かくなってきたから、どこかから湧いてきたのだろう。

 嫌なことは良いことの伴走者である。あんな小さな虫までも・・・

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2012.02.26

◆まさか波平?

 録っている(というより録れている)テレビドラマを流していると、「バカボンのパパの年齢はいくつだか知っているか」という話が出てきた。

 聞いたことはあるような気がするが、知らない。答えは41歳なんだそうである。自分より年下だ。

 え? と思って考えてみると、朝日新聞の朝刊に連載されている「ののちゃん」のお父さんすら、おそらくは自分より年下ではないのかと思った。あのとんでもなくオッサンくさい親爺が年下だとか、いくら何でも勘弁してほしいと思う。
 「となりのやまだ君」として始まったころは、間違いなく年上だった。いつの間に追い抜いたんだろう?

 そんなことをつらつら考えているうちに、「まさか波平まで年下ということはないだろうな」と考えて、ちょっと愕然とした。いわずとしれた、『サザエさん』のお父さん、磯野波平である。

 年下ではなくても、同い年ぐらいという設定ならありうる。

 調べてみると、波平は54歳。まだだいぶ差があると思ってちょっとほっとした。

 しかしまあ、いくら時代が違うとはいえ、54歳でああ老けることはありえないと思う(頭が禿げることはあるにしても)。

 少なくとも気持ちの上では今後もあまり年を取らないのではないだろうか。

 知りたいのは、昔の「老けた」人たちも、そう思っていたのかどうかである。

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2012.02.25

◆ばかばかしい字幕と吹き替え

 いつごろからだろう、ニュース番組などで、日本のキャスターなどが英語話者に取材したりするとき、通訳が入ることがほとんどなくなった。
 特に、キャスターが英米などの「大物」と話すときは顕著だ。

 それはまあよい。

 ばかばかしいのは、日本人が英語を話すときには字幕をつけ、英語話者が話すときは吹き替えにしていることだ。知る限り、どの局でもほとんどそうなっている。すべてといってもいいくらいだ。

 お蔭で、本来日本語でならどういうニュアンスで聞きたいのかもわからないし、情報を与える側である肝腎の英語話者の英語は聞こえない。

 画面を見ていると、日本のキャスターが英語を話し、英語話者は日本語を話している。なんなのだ、あれは。

 おそらく間違いないと思うのだが「英語ができるキャスター」をアピールしたいがためにあんな妙なことになっているのだ。

 キャスター自身は周りに言われて仕方なくあの放送方式を許しているのだと思いたい。

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2012.02.20

◆関西電力、全原発停止

 今日、関西電力のすべての原子力発電が停止する。

 全国でも、54基あるうち、稼働しているのは2基だけという状況になるという。

 関電は、供給電力に占める原発の割合が5割だと言われてきた。
 それがぜんぶ止まっても、この寒波の中で電力不足に陥らないというのには驚く(「関電の予測では、20~24日の週も原発ゼロになるとはいえ、おおむね需給は安定の見込み」asahi.com)。
 2011年8月の真夏のピーク時の需要実績を見ても、今日からの原発なしの供給力でなんとか足りている。

 もちろん、現在の関係者の努力もあるのだろうが、むしろ、これまで原発につぎ込んでいた開発費を他へ回していれば、もともと原発ゼロでもまったく何の問題も起こらなかったんだろうなあというのは想像がつく。
 それも、やたらに二酸化炭素を出す方式じゃなくて、そっち方面もかなりのところまで克服した技術ができていたのではないだろうか。

 まあ、そんなことをいっても仮定の話に過ぎないし、繰り言にしかならない。
 それでも、10万年後!まで安全に保管?しなければならないというような廃棄物を「そのうち科学の力で何とか無害化できる」というようなタワゴトよりは、いくらかマシではないかと思う。
 ____

 中長期的には原発はなくすべきだと思うが、短期的にどうすべきなのかはわからない。

 無責任に願わくは、安全で安定的に電力が供給できればいいなあと思うだけだ。情けないことに。

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2012.02.14

◆バレンタインデー

 バレンタインデーのエントリがこんなの↓になってしまった・・・

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◆職務命令やら業務命令やら または 「大阪民主主義人民共和国」

 みなさんは職務命令やら業務命令やらを受けたことがあるでしょうか。

 「ちょっと悪いけど、これ、明日までにやっておいてくれない?」

とかいうんではなくて、ドラマでしか見たことがないような

 「これは業務命令だ」

というやつのことです。

 アルバイトから数えればかれこれ30年ほど働いていますが、私にはただの一度もありません。
 自衛隊とか海上保安庁とか警察とか消防とかの職員を別にすれば、おそらくはみなさんも同じようなものではないでしょうか(違うのかな?)。

 命令なんか受けなくても、やるべきことは(少なくとも)それなりにきちんとやるし、幸いというか、その範囲を超えて強権で命令するような上司は一人もいませんでした。
 もちろん、かなりどうかなと思う人物も中にはいました(います^^;)が、それでも、です。

 そんな私がもし大阪府や大阪市の教職員であったら、今年に入ってからだけでも、やれ君が代の時は起立斉唱せよとか、やれ知人の組合活動や政治活動を密告せよとかの職務命令を受けたことになります。

 全員に向かって一斉に職務命令を出したりするから、職員であるだけでそんな命令の対象になってしまうのです。

 日ごろから職場(というより上部団体)への不満は少なくありませんが、こんな異様かつ嫌らしい命令を出すようなところではなくて、ほんとうに良かったと思います。

 私はたぶん、一生、職務命令を受けることはないでしょう。それは、私が思う以上に幸せなことなのかもしれません。

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2012.02.08

◆ぼくらは時間を食べている

 すぐ食べごろにまで成長するはずのカイワレが、少しずつ、ほんの少しずつ育っていることを気にかけていた。

 そんなとき、大きく育てられたセロリを家人がばっさばっさと切っているのを目にして、唐突に、「ああ、ぼくらは時間を食べているんだなあ」と思った。

 たぶん当たり前のことなんだろうけど、これまでそんなふうに考えたことがなかった。

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2012.02.06

◆予想がむずかしいアボカド

 遅まきながら『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』(村上春樹)を読んでいる。

 タイトルにもなっている「むずかしいアボカド」だが、てっきり、「ほんとうは「アボカド」なのに「アボガド」と発音する人がほとんどで、正しく「アボカド」と発音するのはむずかしい」という話だと思っていた。

 出だしが違うので「あれっ」と思ったのだが、そうはいうものの、盛り上がりの部分で、あるいはオチで、その話が出るだろうと考えていたのだが、最後まで肩すかしをくらったままだった。

 ムラカミさん自身がかつてどこかでアボカドの発音のことについて書いていたと思うので、同じことを2度書くことを避けたのか(どこに何を書いたかすぐ忘れるくせに)、それともわざと読者を欺こうとしたのか、あるいは特に何も考えていなかったのかはわからない。

 それはともかく、「ハワイのカウアイ島」にある「キラウェアの」「灯台に向かう表通りをちょっと右に入ったところに」ある「小さなフルーツ・スタンド」の「太ったおばさん」に会いたくなった。

 読者をそんなふうに思わせるあたり、相変わらずうまいですね。

 さて、アボカドのなにがそんなにむずかしいのでしょう?

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2012.02.05

◆小人閑居して・・・

 息子は連日受験に出かけているが、私の方は少しだけ気持ちに余裕が出てきた。

 すると、やはりというか、ふだんはやらないことをやり始めたりする。

 夜中にネットでたまたま見つけた水耕栽培キットを今日注文してしまった。
 種はついていないというので、近くに新しくできたホームセンターに行って、万能子ねぎ・青シソ・かいわれ・ブロッコリーを購入してきた。
 ブロッコリーは、芽が10cmぐらいになった時点でかいわれのように食べてしまう予定だ。まったく知らなかったのだが、スプラウト(新芽)野菜として流行っているらしい。

 もちろん、栽培キットはまだ届いていないのだが、かいわれとブロッコリーはもう栽培を始めてしまった。1週間ぐらいで食べ頃になるというので、気の短い者には最適である。
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 ホームセンターには、椎茸や舞茸、エリンギやヒラタケなんかの栽培キットもあった。椎茸なんかは、菌を植え付けたコナラの原木が売っていたりもした。
 ものすごく心が動かされたのだが、原木の方は常に湿らせておく必要があるそうだし、キットの方はビニール袋に包んで育てるのがちょっとイメージと違うので見送ってしまった。

 でも、そのうち、あるいは秋には買ってしまうと思う。
 ___

 以上とはぜんぜん関係なく、コーヒーなんかに砂糖代わりに入れるステビアの粉末も買った。その話はまた別に。

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2012.02.04

◆「私の気持ち」は作られる

 「自由意思」というものが神聖視され、「法に違反せず人に迷惑をかけなければ自由」だということがよく言われる。
 基本的にはそのとおりだと思うのだが、その「自由意思」がどのように作られているのかということはしばしば忘れられている。

 何だかたいそうな書き出しになってしまったが、先日、エステティックサロンのダイエット広告を見てかなり驚いたことがこれを書く動機になっている。

Which 百聞は一見に如かず、画像をご覧になっていただきたい。

 どちらのスタイルがより理想的、あるいは魅力的だろうか。

 もちろん、それこそ「自由な」好みはさまざまであろうが、何か月かの時間とかなりのお金をかけ、食べるものを制限し、その他の努力を重ねて左から右になりたいという女性がどのぐらいいるのだろう。

 「そんなヤツおれへんやろ」といいたくなるのだが、たぶんたくさんいるから、これが商売になるのである。

 ちなみに、左側は身長168cm、体重50.1kgで、ウェストも59.2cm。体脂肪率は18.1%だそうだ。

 BMI計算ソフトに身長と体重を入れてみると、17.8と表示され

 「あなたは痩せすぎです」「理想体重まであと+12kg」

と言われてしまう。12キロ太るべきだと言われているのに、エステに30回以上通って6kgも落としているのが右側だ。

 実際、写真からも病的にガリガリと言う印象を受ける。

 痩せたい女性たちには違って見えるのだろうか。
 ___

 こういう広告が、左側ですらない世の女性たちに「痩せなければ」という強迫観念を作り出し、彼女らは「自らの意思で」痩せようと努力する。
 そして、その努力ができない人は自己嫌悪に陥る。

 一体何のための努力であり、自己嫌悪なのだろう?
 ___

 自分の自由な意思や考え、「私の気持ち」というものが、いったい何によって形成されてきたのかと日々問い直すことは非常に重要だと思う。

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