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2007.12.19

★サン・ジャックへの道

 いつも見ているような映画(ってひどい括り方だけど)とは一線を画する、妙に何度も見たくなるロードムービー。

 実際、滅多にない(というか、初めてかも)ことだが、一度見終わってから日をおかずにもう一度通して見てしまった。

 サン・ジャック(=サンティアゴ・デ・コンポステーラ)といっても、日本ではほとんど知られていないと思う。私自身、2004年の夏にフランスとピレネーを旅行するまでは知らなかった。

 スペインの北西部、ガリシア地方にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラは、キリスト教の3大聖地の一つであり、早くは9世紀ごろから巡礼の信者が集まりだし、12世紀には巡礼案内の書物まで発行されているほど歴史が古いという。

 その巡礼地には、21世紀になった今日でも、千数百キロを2〜3か月もかけて歩き通す善男善女たちがヨーロッパの各地から集まってくる。
 目的地は一箇所でも起点は複数に及ぶため、巡礼路の地図を見ると、あたかも、サンティアゴ・デ・コンポステーラを河口とする大河が支流を集めているかのように見えるのだ。

 だが、映画の巡礼者たちは熱心な信者ではない。主人公は、母親の遺言で巡礼行を強制された仲の悪い3兄姉弟。
 他の参加者も、好きな女の子を追いかけて参加したアラブ系フランス人(イスラム教徒だ)や、メッカに行くと信じているその友人など、俗世の垢にまみれた人が多い。
 旅のガイドは長い留守の間に奥さんを寝取られ、巡礼者の一人と恋仲になってしまったりもする。

 フランス中南部のル・ピュイからスペイン国境のピレネーまでおよそ800km。そして、ようやくピレネーを越えても、そこからまた800kmの徒歩の旅である

 何しろ景色が美しい。映画の中のこととはいえ、今どきこんな道を歩いて本当に巡礼ができるのかと感心してしまうが、あのフランスなら可能だという気がする。
 世俗巡礼者たちは、ほとんど車に遭わない丘また丘を越えてピレネーを目指していく。

 もちろん、嫌々参加した主人公たちは、喧嘩と不満で忙しく、景色なんか見ていない。それが決して劇的ではなく変化していくのがこの映画の醍醐味である。

 難を言えば、長い旅の「長さ」が十分に表現されているとは言えなかったと思う。特に、スペインに入ってからの描写は短かった。
 私にはわからないが、映画そのものを長くしないで、旅の長さを感じさせる手法がもしあるとすれば、そういう工夫をしてほしかった。

 ともあれ、心の奥に響く映画である。

 半ば本気で、仕事からリタイアしたら同じ道を歩いてみたいと思っている。連れになるかもしれない家人に意向を聞くと、にべもなく却下されてしまうのだが・・・

(Saint-Jacques... La Mecque, 2005 France)

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