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2009.12.29

★葬儀とおにぎり

 中掃除に買い物、HDDに溜まっている映画を見て過ごす年末・・・のはずだったところへ、突然の訃報が飛び込んできた。

 親等を数えるとその近さに驚いたが、2〜3度しか会ったことのない姻族である。両親は行かなくてもいいと言ったが、やや遠方のことでもあり、何となく期待しているような口ぶりだったので、運転手を兼ねて弔問に訪れた。

 田舎のことで、近所の方々が準備して下さった昼食を葬儀の前にいただく。

 おにぎりを一口かじって驚いた。

 いつもとはまったく違う新鮮な食感で、ご飯が実にほどよく口の中でほどける。その瞬間頭に浮かんだのは、にぎり寿司の舎利だ。
 もちろん、ご飯の固さも味もほどけ方もぜんぜん違う。だが、そこには、人の手で絶妙に握られているという確かな共通点が感じられる。

 新鮮であると同時に懐かしい。

 おにぎりの形は三角でも俵でもなく、なんとも形容のしようのない、ちょっといびつな形だ。しかし、どれもがその形をしていることから、その地方の伝統的な形なのだろうと察せられる。
 塩味はごく薄く、ほとんど感じられないほどだ。中に具はなく、海苔も巻いていない。

 味も形も、かつて母親が握っていたものとは似ても似つかない。にもかかわらず、すごく懐かしい食感なのである。
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 新鮮なのは、もう何年も、ほとんどコンビニのおにぎりしか食べたことがないから(といっても、鳥見に行ったときぐらいにしか食べないんだけど)。
 懐かしいのはおそらく、ご飯のほどけ方が、かつて母親がにぎってくれたおにぎりと共通しているからだろう。

 おにぎりって、こういう食べ物だったんだ、と思った。
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 この時代としては亡くなるのが10年ほど早い気がするが、故人は「あと3年生きたい」とことあるごとに漏らしていたという。最期が近いことを知っていたのだろう。
 願いは叶えられず、1年足らずで彼岸の人となってしまった。心残りはあろうが、仕事も家族も子孫も、立派に成就した生涯だろう。

 長い老後を過ごすつもりで建て替えたであろう立派な居宅は、葬儀を出すにもふさわしい風格を備えているが、弔問客はその庭をも埋めていた。

 寒かったものの好天に恵まれ、出棺の時には、背後に焚き火でもあるかのような太陽の光が感じられた。

 会者定離。縁薄き姻戚にも、少なからぬ感慨はある。

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