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2012.08.23

★スロベニア礼讃

 旧東欧諸国に来るのは初めてだ。

 とはいえ、スロベニアはシェンゲン条約締結国で通貨もユーロ。実質的に国境はない。時代は流れるのだ。
 国境らしいものと言えば、高速道路料金(1週間で15ユーロ、1か月で30ユーロ)を払った証拠となるシールを買うためにブースに立ち寄ったことだけ。

 レンタカーの借り出しに少し時間がかかった上、ウィーンを出てすぐの大渋滞や動きの悪いナビのせいなどもあって、スロベニアのマリボルのホテルに落ち着いたのは、予定より1〜2時間遅く、20時になっていた。

 ホテルのフロントの人に教えてもらったレストランを探して近くを歩くが、道を間違えた挙げ句に、Bar Café と表示した店しか見つからず、しかも、中では地元の人たちがパーティで盛り上がっている。

 でも、近くに他の店もありそうにないし、何か食べられないかと思っておそるおそる聞くと、数人が寄ってたかっていろいろ相談しながら教えてくれたのだが、結局、ここには食べるものはないし、近くの店まで2キロほどあるということだった。
 ホテルの人が5分と言ったのは、車で5分のことだったのだろうか・・・

 仕方ないから車を取りにホテルに戻ろうとしていると、人なつっこい人たちが何人か、片言の英語で話しかけてきて、そのうち、「スロベニアの国民的料理があるのだが、それなら食べられないこともない」という話になった。

 だれが店の人でだれが客かもわからない。

 そのうち、だれかがビーフシチューのような皿を見せてくれて、「これなんだがいいか」と聞く。

 疲れていたし時間も遅いし、一も二もなくOKする。

 客の中でも一人、良く言えば親切に、悪く言えばしつこく話しかけてくる人がいて(たぶん、酔っていたのだろう)、食後にはこれもスロベニアの国民食、パンケーキを食えと勧めてくれる。

 食前に出されたぶどう一房に小さなイチジクが数個。出てきたたっぷりのシチューとパン・・・ とてもパンケーキなど食べられそうもないのだが、何度断っても許してくれない。
 仕方ないので、「3人で一つ食べるよ」と譲歩する。

 食事が終わって店の人が持ってきてくれたのは、パンケーキというよりはクレープで助かったが、きっちり3皿あった・・・

 食後、200年以上前に伝統的な手法で建てられたという地下室に案内してもらう。煉瓦をアーチ型に積み上げた壁を持つ室内は、エアコンなどないのに、驚くほど涼しい。

 初対面でいきなり打ち解け、最後まで楽しく交流させていただいた。けっこうあちこち旅しているが、こんな経験はちょっと思い出せない。
 レストランが見つからなかったことによる、災い転じて・・・である。
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 ただ、一つだけ気になることがあった。

 メニューも値段表もなく、持ってきてくださったものを食べたり飲んだりしたのだが、いったい勘定はいくらになるのだろう? カードは使えるのだろうか。

1.アップルジュースとアップルウォーター×2
2.ぶどう一房にイチジク5個ぐらい
3.5人前ぐらいありそうなたっぷりのシチュー
4.パン
5.クレープ×3

 クレープが来る前は、3000〜4000円ぐらいかなあと思っていたが、クレープが来て5000円ぐらいにはなりそうな気がしていた。

 そして、半ば予想していたことだがカードは使えないという。まあ、ユーロも2万円弱は持っているので大丈夫だろうと思って勘定を見ると

 1590円(15.9ユーロ)。
 はあ? これ間違いですよね? という感じで、英語のまったくできない店のご主人(そのころにはだれが主人かわかった)に訝しげに顔を向けると、満面の笑み。

 しかし、いくら何でも・・・

 家人があとで、「物価水準が違うのかも」などと言っていたが、そんなことはない。瓶入りのコカコーラが一本160円なのはメニューで見た(ちょっとは安いかな)。

 20ユーロ渡すとお釣りを持ってこようとするので、「いえもう、そんな、まさかお釣りなんて受け取れません」という感じを全身で表す。
 こんなに気持ちよく釣り銭を断ったのも初めてだと思う。

 あとでレシートを子細に観察すると、スロベニア語なのでよくわからないのだが、どうも、果物もシチューも!パンも無料サービスだったようだ。
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 午前中の自然史博物館で歩き疲れ、慣れない左ハンドルのマニュアル車でウィーンの市街地を走らせて神経をすり減らし(一度、トラムがすぐ後ろまで迫ってきて警笛を鳴らした)、大渋滞やら工事やらの高速道路に辟易し、タッチパネルの反応が最悪のナビにいらだち、やっとたどり着いたマリボル郊外ではレストランが見つからず・・・というような1日の最後を、すごく気持ちよく締めくくってくれる楽しい夜だった。

 言うまでもなく、勘定が安かったこと自体がこの気持ちよさをもたらしたのではない。

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