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2013.04.05

★形だけ真似ても・・・ または 仏作って魂入れず

 いささか旧聞に属するが、長野県飯田市に日本初?の本格的なラウンドアバウト方式の交差点ができたという。

 「ラウンドアバウト運用」の開始が2013年2月5日交差点の完成が3月24日だ。

 ラウンドアバウトというのは、信号機のないロータリー交差点のことで、四方八方から来た車がスムーズに目的の方向へと通過することができる、非常に優れた交通システムである。
 ヨーロッパなどでは、至る所で見られる。
 四方「八方」というのが大袈裟ではないのは、パリの凱旋門広場を考えればわかりやすい。あそこは実に12方向から車が流入する。それを信号なしで捌いているのだ。

 飯田市の件をニュースで見て、これをきっかけに日本でも普及すればいいなあと漠然と思っていた。
 「既存の信号機を撤去し、新たにラウンドアバウト方式の交差点へ変更することは、全国でも初の試み」(飯田市のウェブサイトから)だという。

 ところが・・・

 「ラウンドアバウトに進入する前には必ず一旦停止しなければならない」ということを知った。

 そんなアホな・・・ それはもはや、ラウンドアバウトではないといっても過言ではない。

 せっかく他国の優れたシステムを輸入するというのに、「仏作って魂入れず」のお手本のような愚策である。

 ラウンドアバウト内を走る車に優先権があるのは共通ルールだ。
 だが、そこへ進入する車は、相手が優先だということさえ間違えなければ、いちいち止まる必要などまったくない。
 「止まれ」の看板なんか立てると(ご丁寧に路面にもペイントするはずだ)、ロータリー内に車がいないときですら、一台一台止まらなければならなくなってしまう。

 立てるべき看板は、もちろん「徐行」である。英語圏だと "Yield" とか "Give Way" とか(いずれも「譲れ」)書いてあるのがふつうだ。

 ここで何か気づいたことはありませんか?

 30年ほど前に自動車学校で習って覚えたのに、公安委員会が立てている正式な「徐行」の道路標識はほとんど見たことがない。いや、もしかしたら一度もないかもしれない。

 日本の愚かな交通行政が、徐行す(相手に譲る)べき場合にすら、ほとんどすべて「止まれ」を立ててしまうからである(そういえば、韓国でも至る所に「徐行」の指示があるのに)。

 これは、制限速度が 60km/h でいいような道路に 40km/h の看板を立てるような行為とパラレルだ(もっとも、制限速度に関しては、近年、少しは改善が見られるようになってきた)。

 こんな愚かなことをやっているから、「止まれ」も制限速度もほとんどだれも守っていない。守る必要がない場合が多すぎるのである。
 それに慣れてしまった、これも愚かなドライバーが、守るべき時にさえ守らなくなってしまっているのも、その責任のおそらく半分以上は交通行政側にあるのではないかと思う。

 そして、取り締まりをやっているのは、安全な「守る必要がない場合」の方ばかり(だから私はほとんどの「止まれ」を守っている)。守らないと危険な場所での取り締まりはほとんどない。
 前者の方が違反者も多く、楽にノルマを達成して儲けられるからである。

 せっかくのラウンドアバウトの導入も、この国の貧困な交通行政を嘆く契機にしかならないのは、ほんとうに情けない。
 ___

 蛇足の追記:

1.私が生まれ育った住宅地には、おそらく私が生まれる前から「ロータリー」という名のラウンドアバウト方式の交差点があった。記憶にある限り、「止まれ」はなかったが、今はそうなってしまっているのだろうか。
(追記の追記:)千里ニュータウン内にもいくつかロータリーがあるが、調べた範囲では「止まれ」にはなっていない(Google の Street View で確認)。

2.実は職場の中にもすでにラウンドアバウトがある。当初は何の指示もなかったのだが、「ロータリー内優先」のルールを知らない車が多く(これは現状ではある程度仕方がない)、とうとう「止まれ」になってしまった。立てるなら「徐行」だというのに・・・
 もっとも、取り締まりの心配はないので、ほんとうに必要なとき以外はだれも止まらない。運転としてはそれでいいのだが、そういう行為を繰り返すことで、「法律や規則は必ずしも守らなくてもよいものだ」という感覚が身についていってしまうのは、非常によくない。

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