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2014.11.16

●国家推奨のぼったくり ──処方薬の一物二価(多価)

 医療行政に詳しい医師のお話をうかがう機会があった。

 いろいろ勉強になったが、かねがね不思議に思っていた処方薬の価格への疑問が氷解したので備忘を兼ねて記しておきたい。

 慢性疾患(といっても脂質異常症(旧:高脂血症)とか)で薬を処方してもらっていると、1種類の薬をまったく同じ数だけ受け取るのに、薬局によって価格がバラバラなのが不思議だった。
 大した金額でもないし、「別の薬局の方が安かったですよ」とか言うのもどうかと思うので、支払い自体はいつも素直にしているが、なぜそういうことになるのかはずっと気になっていた。

 明細を見ても、書式がバラバラなので、どこが違っているのかわからない。
 あるものは「調剤基本料」「薬歴管理料」「調剤料」、またあるものは「調剤技術料」「薬学管理料」となっていたりする。そして、以上5つのどの数字も一致していないし、後者の3つの数字をどう組み合わせても、前者の2つと一致する数字が出てこない。
 違う薬局のものが十数枚とか溜まれば法則が見えてくるのだと思うが、だいたいは同じ薬局で薬をもらうので、今のところそこまでいっていない。

 同じなのは「薬剤料」で、これは保険診療による公定価格だから当然だろう。

 実際、私がもらう薬に関して薬局がやっていることは、できあいの錠剤シートの数を数えて売るだけなので、小学生でもできるような仕事である。「調剤基本」も「調剤技術」も「薬学管理」も「薬歴管理」も何もない。
 まあ、「管理」の方は、「他にお薬は飲んでいらっしゃいませんか」「はい」のやりとりで料金が発生するのかもしれないが、「調剤」のほうは噴飯物だ。
 ___

 話が本筋から逸れた。結論を言うと、同じ薬を同じだけ売っても、薬局は「薬剤料」以外の部分で請求できる金額が違うのである。
 もちろん、自由に料金を設定できるわけではない。日本の保険医療からは、そういう競争は排除されている(なのにどうして用語が統一されていないのだろう)。

 では、なぜ違う料金になるのかというと、たとえば、
・一定以上の割合でジェネリック薬品を販売している薬局
・多数の医療機関の処方箋を扱っている薬局
は、料金を高く請求できるのだそうだ。
 他にもいろいろあるのだろうが、例として伺ったのはその2つであった。

 要するに、厚生労働省の方針に従っている薬局ほど、薬を高く売りつけることができるということである。安いジェネリックを薬局が勧めるのは不思議だなあと思っていたのだが、そういうからくりがあるからなのだ。

 患者の側から見れば、まったく同じ薬をもらうのに、薬局によって支払額が変わってくることになる。しかも、一般的な競争ではないので、デパートなら高くてスーパーなら安いというようなわかりやすい尺度がない。その上、価格が表示されている商店と違い、実際に買ってみなければいくらなのかがわからない。

 上の2例だけに限って安く薬を買うコツを述べるならば、

・ジェネリック薬品を嫌っている病院の門前薬局で、他の病院で処方されたジェネリック薬品を買う

のが一番安いということになる。具体的にどこがいいか思いつきますか?
 ただし、そういう人が増えると、その薬局でもらう薬は高くなるし、実際にはもっといろいろ複雑な理由で請求額が違ってくるようだ。
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 病院の場合も、お役所の言うことに従っている病院ほど、同じ治療をしても高い診療報酬を請求できるということになっているのは、以前から一応知っていた。厚労省はそうやって医療の方向性を操縦している。

 百歩譲ってそれはいい(仕方ない)としても、ではどうすれば安くて質のいい医療を受けられるのかの情報開示が乏しい現状では、患者は医療を選べない。
 安かろう悪かろうではもちろん困るのだが、私がもらっているような薬の場合、モノはまったく同じだから、価格だけが重要なのである。

 私はネオリベのような自由競争万能主義者ではない。しかしながら、いっそのこと、たとえば薬剤料以外は自由競争にしてもいいのではないかと考えてしまう。
 処方薬以外はもともと自由競争なんだし。

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