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2016.05.01

■「帰還困難区域」

 福島第一原子力発電所の事故後に設定された「帰還困難区域」は、立入禁止になっていたり通行許可が必要だったりする一部の(広大な)地域を除いて、一般人は四輪車でのみ通行が許されるようになっている。
 二輪車や人は通ることができない。生身の体が放射線に曝されるのを避けるためだ。

 うち捨てられた、というより、捨てることを余儀なくされた家家家家家、店店店店、車車車・・・

 放射線値は低くない。

 測定限界以下を示す 0.05 以外はあまり見ることのないシンチレーションカウンターが、福島第一原発北西の国道6号線では、2.05 μSv/h を示した。
 すべて閉めきった車の中でその数値である。それがどれほど危険なのかはわからないが、通常値の数十倍であることは間違いない。

 走っても走っても廃墟が続く。

 特に店舗は、生活しているらしき家がちらほらと目につきだしても、一つも営業していない。やっと開いている店(セブンイレブンだ)を見つけたときには、2.05 μSv/h 地点から北へ20km以上走っていた。
 南側はもう少しマシなのだろうか。もし同じ距離だとすると、40km以上にわたって店がないことになる。

 そういえば、「原発から半径20km以内の地域では」という言い回しをよく目や耳にする。その範囲内にも「帰還困難区域」より放射線量の低い「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」があるが、商店に関していえば、ほとんど営業していないのではないかと思う。たぶんゼロではないだろうか。

 国道6号線沿いに、もし40kmにわたって店がないとすると、その距離はほとんど京都−大阪間に匹敵する。関東でいえば、東京−鎌倉間だ。
 それら2つの都市を結ぶ直線に近い国道があったとして、その沿線に存在するすべての店舗が(そしてほとんどの家屋が)廃墟となっているさまを想像してみてほしい。
 もちろん、数としては現実の関西や関東より建物も人口もはるかに少ない(かった)ものの、その距離には慄然とせざるをえない。その間廃墟が続くというのは、文字通り「想像を絶する」のではないだろうか。

 原発被害については、飽きっぽいマスコミも腰を入れて報道を続けている。それをそれなりに見聞きしていても、現実がこうだという感覚は、私の中には形成されていなかった。

 ああ、またしても、自身の想像力のなさを嘆かざるをえない。こうして実際に現場を走ってみなければ、やはりその凄さを(たとえその一部でも)感じることはできなかったのである。

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