2018.05.20

■「もう会いたくないね」

 「情熱大陸」というテレビ番組で、世界でも稀だという猛禽類専門の獣医師を特集していた。

 氷結した湖面上の大雪原で傷の癒えたオオワシを自然に戻した後、
「いい飛びっぷりだなあ」
「戻ってきてほしくないね」
「もう会いたくないね」
とつぶやくシーンがもっとも印象的だった。
 ___

 折しも、うちでも小鳥を保護していた。

 まだ寒かった先月の雨模様のある日、山の中で瀕死の夏鳥を見つけたのだ。ヒナではなく成鳥である。
 バタバタはするのだが、飛べないどころか、足元で仰向けにひっくり返って起き上がれないほど弱っていた。そのままでは、翌日まで命をながらえることすら難しそうだった。

 一緒にいた先達としばし顔を見合わせ「どうしましょう?」と悩みながら、今日明日にも死ぬよりはと、思い切って保護することにした。
 右の羽を傷めていることはわかっていたが、帰宅して子細に見ると、右目がつぶれてふさがっているようにも見えた。
 それだけではなく、衰弱しているので、ともかくも体温を保持させなければと、使い捨てカイロを総動員して間接的に温めた。箱の中に入れるとカイロが空気を消費してしまうので、箱の下に敷く。

 文鳥なら飼っているが、この小鳥はおそらく、生きた虫しか食べない。早速調達してきても、食べようとしないし水も飲まない。
 無理に食べさせることがよくないのは知っていたものの、こんな調子でどうなることかと気を揉んでいたのだが、次の日にはなんと45匹も食べ、ちょっとほっとする。

 ところがその後、50, 55 と数を増やしていっても、体重は減り続ける。ほとんど運動していないのに体重が減るというのは、もっと食べなければならないということだ。
 80匹にすると、ようやく体重が安定した。

 ほんの 11g ほど、500円玉2枚に満たない体重の小鳥である。そんな小さな体で毎日3gくらいのエサを食べていることになる。人間に換算すれば十数kgの食事をしているのと同等だ。それほど彼らのエネルギー消費は激しいのである。

 栄養が偏るといけないので、いろんなエサを食べさせようとしたが、結局は生きた虫しか食べなかった。
 クロレラ入りのボレー粉にミールワームを入れると勝手に潜っていく。それを探し出して食べさせることで、少しでもカルシウムやらビタミンやらが補えればと願っていた。
 ___

 最初はクチバシをカチカチいわせ始め、そのうちヒーヒーと鳴きだし、やがてはたまに囀るようになった。
 右目は徐々に癒えて、正常に戻っていった。もともと、眼球自体は無事だったようだ。

 初めは数十センチ飛び、数メートル飛びして、そのうち、家の端から端までくらいは飛べるようになってきた。それ以上飛ぼうとしても、壁やら窓やらが立ちふさがる。憐れな小鳥は、そのことに戸惑っているように感じられた。

 今さらながら、自然界にはそんなものはないことに気づいた。

 お気に入りの場所は、テレビの裏の配線がごちゃごちゃしているところである。おそらくは小枝に見立てているであろう配線に止まり、ケーブルから別のケーブルへと移って落ち着いている。

 このまま保護を続けるか、自然界に戻すか悩んでいた。

 飛べるようになったとはいえ、右の羽の異常は治っていない。骨折していてそのままの形でまたつながったのだと思われる。
 その点を除けば、日に日に元気になり、エサを取り替えようとすると箱から飛び出していくのが日常的になった。

 家族会議(笑)を開き、いずれは自然に戻さなければならないし、どうせ戻すなら6月よりは5月の方がいいだろうとは考えた。
 体は十分に元気だし、保護を続けても、羽がこれ以上よくなる見込みもなさそうだ。

 それでも、自然界で生きていけるのか、放鳥することはすなわち死に追いやることになるのではないかと、かなり悩み続けていた。

 そんなある日、昼間みごとに囀った夜、入れていた箱から上手に脱走した。

 これほどたくましいならあるいは・・・と、自然界に戻す決心がついた。
(脱走しないための改善をものともせず、その後も2度ほど脱走した ^^)
 ___

 保護してから1か月と5日目、元いた場所近くの山林で、運搬用の小さな箱を開いた。

 しばらくして箱から飛び出し、一度地面に降りたときにはどうなることかと心配したが、ややあって飛び上がり、十メートルほど先の枝までみごとに飛翔した。
 さらに別の枝に飛び移り、その後は幹にとりついて、樹皮の間の虫を探す仕草をしている・・・

 自然の中では やっていけない可能性が高いかもしれないと思っていた。だが、これならあるいは、少なくとも秋が来るまでは、狭い箱の中ではなく、大きな自然の中で自由に飛び回ることができるのではないかと、一縷の望みが生まれた。

「まあまあの飛びっぷりだなあ」と少し安心した。
「戻ってきてほしくないね」とも思った。
 しかし、
「もう会いたくないね」とは、まったく考えなかった。

 できればその日のうちにでも、もう一度会いたいと願った。
 そして、来月か再来月、あるいはまた秋にでも、万一再会できれば、躍り上がって喜ぶだろうと思う。
 
 
 
※念のため
1.「ヒナは拾わないでください」。
2.成鳥であっても、飼養することは法律で禁止されています

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2018.05.13

LibreOffice でクラリスワークスのワープロ書類が開いた!

 表題の通りなのですが、LibreOffice(私が使ったのは6.0.4.2:無料)でクラリスワークス(ClarisWorks)の古いワープロ書類が開きます。

 これは久々の・・・という感じがするくらいの朗報でした。
(少なくとも数年くらい前からは常識のようですが、迂闊にも昨日まで知りませんでした。)

 クラリスワークス → アップルワークス → Pages, Numbers, Keynote ときて、どのバージョンだとどれが開くとか細かいことはいろいろありますが、要するに今のMacではほとんど開けなくなってしまっているのです。
 書類が開ける開けない以前に、AppleWorks ですら、今の Mac では動かすこともできません。それがとても不便で、たまに困ることもありました。

 仕事の関係で20年前の名簿を開きたかったときは、古い Mac のアップルワークスでクラリスワークスの書類を開いて保存し、それを改めて古い Pages で開いて保存してから今の Mac にコピーして、新しいPages で開く・・・という手順で、何とか復元して使えるようにしました。
 二度とこんな面倒なことをしないですむよう、Excel で保存し直したことは言うまでもありません。

 Apple はどうして、新しいソフトで過去の書類くらい開けるようにしないのでしょうか。
 こういう前科があるので、Pages や Numbers や Keynote は使う気になれません。

 ふつうには開けないファイルがかなりの数あるのですが、どうしても開きたいというような強い動機がなければ、わざわざ面倒な手順を踏んで保存し直したりしようという気はなかなか起きないものです。
 ただ、「古い Mac」だっていつまで使えるかわからないし、いざ、どうしても開かなければ とか 開きたい とかいう事態になったときには、苦労しても開けない・・・というようなことになりかねません。

 理想的には、古いファイルを一括でワードやエクセルのファイル(テキストファイルや CSV でもかまいません)に変換できるツールがあればいいのでしょうが、商業ベースに乗らないためか、なかなか見かけませんでした。
 以前一度見つけた記憶はあるのですが、かなり高価だったこともあり手を出しませんでした。

 今回たとえば、半ば諦めていた2000年の海外旅行のファイルを LibreOffice で直接開けることができ、当時泊まったホテルを懐かしく思い出したりしました。
 旅程表の方は、表計算書類で保存していたので読み出せませんでしたが、表形式は読み込めていて文字化けしている感じなので、工夫すれば何とかなるかもしれません(ちょっとやってみた限りではダメでした)。

 ともあれ、クラリスワークスの古いワープロ書類が直接最新のMacで開けられるというのは相当な朗報です。LibreOffice の開発に連絡して、表計算書類なども開けられるようにみんなで要望を出せば、実現してくださるかもしれません。

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2018.05.12

■松阪牛麺

 もうかれこれ10年以上(だと思っていた)、いつか行きたいと横目で見ていた「松阪牛麺」に、初めて行くことができた。

 先日、例によって「ランチをどうしよう」と考え、久しぶりに「中はら」でステーキ(といってもセットで1300円です)を食べることにし、駐めにくい駐車場にバッチリ駐めて店の前に行くと、シャッターが下りていた。
 以前も同じことがあって、その時はまさか閉めたのかと思ったのだが、連休に開けていたための代休であった。今回も道すがら、休んでるかもなあ・・・とちらっと考えたのだが、やはり悪い予感は当たるものである。

 仕方ない、またコンビニでおにぎりでも買おうかと思いつつ、そうだ、この際「松阪牛麺」だ!と思いあたり、とうとう行くことにした。

 これまで行けなかった最大の理由は、「もっとも近い駐車場でも800m先」という立地である。駐車料金を払い、往復20分歩いてラーメン1杯を食べるというのは、なかなかハードルが高く、そうこうするうちに10年以上経ってしまったのだ(と思っていた)

 「思っていた」がしつこいので、なぜそう書くか説明すると、ネット情報では、オープンしてからまだ9年弱らしいからだ。
 うーん、どう考えても20年近く前からありそうなのだが、近年、月日の感覚がおかしいので、私の方が間違っている可能性も高い。

Img_0886_copy ともあれ、見慣れた店舗に初めて入った。わりとよく通る道なのだ。

 まずカウンターだけであることに驚き、次に食券方式であることに驚いた。

 そして、全粒粉を使った麺と、鰹・鯖・昆布の出汁に驚いた。

 自然ないい出汁をひいていて素晴らしいと思うのだが、これならいっそ、手打ち蕎麦にでもした方がいいのではないかと思った。まあ、手打ちは大変だから、それでなくても安くはない(1080円)のがさらに高くなってしまうだろうけれど。
 麺には最初違和感があったが、食べているうちに慣れたので、おそらく数回食べればさらにおいしく感じるに違いない。とにかく出汁のきいたスープが素晴らしく、残さずに飲み干してしまった。
 ラーメンでこんなことをするのは初めてだと思ったが、いや、これはあくまでも「松阪牛麺」であって、ラーメンではないと考えたほうがいい。

Img_0881_copy ちょっと残念なのは、出てきたときの見た目より、牛肉の量が少ないことである。なんだか騙されたような気がするほど、最初の見た目と実際の肉の量が違うように感じる。まあ、松阪牛を使っているとのことなので、これくらいが精一杯なのかもしれない。
 物足りなければ「松阪牛麺 肉盛り」という手もあるにはある。だが、なんとラーメン一杯で1680円になってしまうので、おそらく生涯(笑)食べる機会はないだろう。

 駐車場さえあれば時々は行きたくなるお店であったが、さて、これからどうなるか。

 今調べてみると、「中はら」でさえ、今年に入ってから一度も行っていない。去年は4回行っているが、それでも3か月に1度だ。やはり1300円はランチとしてはちょっと高いからかもしれない。

 松阪牛麺も、駐車場があって900円なら、ちょくちょく通うような気がする。

 後記:そうそう、ちょっと時間が遅かったせいもあって、私が入ってから出るまでに、私を含めて客は計7人だったのだが、会話等から判断して、その全員がおそらく初めての来店であった。写真でおわかりの通り、店の表に行列ができるほどの人気店のはずなのだが、大量の一見客で回っている可能性もありそうだ。

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2018.05.04

■2018年GW東北旅行ツイート集

 恒例になりました、GW東北旅行ツイート集です。ご笑覧くだされば。

2018/4/28 18:46 滋賀・福井県境で、まだ八重桜が満開だった。
2018/4/29 6:56 明るすぎて6時半に起床。日の出が4時台(と言っても56分)であることに驚く@新潟県上越市名立
2018/4/29 7:28 雪をいただいた山々が見えた。
2018/4/29 9:30 標高たった100mの何でもない山里に、まだ雪が残っている@新潟県長岡市小国町
2018/4/29 9:38 日射しが強くて冷房を入れているというのに。
2018/4/29 10:12 山古志村は残雪多し。
2018/4/29 10:45 八重桜、枝垂れ桜が満開
2018/4/29 10:56 道の駅入広瀬。いつぞやは満開だったソメイヨシノがほぼ散り果て。
2018/4/29 11:01 去年は雪で通れなかった国道252号が今年は通れる。一昨日冬季閉鎖が解除されたばかりだという。
2018/4/29 12:11 福島県に入って只見駅前。写真は雪割街道展望台からの眺望
2018/4/29 17:19 福島に入ってからミニストップがやたらに多い。久しぶりにソフトクリームを食べた。
2018/4/29 20:39 宮城県に入ってパスタの夕食
2018/4/30 6:52 6時45分、どうでもいいような「役所からのお知らせ」放送で起こされる。7時まで寝たいというような「怠け者」は、この辺にはいないのだろうか?
2018/4/30 10:10 女川町牡鹿半島の八重桜は散り初め
2018/4/30 10:32 石巻・女川には何度も来てるのに、牡鹿半島・コバルトラインの素晴らしさを今日まで知らなかったなんて・・・
2018/4/30 11:36 山中のスカイラインは平和だったが、津々浦々はことごとく復興途上
2018/4/30 13:33 女川、相変わらず、駅前の賑わいと奥との落差が激しい。
2018/4/30 14:09 忘れてた! 石巻にこんなものがあるのをまったく知らなかった。
2018/4/30 14:33 雄勝で遅い昼食。女川で食べそびれて、かえってよかったかも。
2018/4/30 17:15 気仙沼市街旧中心部、去年まで残っていた鉄筋コンクリートの建物の残骸はなくなっていた。だが、まだ更地になっただけ。
2018/4/30 17:44 陸前高田旧市街地は、見渡す限りの更地になっている。
2018/5/1 6:01 ここ遠野でも、朝6時に大音量のチャイム。スピーカーのすぐ横には家もある。信じられない。
2018/5/1 6:21 売り物の苗を運んできたおじさんに聞くと、5時には起きるということだった。何という働き者。見習・・・えるわけがないか。
2018/5/1 8:41 うちでいま食べているお米を作ってくれている農場に立ち寄った。のどかな山あい。
2018/5/1 8:50 なんかオシャレな、別の農家
2018/5/1 9:57 まもなく栗駒山
2018/5/1 11:10 どれが栗駒山なのかわからないが、結局こういうのが好きなんだなぁと思う。
2018/5/1 13:15 通りたかった県道が、なんと6月8日まで通行止予定・・・
2018/5/1 13:18 ソメイヨシノ?がまだ満開
2018/5/1 17:02 尾花沢やら最上川やら
2018/5/1 17:03 サクランボやモモがなるという。
2018/5/1 19:14 八重桜の綺麗なサイトでテント泊
2018/5/1 20:01 テントですら、こんなに広く感じられるとは。
2018/5/1 20:02 フクロウが鳴いてるが、これは自宅と同じだからありがたくない・・・か。
2018/5/1 20:47 パジャマに着替えて寝られるだけでも贅沢な感じ ^^;
2018/5/2 8:07 急に思い立って蔵王に向かう。いちど行ったからといってこれまで行かなかったのだが、前に行ったのはもう10数年前だし、季節も全く違う。天気がもってくれればいいが。
2018/5/2 9:39 蔵王、栗駒よりはるかに残雪が少ない。
2018/5/2 9:40 まだ晴れている。
2018/5/2 9:43 標高が高くなるたびにエアマットがパンパンに膨らんで困る。抜けばいいのだが、また入れるのが面倒。現在、標高1600m。
2018/5/2 10:38 アマツバメがシュウゥゥゥッと音を立てて飛ぶ@蔵王御釜
2018/5/2 13:20 適当な昼食場所が見つからない@福島市内。幸楽苑だらけ@東北。
2018/5/2 13:32 結局、大規模蕎麦屋(兼なんでも屋、トンカツはおろかスパゲティまである)になる。
2018/5/2 13:43 そうそう、目をつけた二八蕎麦屋は並んでたのでパスした。残念。
2018/5/2 15:03 栗駒も蔵王も磐梯もフキノトウだらけ
2018/5/2 15:21 ホシガラス初見!
2018/5/2 15:33 満開どころか、蕾まじりの桜もちらほら
2018/5/2 15:41 標高825mのソメイヨシノ
2018/5/2 15:43 この桜は?@835m
2018/5/2 21:17 雨の中、交通量のない真っ暗な山岳国道をえんえんと走ってくると、つまらない文明にもほっとする。
2018/5/2 22:06 雨に濡れた国道上に無数のカエル。多くは死体のようだが、申し訳ないけれど とてもよけられるレベルではない・・・@魚沼
2018/5/2 22:55 車中泊は雨音がうるさいことを久しぶりに思い出した。
2018/5/3 8:30 朝5時前、日の出とともに走り出した。「働き者」の仲間入り?
2018/5/4 8:43 帰宅した翌朝、枯れてしまったと思っていたアボカドから若葉が生えてきているのに気付いた。

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2018.04.25

★やはり、魔の水曜日

 先週もランチの話だったが、再びごく短く。

 満を持して、以前から行きたかった蕎麦屋を始めて訪れた。場合によっては「毎月一回はココ」というくらいの定番になる期待があった。

 首尾よく車を駐め、少し歩く。
 ところが、ちゃんと調べて行ったのに、なんと「定休日変更」で水曜日は休みになっている・・・
 臨時休業なら今日だけの落胆ですむが、定休日を水曜にされたのでは手も足も出ない。

 以前もイタリアンでこんなことがあった。

 付近の飲食店を探すも適当なのはなく(おいしそうなイタリアンが一軒あったが、ランチは2200円だったのでもちろんパス)、結局、駐車場に戻るまでにあったファミリーマートでおにぎりとチキンを買う羽目になった。

 北摂の各飲食店の皆さま、水曜定休というのはぜひおやめください。
 あ、こっちが仕事のスケジュールを変えればいいのか。でももちろん、それは簡単ではない。

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2018.04.24

★許せぬ誤訳

 書き出すとキリがないし面倒くさいので書くまいと思いながらも、再び誤訳の話を・・・
 まあ、前に初めて書いてから半年以上経ってるし、お許しくだされば(って誰に言ってるんだろう?)。

 「NCIS ~ネイビー犯罪捜査班」というドラマを見ている。
 NCISというのは、Naval Criminal Investigative Service の頭字語で、アメリカ海軍や海兵隊にかかわる刑事事件を捜査する実在の機関がモデルとなっている。

 捜査に参画するのは「連邦捜査官(Federal Agent)」で、これは FBI(Federal Bureau of Investigation)と同じ呼称だ。

 ところが、見ていると次のような字幕が出た。

 「うちは民間人による機関だ。中将の階級もここでは重みを持たない。」

 NCISが「民間人による機関」??? なんじゃそれは。どう考えてもありえない。

 巻き戻して台詞を聞くと、次のようなものであった。

Do I need to remind you why we're a civilian-run agency? With all due respect, Admiral, those stars on your shoulders don't carry much weight in this building.

 不自然ではない程度に直訳すれば「どうして我々が文民の運営する機関なのか思い出していただく必要がありますか(ないでしょう)。失礼ですが提督、肩の上の星(階級章)はこの建物の中ではそれほどの重みを持ちません」とでもなるだろうか。

 これをごく短く的確に訳さなければならない事情には同情を禁じ得ない。だから、全体として上記のような訳になるのは仕方がない。

 だが、"civilian" を「民間人」と訳したのはひどすぎる。この一点だけで、「この訳者は何もわかっていないのではないか」との思いがよぎり、落ち着いてドラマを見られなくなってしまう。英語だけ聞いてぜんぶわかるのなら字幕はすべて無視すればいいのだが、なかなかそうもいかない。

 この訳にはほとんど腹が立った。
 これはケアレスミスではない。プロの翻訳家として、語学力と常識/知識の両方が欠如していなければ起こりえない、あまりにもひどい訳である。

 そもそも、NCISは純然たる連邦捜査機関であり、連邦捜査官が「民間人」であるはずがない。この訳者だって、しょっちゅう、"Federal Agent" を「連邦捜査官」と訳しているのだ。彼らが現場に踏み込むときのジャンパーの背中にも仰々しく "Federal Agent" と書いてある。

 その彼らを「民間人」だと訳すというのは、「民間人」の意味がわかっていないからなのだろうか。わかっているとすれば、civilian のいくつかの訳語から、どうしてわざわざ、もっともこの文脈にふさわしくない「民間人」という語を選択したのか。また、「シビリアンコントロール(=文民統制)」というような言葉を聞いたことがないのだろうか。

 辞書を引けば(というか翻訳者なら引かなくても)すぐわかるとおり、この civilian は「(軍人ではない)文民」を指している。窮屈な字幕の制約の下でも、「うちは文民による機関だ。中将の階級もここでは重みを持たない。」と訳せば、むしろ1文字減るのである(「文民の運営する機関だ」と訳しても1文字の増加ですむ)

 これほど無知な人がプロとしてアメリカ軍隊ドラマの商業翻訳をしているという事実には、ほとんど愕然とする。
 ___

 調べてみると、当の訳者によるエッセイが見つかった。そこには、

今でこそ軍隊にまつわるドラマを何年も担当していますが、当初はアメリカ海軍と海兵隊の違いすらチンプンカンプン。しかし、必要であればやるしかない。「できます!」と手を上げて仕事を請けたのちに片っ端から資料や辞書を集め、軍事に詳しい友人の知恵を借りて泣きながら訳すことも。幸い、その後も継続的に仕事をいただけたので、最初の関門は突破できたのでしょう。
とあった(2017年2月)。

 訳者は2004年にフリーランスの翻訳者になっているが、「民間人」誤訳は2010年以降のことなので「当初」ではない。「関門は突破」して「継続的に仕事」をした結果がまだこれだとすれば、この業界の翻訳の質の低さに、「ああ、やっぱり」と嘆息するばかりである。

 そもそも「アメリカ海軍と海兵隊の違いすら」わからないのに軍隊ドラマをプロとして翻訳するなど、視聴者に対する裏切り行為である。ほとんどの人は、吹き替えや字幕(だけ)を頼りに映画やドラマを見ているのだ。

 今回は録画を見ていたので確認できたが、映画やテレビを見ていたのではそれさえできず、違和感を抱えながら観賞せざるを得ない。
 さらには、話がサスペンス/ミステリなので、何か引っかかる訳があると、それがヒントなのかとか伏線なのかとか頭を悩ませてしまうことにもなる(今回は当てはまらないけれど)

 この業界の翻訳の質が向上することを願ってやまない。

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2018.04.18

★微妙なイタリアン

 このブログのプロフィールにも書いてあるとおり、安くておいしいランチを常に探している。

 それがますます困難になってきた。

 もうかれこれ20年以上、私の狭い行動範囲で探し続けていると、なかなか新しい発見というのも難しい。
 外食物価も上がり、もはや1000円以内でまともなランチを求めるのも至難の業となってきた。
 また、これは元からなのだが、無料の駐車場のある場所でないと「安いランチ」にならないので、選択の範囲が狭くなる。
 そして、せっかく行きつけになっても、値段が上がったり移転したり閉店したりと、なかなかうまくいかない。
 最後に、もっとも外で食べる機会の多い水曜日を定休日にしている店が実に多い。

 そんな中、たぶんもう半年以上も前から行きたかったイタリアンに初めて行くことができた。
 なかなか行けなかったのは駐車場に不安があったからだが、案ずるより産むが易し、行ってみれば簡単に何とかなってしまった。

 これは行きつけになるかも、と期待に胸を膨らませて扉を開ける。
 その扉をはじめ、店内にもなんだか見覚えがあると思ったら、かつて行ったことのある割烹が出た後に、居抜きで入った店らしい。

 午後1時は過ぎていたが人気店(のはずだ)、かなりの混雑を予想していたのに客は2名で、「あれ?」と思った。
 こころなしか、奥様と思われる女性の愛想もよくない。

 ランチのパスタは常時20種類から選べるという話だったのだが、メニューには2種類しかない。どちらもそれほど好みではなかったので、別の単品を食べることにした。
 そうこうするうち、ぽつぽつと客も入り、13時半のラストオーダーまでに5名増えた。

 夫君と思われるシェフも無表情だ。ネットにあった、「夫婦はいい感じで愛想もいい」というような評判はなんなのだろう?

 ・・・と考えるうち、「あ、これは」と既視感がよぎった。

 夫婦喧嘩をしているのだ!

 いや、既視感はうちの夫婦のことではない。食べ物屋の夫婦が喧嘩してこんな雰囲気になっていたのを、かつて経験したのである。
 もちろん、今日のイタリアン夫婦が喧嘩しているというのは単なる憶測に過ぎないけれど。

 まあそれでもこちらは客なので、支払いの時には「ありがとうございました」と言ってくれるし、奥様にもちらっと笑顔が見えたような気はした。
 ___

 今日の単品は1000円以下だったが、パスタランチは飲み物やデザートなしで1280円だし、今日の雰囲気や料理やその他もろもろを考慮すると、再訪はないかなあ・・・と思いながら店を出た。
 わりとまとまりのない長い髪で料理しているのにも、ちょっと違和感があった。

 店を出て店舗前の黒板を見ると、ランチのパスタは常時20種類から選べるとはっきり書いてあった。
 店内のメニューと黒板では、かなり探したが見つけられなかったのに。

 いろいろ微妙なイタリアンだったが、パスタが選べるならもう一度行ってみてもいいかなと思う。

 今度は夫婦仲良くしているところで気持ちよく食事したい ^^;

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2018.04.15

★三たび美山へ

 特に予定のない土曜日、私としては珍しく朝早く?起きだしてしまったので、どこかへ出かけたくなった。
 幸い、まだ天気もしばらくは持ちそうだ。

 滅多にないことに、家人も同行できるというので、桜を求めて京北・美山に行くことにした。

 とはいえ、私は今春3度目になる。何か目標があったほうがいいと考え、昨初冬に見送った日本一背の高い木、美山の三本杉を見に行くことにした。

 家人は「おいしいものを食べるのだけが楽しみ」と薄情なことを言うのだが、京北にそんなものがそうそうあるわけもない。
 いつぞやのフレンチの線も考えたが、予約が必要なことと高すぎるのとで却下、「蕎麦美庵 物味遊山」を目指すことにする。ここは、1500円または1800円で、前菜・サラダ・メイン付きの十割蕎麦を食べることができる。

Img_0186_copy ちょうどお昼ごろに着いて昼食をすませ(満足感高し)、ウッディ京北でたまたま見かけた「田中店(たなかみせ)」の食パン(山食)を買い(おいしかった!)、黒田の百年桜を横目に見ながら、一路 美山の三本杉を目指す。大悲山峰定寺の駐車場に車を駐め、林道を歩くこと30分で目的の場所に着いた。

 その辺の木もほとんどが杉で、それなりに大木と言えるようなものも散見されるのだが、所詮は植林、三本杉の迫力はまったく別物である。「がっかり名所」を覚悟していた身には、十分すぎる巨木だった。
(高さが日本一だというんだから、そりゃそうですよね・・・)

 車に戻るまで雨が降らなかったのも僥倖である。

030a8824_copy 帰りは、ちょうど満開の黒田の百年桜を傘をさして観賞する。前回は、まだちらほら咲いているだけだった。
 ___

 3度来ても、京北はその度に満開の桜で迎えてくれる。まずはソメイヨシノ、次に枝垂れ桜、さらには百年桜というように。

Img_0189_copy いや、そう単純ではなく、いろんな種類の桜やら桃?やらハナズオウやらがそこここで競うように咲き誇っている。

 私の車で、バイクで、そして家人の車でも、もはや走り飽きた道なのだが、それでもやはり、京北の春は格別だ。

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2018.04.10

★気付かれぬ気遣い

 しばしば昼食を食べる寿司屋で、久しぶりに食事した。

 桜鯛が殊のほか素晴らしかった以外は、おいしいには違いないけれども、まあいつものお寿司である。

 寿司が終わって赤だしが出てきたので、蓋を取って横に置き、立ち上がる湯気で目を愉しませ、軽く香りを吸い込んでから、すぐに口に運ぶ。
 書くとそうなってしまうが、ほとんど何も意識していない一連の動作だ。

 だが、ひと口飲んだ瞬間、なぜか、いつもは気付かぬことに気付いた。

 もしこの赤だしが熱すぎたらどうなるのか。火傷しないまでも、あちち・・・となるはずである。
 なのに、なんの躊躇いもなく、ふーふーしたりすることもなく、そのまますぐに口に運ぶことが習慣になってしまっている。

 では、赤だしは冷めているのか。いやむしろ、熱いくらいだ。しかし、絶妙なバランスで決して熱すぎない。それが毎回同じなのである。

 そのことに初めて気づいた。
 ___

 この店の茶碗蒸しの蓋が常温であることには以前から気がついていた。
 別の店の茶碗蒸しは、おしぼりを鍋つかみ代わりに使わなければならないほど熱い。
 この店ではおそらく、蒸し上げてから蓋だけ取り替えているのだろうとは、以前から想像していた。客が構えずに蓋を外せるように。

 赤だしは、毎回必ず適温で供される。いつもより熱いとかぬるいとか思ったことは一度もない。それはどのくらいの精度なのだろう?

 家でカフェオレを入れるときは、作ってからレンジで暖めることが多いのだが、仕上がり温度が60℃と65℃とではまったく異なる。たぶん、63℃くらいの設定ができれば一番いいと思うのだが、60℃ではぬるすぎ、65℃では熱すぎるのだ。
 とすれば、あの赤だしの温度は、客の前に出されてすぐに蓋が開けられた時点で、(たとえば)63℃±1℃くらいなのではないかと推察する。
 そのくらいになるように、毎回計算されて(というか気遣われて)供されるのだ。

 その気遣いが当たり前すぎて、今日まで気付いていなかったのである。
 ___

 だしを引いたのが誰だかは知らないが、実際に運んでくるのは必ず、この道10年未満と思しき20代の若手である。まだまったく、寿司など握らせてもらえない。
 あとの2人はずっと握っているので、赤だしは若手に任されている。

 「何にもでけへん」「言うてもわからへん」とよく言われている男である。その人が出してくる赤だしの温度に、まったくブレがないとは。

 まあ、もしかしたら、適温に保つ湯煎の機械にかけていて、そこからお玉ですくえば自動的にあの温度になるのかもしれない。
 だがおそらく、それほど簡単なことでもあるまいと思う。
 ___

 相手に気付かれないほどの気遣いが本物の気遣いである。
 私が鈍感だっただけかもしれないが、あっぱれと言うほかない。

 省みてわが身、他人に対してどれだけの「気付かれぬ気遣い」をしているか。

 少なくとも家人には、「あれもしてあげたこれもしてあげたアピール」を欠かさないけれど。

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2018.04.07

★14時から美山を往復

 だいぶ前から「孫の手」が欲しかったのだが、それなりに探しても気に入ったのがなく、まあダメだろうなあと思いながらも、ひいきの銘木工芸店「山匠」にメールすると、なんと孫の手もお作りになっているというのを一週間ほど前に教えていただいていたので、桜のあるうちにと、出かけることにした。

 いずれにせよ、桜が散り果てる前に京北・美山へとは思っていた。

 前日からそのつもりだったのに、新年度で疲れたのか、起き出すともう正午前になっていた。天気も優れなかったのだが、夕食までには何とか帰ってこられそうだし、結局行くことにした。

 出発はなんと14時である。

030a8785_copy 家を出るときは晴れてきていたのに、亀岡からは雨になった。それでも、イワツバメの乱舞に慰められたり、満開に「戻った」桜を楽しんだり、新しい桜を「発見」したりしながら、2時間かからずに山匠に着いた。

 ご主人がお仕事の手を止めていろいろ見学させてくださった。
 その後、予定どおり孫の手を購う。キハダ・欅・一位・タモがあると伺っていて、事前に欅か一位(櫟)をと思っていたのだが、現物を見て色と木目が気に入った一位にした。

030a8789_copy 雨模様の中、違うルートで帰宅する。お気に入りの桜ポイントは時間差でさまざまな桜が咲くのだが、大木はほとんど散り果てていた。
 それでも随所でさまざまな桜を楽しむ。雨なのが残念だ。

 帰りの亀岡では久しぶりの虹を見て、無事18時40分ごろ帰宅。ちょうど夕飯に間に合った。

 14時から動き出してもこれだけ充実した日を過ごせるのだと気づかされた。

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