2019.09.07

■スリーレターコードは学名か

 Webを見ていると、右肩に「ベトナム行くならベトジェット」という、水着美女?が並んだ怪しい広告が出たので、興味本位でクリックしてみた。
 当面、ベトナムに行く気はないけれど、なにしろ100円とか書いてあるのだ。いくらLCC(Low Cost Carrier)の超限定価格だとしても、100円とかがありうるのだろうか。

 実際にはいくらなんだろうと、試しに路線を選ぼうとしたところで、Ho Chi Minh(SGN) と出たのにびっくりした。

 南の大都市、ホーチミンは、ベトナム建国の父である国民的英雄の名前がそのまま名称に使われている。
 そのホーチミンのスリーレターコード(空港を表す英字3字の略称:羽田=HND, 成田=NRT, 伊丹=ITM, 関空=KIX)が、SGNなのだ。

 これは明らかに、ホーチミンの旧称、サイゴンから作成されたものであろう。それが今も使われているのである。

 え!?、だったらサンクトペテルブルクはどうなのだと思って調べると、みごとにLED。
 照明に使われている LED(Light Emitting Diode)ではない。もちろん、旧称のレニングラード(LEningraD)であろう。

 サイゴン→ホーチミンの例とは逆になるが、レーニンがこんなところに生き残っていたとは。
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 鳥の世界で有名な間違い?として、コマドリの学名の最後が akahige、アカヒゲが komadori だというのがある。

 これが取り違えに起因することに触れていない図鑑も多く、コマドリの学名が akahige だと書いた本を前にすれば、ミスプリントだと考えるのがふつうだ。
 だが、いったん決めた学名を変更すると混乱することから、間違えたまま定着させているのが、コマドリは akahige、アカヒゲは komadori なのである。この場合、図鑑は正しい。

 空港のスリーレターコードも、混乱を招かないように最初に決められたものが使われているのだろうか。

 いま調べてみると、ヴォルゴグラード(旧スターリングラード)は、VOG であった。
 空港ができた時期によるのだろうか、それともスターリンがらみのスリーレターコードは排除されたのか。
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 後記:実際に検索してみたところ、関空〜ホーチミン往復運賃の最安値は、受託手荷物なしで2万2340円だった。
 ベトナムには行ったことがあるのであまり食指は動かないが、たとえばこれくらいでタイやラオスに行けるのなら、この秋に行ってみてもいいような気もする。

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■ラトヴィアの道路標識、練習問題

 この標識の意味はなんでしょう?
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2019.09.02

■Over Siberia vol. 5 ──バルトドライブ四方山話

 先述の通り、エストニアでは特に交通ルールがよく守られていたが、一般道をメーター読み90km/hくらいで走っていると、抜かされることもときどきあった。
 その割合は、ラトヴィア・リトアニアと南下するに連れて増えていった。

 さて、90km/hで走る車を抜かすときの速度はどのくらいになるか。速度差から見て、たぶん110km/hくらいは出ていると思われた。
 対向車線の車は、ふつうは90で近づいてくる。すなわち、互いの相対速度は200km/hに達することになる。

 にもかかわらず、追い越し禁止区間はほんとに必要最小限で、ほとんどの場所で追い越しが可能だ。
 危ない思いをしたことはなかったが、真正面から車が200km/hで近づいてくるのはあまり気持ちのいいものではない。

 追い越される車が右寄りを走行し、追い越す車が真ん中を、対向車線の車も少し右に避けて、3台が2車線を使う形ですれ違ったのを一度だけ見た。すぐ横を速度差200で車が通過するのを考えるとぞっとするが、互いに?譲り合って衝突を避けようとしているのかもしれない。
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 驚いたのは、高速道路的なエストニアの片側二車線道路(高速道路は存在しないそうである)でUターンが可能なことであった。
 というより、高速道路的な作りなのにインターチェンジがなかったりするので、左折するために、目的の場所を通り過ぎてからUターンして中央分離帯を越え、対向車線に入る方式が採られているのだ。その後右折することで、本来の左折の目的を達するわけである。

 左折できる交差点を設置するのと、対向側の追い越し車線へとUターンするのとではどちらがより危なくないのかはよくわからない。制限速度は90km/hである。もっとも、交通量がごく少ないので、Uターンで緊張するということはなかった。

 また、実際に見たのは2箇所だけだったと思うが、リトアニアの本物の高速道路(制限速度130km/h)でも、このUターン方式が採られているところがあるのにはびっくりした。交通量だって、エストニアとは比べものにならないくらい多かった。幸い、自分がそこでUターンする必要はなかった。

 びっくりしたといえば、高速道路的な道路はおろか、本物の高速道路ですら路側帯を走る自転車をときどき見かけたことである。一度だけだが、歩いている人も見た。
 確かに、自転車や人が通ってはいけないという標識を見た記憶はない。しかしながら、90km/h制限の一般道でも道の端を自転車が走っていると緊張するのに、路側帯がそれなりにあるとはいえ、130km/hの車の横に自転車がいるのは、やはりちょっと異様であった。
 これまでたぶん20を超える国で運転していると思うが、こんなことは初めてだった。
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 ヨーロッパでよく見かけるラウンドアバウト(ロータリー)についてはこちらをご覧ください。

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■Over Siberia vol. 4 ──バルトドライブの注意点(承前)

3.
C.駐車場について

 観光地や郊外の場合、無料ないしは安い料金で駐車場が整備されていることがほとんどなので問題ない。
 一度だけ、観光案内所でトークン(コインのようなもの)を買ってそれを投入することでバーが開くというシステムのところがあったが、それっぽい表示と英語による説明があった。

 街の場合は路上に駐めることになることも多いが、そのためには標識が読めた方がいいので、予習をしておくべきかもしれない。
 標識の単語自体は、ネット通信が可能であればGoogle翻訳のカメラ機能で理解できるが(Pマークの下にReserved的な単語をよく見かけたが、事前に登録している車のみ駐車可の場所なので注意したい)、ピクトグラムの方はけっこう理解に苦しむものもあった。

 おもしろいのは、日本と違って、禁止されていなければ駐めてもいいという発想が根本にあることだ。いや、日本だって本来はそうなのかもしれないが、現実に道路上に駐車することはほぼ不可能になっている。
 バルトに限らずヨーロッパの街は、たとえば夜間や土日なら街中にいくら駐めても無料だとか、そういう場所がたくさんある。道路自体、駐車することを見越した構造になっていることも多い。歩道に乗り上げて駐めろとピクトグラムで指示しているところもあった。

 月曜から金曜日の日中は2時間までタダというのをよく見かけた。その場合、レンタカーのダッシュボードに入っているオモチャの時計のようなもので駐車した時刻を示し、ダッシュボードに置いておく。それがなければ、紙に時刻を書いておいてもよい。そこから2時間なら2時間無料になるので、街の観光にはそれなりに十分だ。
 どうせ2時間も経つと疲れてくるので、いったん車に戻って駐車場所を変えれば、またそこから2時間無料になる。そうしている(であろう)車を実際に見た。

 「父」のようなマーク(ハンマーを交差させて労働日を表している)の下に10-16, 2 val とか書いてあれば、平日の10時から16時までは2時間無料、それ以外の時間は駐めてはいけないのではなく駐め放題である。ただし、前述のオモチャの時計は外から見えるように置いておく必要があるとのことだった。

 パーキングチケット方式もよくあるが、それもチケット販売機の案内や標識を見ると夜間や土日は無料だったりするので注意が必要だ。

 わからなければ地元の人に聞くのがいい。ラトヴィアやリトアニアでは、No English にけっこう悩まされたが、少しでも英語の話せる人は親切に教えてくれた。
(ちなみに、言語的に英語と遠いエストニアで、もっとも英語が通じた。ラトヴィア語とリトアニア語は英語と同じインドヨーロッパ語族なのだが、なぜか話せない人も多かった。)

 一度、「ここから駐車可」の看板の手前に車を駐めたときは、地元の人がそこはダメだとジェスチャーで教えてくれて事なきを得た。なるほど、その看板の裏は駐車禁止、つまり「ここからは駐車不可」だった。Pの看板がデンと立っているので安心して駐めたが、それがどこからどこまでなのかには注意する必要がある。

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2019.09.01

■At Vantaa Airport ──バルトドライブの注意点(承前)

3.
B.スピードに注意

 国境を越えると、その国における速度規制の概要などを表示した看板が設置されているが、一瞬で通り過ぎると把握できないことも多い。
 だが、一般道では90km/h、街を通過中は50km/h、街中は30km/hというのが基本である。

 もちろん、これらと異なる速度が標識によって指定されている場合はそれに従う。

 30の場合は表示されているので、ふだんは90・街は50と、とりあえず覚えておけばよい。
 これとは別に、リトアニアには高速道路があって、130か110が指定されている。

 問題は、標識の数が日本とは桁違いに少ないことだ。
 街に入るマークを見たら自動的に50まで減速しないといけないのだが、多くの場合、50の標識はないし、街マークを見落とすことも少なくない。
 それほど風景が変わらないこともふつうで、漫然と90で走っていると、なんと40km/hの速度違反ということになってしまう。
 街が終わるマークを見落とすと、50で走り続けて、「90まで出すべきなのに」と焦る、後ろの車から煽られることになる。

 やっかいなのは、90で走っている最中にしばしば現れる、「(交差点が近いから)70」という標識だ。わりと交差点の直近で出ることが多いのだが、そんなに一気に速度を落とせないので、70になるころにはもう通過しそうになっていたりする。

 もっとも困ったのが、この70規制の終わりがほとんど表示されていないことである。
 「要するにその交差点さえ終わればまた90に戻していいのだ」と確信するころには、旅行は終わりつつあった。それまでは、びくびくしながらしばらく80とかで走り、煽られて90まで速度を上げたりしていた。

 今回の旅行では、速度には特に慎重であった。それというのも、(結局は)6km/hの速度違反で検挙されたというブログを事前に読んでいたからである。
 あれを読まなければ、もっと大らかに走れたかとも思うのだが、私も検挙の憂き目に遭っていたかもしれない。痛し痒しである。

 そうそう、2度目のラトヴィアからリトアニアのカウナスまでの道のりを Google Maps に表示させたところ、速度監視のカメラが10箇所近く表示されて、走るのが怖くなった。
 日本の Google Maps でも表示すればいいと思うのだが、あると調べたくなって面倒だろうか。

 いずれにせよ、速度違反にはくれぐれもご注意を。

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■Over the Baltic States ──バルト三国ドライブ情報

 シートベルトサインが消えたので、とりあえずパソコンの蓋を開けてタイトルを書いたが、特に何を書くという目的があるわけではない(副題は後でつけた)。

 飛行機は南に向けて離陸し、180°右旋回して北に向かっている。ちょうど右下にヴィリニュスの街が見えるはずなのだが、与えられた席は左側で残念がっていると、湖上に浮かぶトゥラカイ城が見えてちょっと感激した。

 そうだ、せっかくバルト三国をドライブ旅行したのだから、今後同じことをやろうという方にとって役に立つ(かもしれない)情報をいくつか記そうと思う。

1.旅程は南から北にすべし。

 私たちは、いちばん北のタリン(エストニア)から入ってラトヴィアを経由して順次南下し、最後にヴィリニュス(リトアニア)に至るという計画を立てた。
 その問題点がおわかりだろうか。愚かな私にはわからなかった。

 もちろんまっすぐ南に向かうわけではなく、東西に進路を振るにしても、これは要するに、ずっと太陽に向かってドライブしていくということを意味する。夏とはいえ、緯度の高いバルトの太陽は低い。常に前方から光を浴びせられるのは、景色を逆光で見ることにもなるし、目だって疲れる。

 そんなこと想像もしなかったけれど、旅程は南から北にすべきである。

2.ドライブ事情全般

 「海外でドライブ旅行をしてみようかな」と考えるような人にとっては、楽勝だと言えるだろう。大都会を除いて交通量はごく少ないし、大都会などというのは数か所しかない。今回の旅行において、街中を車で走った都会は、リーガ(ラトヴィア)とカウナス(リトアニア)だけであった。

 初めての海外ドライブは、左側通行で英語国のオーストラリアやニュージーランド、それにイギリスなんかが推奨されるが、右側通行であることを除けば、道の狭いイギリスより運転しやすいんじゃないかと思う。

 エストニアに関しては、運転マナーもすこぶるよかった。ドイツの次くらいになるんじゃないだろうか。
 ただ、残念ながら、南へ下がるほどマナーは悪化し、リトアニアの都会に関しては、大阪なみというしかなかった。
 まあそれでも、道路事情が日本ほど混沌とはしていないので、名古屋や大阪あたりを運転するのにそれほどためらいがない人なら問題ないと思う。

 あ、そういう意味では、南から運転を始めるのはどうかなという面もある。ヴィリニュス・カウナス間の高速道路では「煽り運転」がふつうだったうえに、街中ではスキール音(キキキキキッ)を響かせる車も珍しくなかった。
 もっとも、高速では右側車線をおとなしく前の車について走っていれば問題ないし、街中の移動にはなるべく車を使わないようにすればいい。

 そうそう、飛行機に乗り降りする最初と最後の都会では車に乗らないのがコツである。空港から直接田舎に出ると楽だ。
 たとえばフランスを一周する場合、パリの空港から直接郊外に出て、最後にまたパリの空港に車を返してからパリ観光をする(いつぞやはパリの街中に返却してちょっと苦労した)。
 イギリスなら、ロンドンの空港から直接郊外へ出て北上し、エジンバラやインバネスあたりで車を返して飛行機でロンドンに戻り、街を観光する(これは成功した)のがお勧めだ。

3.ドライブの注意点

A.今さらながら右側通行。最初は常に「右側右側」と念仏のように唱えながら運転する。特に問題なのは右左折時。曲がり終わると本能的に左側に向かってしまうことも多い。
 まあそこまでは想定内で慣れてもいたのだが、Uターンが鬼門だった。転回し終えると左側を走ろうとすることが2〜3度あり、家人に注意してもらった。
 周囲に車がいなくなったからこそUターンするのだが、前後左右に車がいないので自然と左側を走りたくなってしまうようだ。
 あとは、駐車場内など、道路ではないところでどこを走るかにも注意したい。

B.スピードに注意
 ここまで書いたところで、左側にタリンの街を見下ろした後、飛行機がフィンランド湾に入って降下を始めた。今、すぐ前方にフィンランドが見える。着陸進入のアナウンスがあったので、とりあえず、ここまでにする。
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 ヘルシンキの空港でこれを書いている。

 飛行機は着陸予定のバンター国際空港を左に見下ろしながらいったんかなり北上し(窓外を別の飛行機が着陸していった!)、おそらく教科書どおりにコの字型を描く形でダウンウィンド・クロスウィンド・ファイナルと進入した。
 ヴィリニュスでも離陸後180°旋回、着陸のヘルシンキでも180°旋回である。どちらも南風が吹いていたのだろうか。
 これが北風ならストレートアウト・ストレートインで楽なのに、無駄な行程だ。

 空港のWi-Fiがあるので、とりあえずここまででアップする。「B.スピードに注意」以降はまたのちほど。

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2019.08.28

★バルト三国旅行記?

 バルト三国旅行の3つ目の国、リトアニアに入りました。

 申し遅れましたが、断片的な旅行記?を twitter に上げております

 掲載が遅れるようですが、こちらでまとめて見ることもできます

 ご笑覧くだされば幸いです。

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2019.08.21

★Over Siberia vol. 3 ──ビジネスクラスって・・・

 水平飛行に移ってからしばらくして、昼食が供される。

 横!のテーブルの上にはメニューが置いてあるので、それをお預けにしてエコノミーの食事とは考えにくくなった。

 60がらみの女性アテンダントがごく自然に食事の選択を聞いてきた。
 前菜の前にアミューズ。フレンチのフルコースが始まりそうな勢いだ。
 割り箸は高級感に乏しかったが、本物のナイフとフォークもついてくる。

 アミューズを食べて、「これ、めっちゃ本格的」と身を乗り出して家人に言う。

 その後の前菜が素晴らしかった。私は和風を選んだのだが、料亭の懐石料理もかくや、という味であった。
 家人は洋風を選んだのだが、「サーモン」と書いてあったので私は何の期待もしていなかった。それが「えっ !?」と思うほどおいしかった。

 メインのビーフシチューはさすがに和牛ではなく、家人が選んだ穴子と帆立の蒸し寿司もあまり感心しなかったが、それでも、エコノミークラスの食事とは比べるべくもない。

 食後にアイスクリームを希望すると、ハーゲンダッツがカップごと、ただし、ちょうど食べごろの固さで運ばれてきた。
 新幹線のガチガチアイスとは雲泥の差である。

 これまで食べたハーゲンダッツの中で一番おいしかった。
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 食後しばらくして、仮眠を取ることにした。
 シートは電動である。

 そうではないかと思っていたとおり、座席がフルフラットになり、完全に横になって寝ることができるのだ!
 後ろの人に気を遣う必要もまったくない。すべては間仕切り内で完結している。
 身長180cmでも問題ない。
 いつもの毛布ではなく薄い布団が用意されていた。

 飛行機に乗るたびに、お題目のように「どうぞ快適な空の旅をお楽しみください」などと言われるが、空の長旅が快適なのはこれが初めてである。

 「でも」と家人に言う。「これがふつうの人間が受けるべき待遇だよね。エコノミーの方はあまりにもひどすぎる」
 これまでエコノミークラスでさんざんひどい目に遭ってきた者が言うのだから間違いない。

 さらに、これからもひどい目に遭い続けるのは必定である。
 「こんな贅沢をしてしまったら、次からエコノミーがよけいに苦しくなるね」と家人。

 だが、ヨーロッパに行けるだけでもありがたい庶民は、その苦しさを堪え忍ぶしかないのである。
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 これを書き終わったころ、ちょうど飛行機は行程の半分ほどを過ぎて、シベリアのノリリスク近郊にさしかかっている。

 このパソコンより大きい画面で映画も見られるが、なんとなく見る気がしない。

 映画を見ていると、飛行機が目的地に到着してしまう。
 もっとずっと長く飛行機に乗っていたい。

 長時間の飛行でこんな気持ちになるのはもちろん初めてである。

 追記:その後映画も見た。ノイズキャンセリングではないと思うが、なかなかいいヘッドフォンで、いつもより何倍も楽しめた。

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2019.08.20

★Over Siberia vol. 2 ──望外の・・・

 面倒な荷物預けの列に並んだ後は、スムーズに出国して搭乗口まで進んだ。

 関西空港でまったく寄り道をせずにゲートまで行ったのは、もしかすると初めてかもしれない。
 去年中国に出張したときに見つけた秘密の?通路を家人に見せてやりたかったのだが、そんなことを思い出したころにはもうシャトルに乗っていた。

 Wi-Fi のあるうちにと、搭乗口でパソコンの用事を済ませたころ、乗客の金(キム)さんなどを呼び出すアナウンスがあった。
 「金様とか言われたって、韓国人の2割くらいは金ではないのか」とか思っていると、当然のことながら韓国語でもアナウンスが流れ、そちらはきちんとフルネームを呼んでいるようだった。

 「それにしても」と隣の家人に言う。「こういうふうに「ゲートで呼び出し」ってよくあるけれど、いったいどうして呼び出されたりするんだろう?」

 ところが、しばらくして、「ヘルシンキへお越しの氷室様、搭乗口までお越しください」と、自分が呼ばれることになって驚いた。
 「パスポートと搭乗券をお願いします」と言われ、何か問題でもあるのだろうかと心配しつつ、訝りながら手渡すと、「ビジネスクラスにアップグレードさせていただきました」と、新しい搭乗券とともにパスポートを返してくれた。

 「あ、ありがとうございます」と答えてから、喜びがわき上がってくるまでやや間があったが、それでよかったと思う。下手をすると、係員の前で飛び跳ねてしまうところであった。

 ややあって、家人が「これ、DとHだけど、離れてないよね?」と言うので、係員に確認する。確かに、隣が知らないおじさんだなどというのは避けたい。
 冷静を装いつつ、先ほどの係員に目配せして呼び、「これ、隣同士でしょうか」と聞くと、しばらく小首を傾げていたが、「ええ、大丈夫です。隣です」と答えてくれた。
 微妙に不安だが、まあいいだろう。

 「機内食なんかもビジネス用になるのかな?」と家人。聞きかじりの知識で「いや、こういうアップグレードの場合、食事はエコノミーだと聞いたことがある」と答える。

 それにしても、ヨーロッパ路線でビジネスクラス・・・

 マイレージですら経験はなく、自分でお金を出してなら一生ないような幸運に舞い上がる。
 これほどの幸福感を感じたのは、息子が生まれたとき以来、二十数年ぶりかもしれない ^^;
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 望外のビジネスクラスは想像以上に快適だ。

 頭が通路と近いのは少し気になるけれど、背の高い間仕切りでちょっとした個室のようになっており、家人だと視線の高さが間仕切りより下になる。
 隣だとはいうものの、ふつうに座っているとお互いに姿も見えず、コミュニケーションに支障を来すほどだ。
 これだと、隣がおじさんでもぜんぜん問題ない。というより、隣にはだれもいないという感覚に近い。
 「前に乗り出したときが何かしゃべりたいとき」というルールが、暗黙裡にできた。

 窓際の席でなくなったのが唯一の欠点だが、文句は言うまい。
 3年前にヘルシンキを往復したときも機中からの景色は堪能しているし、窓際のエコノミーよりも中央のビジネスがいいに決まっている。

 長くなったので、続きはのちほど。

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2019.08.18

★Over Siberia vol. 1 ──官僚たちと人々の悲哀

 2011年8月、アメリカ出張の帰りに、Over the Pacific という一連の投稿をしたことがある。

 今回は、Over Siberia、シベリア上空の機中で書いたブログをアップしていく。まずは最初の到着地、フィンランドのヘルシンキから。
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 お盆に、血のつながっていない甥たちと久しぶりに会った。

 国家公務員の総合職試験(いわゆるキャリア官僚向け)を受ける可能性があるということで、弟の方が昔の電話帳のような巨大な問題集を持ってきていた。
 その本を見ただけで、大昔、受けようなんて気を起こさなくてよかったと思わされた。

 内容がまた、英語・国語・数的能力から統計資料解釈や時事問題に至るまで、実に幅広い。
 それだけではなく、まあ当たり前のことだが、かなり難易度の高い問題ばかりである。

 数的能力や統計資料解釈の問題なんかをやってみると、高度な数学の知識は必要ないものの、なかなかに骨の折れる難問だった。
 ただ、所詮は22歳とかの学生が受ける試験である。仕事柄、英語や国語ならまあなんとかなるかもしれないと考えたとき、ふと頭に浮かんだのは、政治家たち(特に、今のトップ2)のことであった。

 22歳でこんな問題をそれなりにさくさくと解いていく能力のある人(でなければ中央官庁に採用されない)の最上位に位置する上司(トップ2の政治家)が、2人とも外国語もできず、漢字すらまともに読めないというのはどうなんだろう。

 幸い、官僚である上司なら、同じ関門をくぐり抜け、仕事でも研鑽を積んできた人たちだろうから、まだいいかもしれない。
 だが、偉くなればなるほど、外国語も漢字もできない政治家の下命を拝し、その意を忖度して働かなければならなくなる。

 「下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである」「彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の俊才李徴の自尊心を如何に傷つけたかは、想像に難くない」という『山月記』の記述が脳裏に甦った。

 もちろん、外国語も漢字もできなくても、尊敬すべき人物は多く存在する。
 心からそう思う。

 だから、より大きな問題は、彼らトップ2に、政治的・経済的大局観がなく、人々の生活を向上させようという情熱も見えないことであろうと思う。
 それに、どう見ても、偉大にも立派にも人格者にも見えない。

 あるのはただ、代々政治家で金持ちの家に生まれた上に、確かに立ち回りは上手だったという事実だけである。
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 一流大学を出て高級官僚になれば、やりようによっては人々のために尽くすことも少しは可能かもしれない。
 しかし、最上位の上司があの体たらくでは、多くは期待できない。

 それに、事務次官まで務めた(おそらくは)良心的な官僚すら、面従腹背を座右の銘にしながらほとんど何もできなかったという苦い事実を、私たちはすでに知ってしまっている。

 たとえ間接的にではあれ、選んだのは有権者なのだから諦めざるをえないのかと思う一方、いくらでも選び直せる可能性を追求していかねばならないとも考える。

 もっとも、外国語も漢字もできず、人格的にも見るべきところのない人物が史上最長の総理を務めることになるような政府と、それを選んだ国民とに、大きな期待はできないと思ってしまうんだけれど。

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