2018.10.17

◆♪はるばる行くぜ どこかに〜

 一昨年出かけたアイスランドでもらった、いわゆる「マイル」の期限が切れるという通知が来て、どうせ大したことはないだろうと思いながら調べてみると、訳のわからない「どこかにマイル」というのをやっていて、6000マイルあれば「行き先は選べないが国内どこかに往復できる」という。
(家人と息子はなぜか五千何百マイルだったのでどこにも行けない。まあ、いずれにしても忙しくて行けないんだけれど。)

 出発日時と帰着日時を指定すると、その時間帯に発着する(おそらく)空(す)いた便が候補として4箇所挙がる。そのうちの「どこかに」行けるということらしい。

 どこに行くかは選べない。

 最初やると、確か、東京・福岡・宮崎・但馬みたいな感じだった。いかにもぱっとしない。
(該当地域の方々、申し訳ありません。短期間で空港発着ということを考えると・・・ということです。それに、すべて行ったことがありますし、但馬なら車で行きます)。

 気が弱くて正直な私は、それでも、「上記のどこかに行く」みたいなボタンを押しそうになった。

 ところが、すんでのところで再検索できることに気づいてやってみると、札幌や那覇なんかも出てくることに気づいた。
 何度やっても大丈夫なようなので、録画したテレビドラマを見ながら調子に乗ってやっていると、熊本や長崎や秋田や花巻、出雲なんかも出る。

 しかし、そのうちどこが当たるかわからないので、少なくとも、4つの中に東京や但馬のあるのは避けようと思った。
 せめて、札幌・仙台・熊本・那覇くらいになれば、どれになってもまあ許せそうだ。それでも、すべてに行ったことがあるので、できれば行ったことがないところがいいなあ・・・と思いながらクリックを続ける。

 十数回ではきかないだろう、数十回やってみて、私の指定した日時で出る地名のリストが、おぼろげながらわかってきた。
 諦めて「上記のどこかに行く」みたいなボタンを押す気には、なかなかなれない。

 そうこうするうち、ふと気づいて、出発時刻を遅らせてみることにした。

 なんと!、いままで見たことのなかった、屋久島や隠岐の島が顔を出したではないか!
 函館もある。
(行きたい場所の発着時刻を先に調べておけばよかったんでしょうね、相変わらず愚かです。)

 いずれも行ったことはないし、特に屋久島ならぜひ行ってみたい。

 がんばれば、屋久島・隠岐の島・函館・那覇のゴールデンカルテットが揃うのではないかと思ってしばらく試したが、そううまくはいかない。相変わらず、東京や但馬も邪魔をする。

 結局、屋久島・隠岐の島・函館・花巻になったところで手を打った。「どうか、花巻になりませんように」(すみません、行ったことがあるからだということでお許しください)

 どこに行けるかは後日決まるというので、屋久島と隠岐の島のレンタカーを調べたりしていた。

 が、決まったのは函館だった。
 屋久島や隠岐の島でなかった がっかり感と、花巻じゃなくてよかったという安堵とが ないまぜになった「ちゆうくらゐなりおらが秋」である。
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 函館ならレンタカーの必要もないし、費用も浮くと思って自分を慰めている。
 北海道には何度か行って、そのうち2回は1周に近い感じで移動したのだが、函館のある南西の端っこの方だけは行ったことがない。

 屋久島にはもちろんもっとも行きたかったのだが、ふと、「いや、隠岐の島が一番ではないか」と考えた。

 屋久島や函館には、このままの人生が続くとすればいずれ行くだろう。
 しかし、隠岐の島に、たとえばひとり10万円(往復航空運賃と宿泊代)かけて行くかといえば疑問である。
 「マイル」というのは、まさに隠岐の島などに行くのに使うのが正しい使い方だという気がする(今回は選べなかったけれど)。
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 ともあれ、飛行機で北海道に飛ぶ機会があるとは考えていなかった。まして、函館(一都市)だけ見て帰ってくるような旅行もほとんどしたことがない。

 「マイル」や「ポイント」などというのは好きではないが、ふだんしないことをするきっかけになるのは悪くない気がする。

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2018.09.29

■「緊急事態」の多さ

 iPhone 7 Plus の iOS を12にしてから、なぜか Flightradar24 が「お知らせ」を出してくるようになった。それまではまったくなかったのに。

 Flightradar24 とは、その筋では有名な、世界中を飛んでいる飛行機の情報がリアルタイムで見られるアプリケーションである。

 もちろん「お知らせ」は止められるのだが、しばらくは出るにまかせておくことにした。

 すると、驚いたことに、毎日のように数件の Squawks 7700(緊急事態宣言)が出ていることを知った。

 ついさっきも、スペインのマヨルカ島のパルマ空港を飛び立ってイギリス南西部のエクセターに向かっていた飛行機が、緊急事態を宣言して、スペイン本土に少し入ったあたりからパルマ空港に引き返してきていた。

 気づいたときには、あと数分で着陸というところだったので、無事を祈りながら画面を眺めていると、(おそらく)通常通り着陸して滑走を終え、滑走路端近くで速度がゼロになったのを見て安心した。
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 ふつう、航空機に何か異常があったときには、地上の航空施設に連絡をとり、緊急事態の宣言を行うかどうかを機長が決める。
 宣言すれば、他のすべての機に優先して配慮される。

 その時、トランスポンダー(自動応答装置)の数字を 7700 にセットして、周囲に緊急事態であることを知らせることになっている。
 (ちなみに、無線で音声通話ができなくなれば 7600、ハイジャックされたら 7500 にセットする。)

 その緊急事態、7700 が、平均すると毎日2〜3件出ているような感じなのである。

 ものすごい数の飛行機が毎日世界の空を飛んでいることを考えると、多いという気はしないものの、そんなに緊急事態が宣言されているとは知らなかったので、ちょっと驚いた。

 もちろん、これまでに私が把握した 7700 は、すべて無事に(けが人もなく)着陸している(と思う。ニュースになっていないようなので)。

 先日、ニューギニア航空機がミクロネシアで滑走路をオーバーランして珊瑚礁の海に突っ込んでしまった(幸いというか、けが人は一人だけだったらしい)事故があったが、あれが 7700 を出していたかどうかは把握していない(おそらくそんな暇はなかっただろう)。
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 飛行機は、実につまらない理由でフライトをキャンセルしたり引き返したりする。

 あまり飛行機に乗らない私の経験でも、飛んでくるのを待っていた自分の乗るべき飛行機が、いったん出発空港に引き返してしまったためにずいぶん遅れたことがあった
 その原因は、「ドアがきちんと閉まっていないという表示が飛行中に出た」というだけのものであった。
 単なるインジケーターかセンサーの故障で、実際上、何か不具合があったわけではない。それでも、大阪から青森に飛んでくる途中、新潟まで来ていたのに引き返してしまったのだ。飛んでくる方が早いのに。

 でも、そういう場合には別にエマージェンシーを宣言したりはしない。もししていたら、世界中で毎日何百何千という 7700 が流されてしまうだろう。

 では、毎日のように数件流れる 7700 の中身は何なのだろう? さすがの Flightradar24 もそこまでは教えてくれない(と思う。調べたことはない)。

 たとえば双発機の場合、2つあるエンジンの片方が停止すればエマーを宣言することになっている。そういう例が多いのだろうか(念のため、単にエンジンが1つ止まっただけなら、双発機はふつうに飛行を続けて安全に着陸することができます)。
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 いずれにせよ、あらゆる乗り物の中で旅客機がもっとも安全なものの一つであることは、いろんな統計から見て間違いない。

 乗るときは、大船(大飛行機)に乗ったつもりでいたいと思う。

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2017.11.02

●19年ぶり

 家人の車が納車された。

 何ということのない軽自動車なのだが、やはり新しい車となると待ち遠しく、ちょっとわくわくもする。

 それが19年に一度というのはいかにも寂しい。まあ、その間に私は車を2回買っているわけだけれど、それでも世間と比べたら少ない方だと思う。

 現に、3年目で最初の車検を迎える私の車のディーラーは、次の車に買い換えさせようと熱心である。実際に買い換える人も多いからだろう。

 車は数少ない趣味の一つなのだから、3年に一度はともかく、せめて5年や7年に一度くらいは買い換えの楽しみを味わってもいいような気もしてきた。私の前の車もその前も、さすがに19年は乗らなかったが、いずれも十数年は買い換えなかったのだ。
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 今日は慣らし運転を兼ねて、石清水八幡宮飛行神社にお参りしてきた。前者は30年以上ぶり、後者は初めてである。セスナを飛ばしていたころになぜ行かなかったのか不思議だ。

 飛行機はそれで大丈夫だったし、無宗教でもあるのだが、やっぱり、こと乗り物に関しては、お守りくらいは持っていたいという気はある。祈祷まではしてもらわないけれど。
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 家人はまだ1秒も運転していない。これから練習に付き合わされる。

 ペットボトルで栽培している遅いトマトが色づき初め、ハバネロは花をつけた。

 すこーし幸せな気分。

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2017.09.14

■目に余る誤訳

 書き出すとキリがないし面倒くさいと思って今までほとんど書いたことがなかったのだが、直前のエントリに触発されて、つい先日「これはいくら何でも」が2つ続いたことを書く。
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 映画の吹き替えや字幕、特に字幕には制約が多く、元の台詞の1/3も訳せていないみたいなのがよくある。他にも、大胆な意訳や「超訳」もしばしば見受けられる。というより、省略と超訳が基本線みたいなところがあって、それは確かに仕方ない面もあると思う。
 ただ、その制約の中でも「もっとこう訳した方が」というのが非常に多い気はするのだが、それはこの際 問うまい。

 問題は、明らかな誤訳である。

 先日、「ER 緊急救命室」を見ていると、ヘリコプターのパイロットが "I'm gonna shut down for autorotation." と叫ぶ台詞があった。エンジンに異常が生じたので、安全に降下すべく、「オートローテーションを行うために(for autorotation)エンジンを止める(shut down)」、という意味である。

 オートローテーションというのは、ヘリコプターのエンジンを切って動力のない状態にし、自重で地面に近づいていく過程で、ヘリのローター(羽根)が風を受けて自然に回ることを利用して、その抵抗を使って安全に不時着する技術である。

 知り合いによると、大袈裟に言えばヘリの操縦訓練の半分近くはオートローテーションに当てられるというような話であった。
 「半分近く」というのはいくら何でも誇張だと思うけれど、ある程度の高度か速度があれば(両方あるのが理想)、ヘリコプターはエンジンが止まってもそうやって安全に降りられるように設計されており、操縦者もその訓練をしっかりと受けている。

 実際、ER のヘリも、誰も怪我することなく無事地上に降りた。

 その "I'm gonna shut down for autorotation." (「オートローテーションのために(エンジンを)切る」)の字幕が、なんと、

  「オートローテーションを中止する!」

であった。

 どうしてプロの翻訳家がこんな初歩的な誤訳をテレビで放送してしまうのか。

 「"autorotation" という「専門用語」の知識がなかったから」などというのはまったく言い訳にならない。そんなもの、1980年代の『リーダーズ英和辞典』(研究社)にだって載っている。
 さらに、万一その意味がわからないとしても、"shut down for autorotation" なのだから、「オートローテーションのためにシャットダウンする」という構文なのは明らかだ。
 この文型で autorotation を shut down の目的語にして訳すなど、ちょっと気の利いた生徒なら高校生でもやらないような間違いである。
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 「まさか、スクリプト(脚本)を見ないで聞き取りで訳しているとか、意味は何でもいいから雰囲気だけわかればいいとか、そんなことはないだろうなあ」と思って検索すると、まさに ER の翻訳者本人が、いかに苦労して訳しているかという講演をしている記録が見つかった。

 それによると、もちろんスクリプトを手に入れて、数多い制約の中、いかに努力して完璧な翻訳を心がけているかという話が、これでもかというほど述べられていた。特に、医学用語や表現に関しては医学監修者と綿密に打ち合わせて正しくかつ自然な日本語になるよう努力していたそうだ。

 もちろん autorotation は医学用語ではないが、それにしてもあまりにお粗末だし、この間違え方はいわゆるケアレスミスではない。
 字幕や吹き替えの制約も言い訳にならない。

 「オートローテーションを中止する!」と訳せるなら、
 「オートローテーションを開始する!」と正しく意訳できるはずだ。

 もし意味がわからないなら、いっそのこと「不時着する!」とでも訳せば、通常の字幕としてはぎりぎりセーフではないだろうか。
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 このような、「どうしてこんな・・・」と思うレベルの誤訳が、字幕にはしばしばある。冒頭に「書き出すとキリがないし面倒くさい」と書いた所以だ。

 ネットを見ると、字幕の大御所をはじめ、プロの翻訳家のお粗末な誤訳の例がこれでもかというほど指摘されている。
 (大御所を除けば)多くの場合、「忙しすぎて、時間がなくて、やっつけ仕事をしてしまいました」みたいなことなのかもしれないが、「それにしてもひどい」というのがネット世論のようで、私もそれに同調せざるを得ない。
 いったい、どんな人たちが翻訳しているのか、また、それほどの誤訳を積み上げても一線で活躍し続けられる理由は何なのだろうかと考え込んでしまう。
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 映画やドラマの誤訳の話はこれまでほとんど書かなかったし、この件もここに書くつもりはなかった。
 書く気になったのは、次の回の ER の放送で、またとんでもない誤訳を見つけてしまったからである。まあしかし、これはケアレスミスなのだが、

A:レガスピー先生よ
B:写真家の?
A:ええ
B:必要ないわ(※筆者注:←の訳は記憶による)

 見ていて???が頭の中で点滅した。レガスピーが写真家だとかいう話があったっけ? どうして "Psychiatrist?"(「精神科医?」) を「写真家の?」って訳すんだろう?

 (皆さんはすぐわかりましたか? 私は10秒近く???が続きました。その後やっと、「せいしんか」を「しゃしんか」と間違えていることに気づきました。)

 まあ、上にも書いたとおり、これはケアレスミスである。
 ただ、字幕を入力した人の単純ミスかと思ったら違っていた。何と、吹き替えに切り替えて聞いても、声優がばっちり「しゃしんかの?」と発音していたのだ。どうしてこの場面で唐突に「写真家」が出てくるのか? 誰かどこかで気づかなかったのだろうか・・・

 この「連続技」があって、前から溜まっていたフラストレーションをここで一度は晴らしておきたい気分になってしまった・・・
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 翻訳のご苦労は大きいと思う。でも、視聴者はそれを頼りに見ているのだ。もとの言語がわからなければ(ある程度わかる場合ですら)、翻訳した日本語がその映画やドラマ「そのもの」になってしまう。
 その日本語が、まったくの素人から「これでもか」というほど間違いを指摘されるようなものであっては困るのである。私たちは脚本すら見られないのだ。

 「人間のすることだからミスはある」という程度なら、ネットの誤訳騒ぎはあれほど盛り上がらない。

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2017.08.03

★ハドソン川の奇跡

 トム・ハンクス主演、クリント・イーストウッド監督。

 実に久しぶりにほとんど手放しで賞賛できる映画を見ました。

 ぜひ皆さまも予備知識なしでご覧ください。
 とは言っても、ご承知の通り、誰も死にませんし。

 不時着水の時のCGを除けば、ほとんど文句のつけようがありません。それだけに、そのひどさが際立ちますけど。
 もっともっと実際の着水に近く作れたはずなのに、わざとああいうふうに作って大失敗していると思います。

 まあでも、そんなことはともかく、ぜひ。

(Sully, 2016 U.S.A.)

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2017.01.24

■ドローン・オブ・ウォー

 まだ途中までしか見ていないのにこういうことを言うのもなんだが、現代に生きるだれもが見るべき映画である。

 これが未来のことではなく、むしろ過去のことだというのがまた・・・

 しかも、あのオバマ政権下ですら、こんな戦争が行われていたのだ。
(物語の細部はもちろん創作だろうが、ドローンを利用したこの種の作戦が日常的に行われていた(る)のは周知の事実である)。

 未来はいったいどうなるんだろう?

(Good Kill, 2014 U.S.A.)

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2016.08.24

★Welcome to HEL(L)

 あらゆる障害を乗り越えて、フィンランドのヘルシンキまではたどりついた。

 東日本を襲った台風はむしろ、われわれには味方して、フライトがキャンセルになった乗客でホテル(日航関西空港)があふれたために、望外のアップグレードを得、ワンフロアに1部屋しかないスイートに泊めてもらった。
 台風の被害を受けた方々には申し訳ないが、それはちょっとした僥倖だった。
 しかしその時、すでに「運を使い果たしたのではないか」という不安がまとわりつきはじめていた。

 定時運行率世界一だか欧州一だかを誇るフィンランド航空は、定刻より10分早く出るというので喜んでいたが、関空での離陸許可が遅れ、結局定刻くらいの出発になった。
 順調なフライトで、定刻にヘルシンキに着く。

 着陸前、フライトアテンダントがやってきて、「乗り継ぎ時間が短いので機の前方に移動してください」と配慮してくれた。お蔭で、15分ほどだけではあったが、ビジネスクラスの旅ができた。

 そこまではよかったのだ。

 だが、単にアイスランドのレイキャビクへと乗り継ぐだけなのに、降機後にセキュリティチェック・入国審査・税関と一通りの洗礼を受けなければならなかった。
 (入国審査は、日本人と韓国人だけはVIP扱いの別レーンでスムーズ、税関は申告なしで素通りしたが、セキュリティチェックで人の話を聞かない家人がひっかかり、数分をロスした)。

 当初からわかっていたのだが、乗り継ぎ時間は40分しかないのだ。
 しかも、実際には出発の15分前にゲートが閉め切られたので、25分しかなかった。

 降機後の一連の洗礼に、バスでのターミナルへの移動、遠くのゲートまでの必死の競歩を加え、アイスランド行きのゲートにぎりぎり滑り込んだ(と思った)。

 ゲートの係員は、われわれを待ち受けていて名前を呼ぶ。

 おお、よかった、間に合った!と思ったのも束の間、ゲートは7分前に閉めきったのでもう搭乗できないという。
 その時点でまだ出発時刻まで8分もあった。少しは食い下がったがやはりどうにもならない。

 教えられたフィンランド航空の乗り継ぎ案内窓口の場所も間違っていた。途方に暮れていたとき、降りてきたパイロットに聞くと親切に連れて行ってくれたのは本当にありがたかった。

 関空からヘルシンキまでの飛行機は満席だったのに、そこからアイスランドへ行こうなどという酔狂な物好きはわれわれ3人だけだったらしい。
 乗り継ぎ窓口の係員は親切にいろいろ対策を考えてくれるのだが、結局のところ、

1.コペンハーゲン経由レイキャビク 21時着
2.ベルリン経由レイキャビク真夜中着
の2択になった。
 もちろん1がいいのだが、コペンからレイキャビクへの座席が確約できないという。もしダメだったら、もう次の日のフライトになってしまう。
 最終的に、2番にせざるを得なかった。

 手続きにものすごく時間がかかったので、その間に電話を借り、レンタカー会社に連絡した(「無料のWifiがあるので、公衆電話はもうどこにもないだろう」と言われた)。

 終わってから、今日の宿にメールした。空港近くの宿なのでこういうことには慣れていて、何時になってもセルフチェックインができるシステムのようで、助かった。
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 今ごろは、もうアイスランドに着いているころだ。だが、いまだにヘルシンキの空港にいて、さらに1時間後のベルリン行きのフライトを待っている。
 それにしても、どうしてベルリンなんかに行かなければならないのだ??

 KIX(関西国際空港)からHEL(ヘルシンキ・ヴァンター国際空港)へ。

 Welcome to HEL(L)という声が聞こえてきた。

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2015.11.13

●空に浮かんだことのない飛行機の免許

 実に半世紀以上ぶりに開発された「国産」(部品の7割は輸入らしいが)旅客機、MRJ(Mitsubishi Regional Jet)が4年遅れの初飛行に成功した。

 まずはめでたい。

 だが、パイロットの名前が出ていたのでどんな人なんだろうと調べるうち、疑問が湧いてきた。

 最大離陸重量が 5700kg を超える飛行機を操縦するためには、機種ごとの免許が必要である。MRJももちろん該当する。

 現実に、パイロットはMRJを飛ばした。まさか無免許ではあるまい。

 しかしながら、MRJが飛んだのは、今回が初めてなのである。これまでただの一度も、主脚が地面を離れたことはなかった。

 ということはつまり、パイロットは一度も空に浮かんだことのない飛行機(MRJ)の免許を既に持っていた・・・ということになる。

 そんなことがありうるのだろうか。
 ___

 もちろんありうるのだろう。

 すべての飛行機には、初めて地面を離れる時が来る。その時にだれも免許を持っていないようでは、その機種は永久に飛ぶことができない(合法的には)。
 今まで気にしたこともなかったが、少なくとも、例えばアメリカやヨーロッパやブラジルやカナダなど、日常的に飛行機を開発している国々には、そのことに備えた法律が整備されているはずだ。

 日本はどうなんだろう。
 飛んだことのない旅客機を飛ばすなんてそれこそ半世紀以上ぶりなのだが、きちんと法整備できているんだろうか。
 シミュレータだけで免許を出すのか、特別な免許を用意するのか、仮の免許のようなものを与えるのか・・・ いずれにせよ、テストパイロットにだけ特別な許可を与える合法的な仕組みを作っているのだと思われる。

 マスコミ報道なんかをいくら探しても、その辺がどうなっているのか解説したものはない(と思う)。

 みんな気にならないのかな(なるほうがおかしいんでしょうね ^^;)。

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2015.08.22

★ウトナイ湖の野鳥サンクチュアリ

 素晴らしい環境なのだが、惜しむらくは新千歳空港のファイナル(着陸最終進入経路)直下に位置すること。ひっきりなしに轟音が響く。

 まあ、仕方ないかなあ・・・


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2015.07.26

●それでも事故は起こるので・・・

 費用と免許の面から単発飛行機(エンジン/プロペラが一つの小型機)しか飛ばせない自家用パイロットの間では、「単発機は飛ぶ前からエマー(ジェンシー)だから」というジョークが、自嘲と自戒とを込めた口調で交わされる。

 エンジンが2つある双発機は、どちらかのエンジンが故障などで動かなくなっても、残った一つのエンジンだけで飛行を継続し、着陸が可能なように設計されている(2月に台湾で起こった墜落事故は、操縦士が誤って正常な方のエンジンを止めてしまったことが原因だということが明らかになった)
 それでも、エンジンが一つ止まると、エマージェンシー(緊急事態)を宣言し、一刻も早く最寄りの空港に着陸することが要請される。

 エンジンが一つ正常に動いていて、特に危険なく飛べて降りられる飛行機でもエマージェンシーなのだから、エンジンが一つしかない飛行機は飛ぶ前から緊急事態じゃないか、というのが冒頭のジョークの趣旨だ。

 だから、パイロットは飛行前点検を怠らない。

 日常的に自家用車に乗っている人で、乗車前にオイルやら冷却液やらファンベルトやらの点検をしている人はまずいないと思うが、飛行機の場合は、チェックリストに従って、かなりの数の点検を必ず行う。

 以前乗っていたセスナ172のチェックリストを久しぶりに引っ張り出してみたところ、
  ・操縦席に落ち着くまでに50項目ほどを点検
  ・エンジンをかけるまでに20項目弱
  ・エンジンがかかってから7項目
   ○管制塔に移動許可を要請
  ・滑走路に向かいながら5項目
  ・滑走路手前で停止して20項目弱(エンジンランナップ(≒試運転)を含む)
   ○管制塔に離陸許可を要請
  ・滑走路進入前に5項目
というように、実に、のべ(=一部重複して複数回)100を超える項目について、Set, Checked, Free, Both, On, Off, Rich, Cold, Locked などと唱えながら、そして時には CLEAR ! などと恥ずかしげもなく叫びながらチェックする。

 そうまでして、何か異常があることは滅多にない。
 実際、私ですら一連のこの手続きを百数十回やっているが、何か異常があってエプロン(駐機場)に戻ったとか、あるいは離陸滑走を中止したなどということは一度もなかった。
 それでも、次回飛ぶときには、また同じ手続きを繰り返す。「まあ大丈夫だろう」などと手順をスキップすることはない。

 だって、飛ぶ前から緊急事態なんだから。
(双発や多発の飛行機でも、チェックの手を抜くことはないだろうと思います。念のため。)

 ただ、もちろん、単発だからといってほんとに「飛ぶ前からエマー」だというわけではない。

 セスナ172のような小型機でも、燃料系統・発電系統・点火プラグその他、可能なものはほとんど二重化され、自動車のエンジンのように頻繁に?止まることはないようにできている。
 一方で、機構がシンプルな分、逆に信頼性は高い。とにかく停止しにくいことを第一に設計されているのだ。
 ___

 それでも事故は起こる。

 パイパー社のマリブ・ミラージュによる今回の調布の事故でもっとも不幸だったのは、地上に巻き添えを出してしまったことだ。
 小型機が関連する事故は少なくはないが、地上の人命を奪ってしまった事故というのはちょっと記憶にない。

 報道から判断すると、何とか住宅地を避けられなかったのかという思いは残る。
 もちろん結果論だが、左旋回せずにまっすぐ飛んでいれば、中央自動車道手前の草地に不時着できた可能性も高い。そうすれば、かなりの確率でだれも死なずにすんだだろう。
 一縷の望みを託して、絶対にやってはいけないと教えられる、滑走路への帰還を試みたのか、それとも、揚力がなくなる失速を起こしてそもそも操縦不能だったのか・・・

 いずれにせよ、落下地点から計算すると、離陸から墜落までの時間はわずか30秒以下だろうから、冷静な判断の余裕もなく、墜落してしまったのかもしれない。

 気になるのは、先に移動していた飛行機を追い越して、滑走路手前でのエンジンランナップ(≒試運転)を行わずに離陸していったという点だ。追い越された飛行機のパイロット(元日本航空の機長)が詳細に証言しているので、それは間違いないだろう。
 もちろん、本来は滑走路手前でやるランナップは、エプロンで?すませていると運航情報官(都の委託職員だから「官」ではないけれど)に無線で申告しているということなので、それはその通りだと信じたい。

 いずれにせよ、何らかの判断ミス・操縦ミスがあったとしても、根本的にはエンジンの不調が原因だろう。

 現役の単発機パイロットには、「飛ぶ前からエマー」のジョークを、自戒を込めてもう一度思い出してもらいたい。
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 末筆ながら、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、怪我をされた方々の一刻も早いご快癒をお祈り申し上げます。

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