2017.09.06

■それぞれの人生

 今年のゴールデンウィークに東北をぐるっと回ったとき、信州を経由した。
 その時に北アルプスの絶景を見せてくれた峠に、今回も立ち寄った。

 先客の一人と何気なく言葉を交わし始めると、その方が白馬村在住だとわかった。生まれ育ちは大阪なのだが、こちらに住んで「写真やデザイン」の仕事を(おそらく)個人でなさっているという。
 フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントの4motion に乗っていらっしゃるので、経済的にも困窮していないのは明らかだ。

 「理想の人生ですねぇ。私なんかサラリーマン以外考えられません」と心底羨ましくて申し上げると、
 「いえいえ、来月の仕事があるかもわかりませんし」とおっしゃる。そう言いながら、もう何十年か写真家を続けているらしい。

 「アルプスなんかにも登って写真をお撮りになるんですか?」
 「撮りますよ。山渓(ヤマケイ)さんの仕事なんかもありますから」
 「いやぁ、ほんとに理想の人生ですねぇ」
 「いえでも、定年がないとはいえ、いつまでも山に登れるわけでもありませんし」

 確かに、60代前半に見える。

 そして、そうだろうなあとは思うものの、やっぱりにわかには納得しがたいのが次の言葉だ。

 「この辺の景色なんかもぜんぶ飽きちゃってて、何とも思いませんからね」

 じゃあどうしてここに車を停めて北アルプスを眺めているんですか、とは訊かなかった。その日はどっちにしても大した景色ではなかったのだが。

 「ご存知かどうかわかりませんが、この下のアルプスがきれいに見えるところに、ポツンとカフェがあるんですよ。ああいうのをやってみたいなと思ったりもするんですが」と私。
 「おやりになるのは自由ですけど、お客さんは来ませんよぉ。たまに来たらラッキーくらいに、趣味でやるんならいいですけど」

 まあ、そんなものだろう。写真とデザインを なりわいにして白馬村で暮らせる人だって、いったい何人いることか。

 別れてすぐ、名刺でももらっておけばよかったと思った。もしかしたら名のある人かもしれないが、名前も知らずに後で検索してみてもわからなかった。
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 その日の夕刻。

 次の日もその次の日も天気はよくなさそうだし、それなりに目的は達した気がしてなんだか面倒くさくなり、1週間ほど続く予定だった信州旅行をたった2泊で切り上げることにした。

 それほどの景色も望めなかったとはいえ、要するに飽きたのである。たった3日で。

 白馬在住の写真家が飽きてしまうのは当然だ。

 先方の人生は羨ましいけれど、飽きることが納得できればまあ、お互いそれぞれの人生なのかと考えざるを得ない。

 でもやっぱり、「白馬在住の写真家」って、絵に描いたような理想の人生だよなあ・・・という思いは拭いきれないんだけれど。
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 何にせよ、明日からまた仕事だ・・・

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2006.04.02

★シュノーケリング

 初めて本格的?にシュノーケリングをした。

 驚く方がおかしいのかもしれないが、水中を眺めたまま、1時間でも2時間でも顔を水中に入れていられるのだ。ほとんど魔法である。

 ダイビングを習ったとき、インストラクターが「ダイビングはスポーツではない」と言っていた。水中にぷかぷか浮かんでひたすら脱力するのがダイビングだというのだ。
 まあ、初心者はがんばって脱力するわけだが、慣れてくると確かに無重力の中に浮かんでいるだけの状態になる。水の抵抗があるので、少々動いても宇宙船の中みたいなひどいことにはならない。

 あえてダイビングをしなくても、シュノーケルだけつけて水面にぷかぷか浮いて脱力していてもいいのだ。どうかするとそのままうつ伏せで寝てしまえそうである。

 だが、水中には珊瑚礁と熱帯魚の群れ。マリンパックに入れたデジカメを振り回し、必死で写真を撮ろうとしている貧乏性が情けない。

 それでも、3日4日と経つうちに、ときどきは脱力するようになり、一瞬ぐらいは水面で寝た。

 天国・・・といえば、確かに天国に近かった。


 しかし、旅行ガイドに「もっともにぎわっている」と記載のあるビーチは、いつも人影まばら。沖合で熱帯魚と珊瑚に感動しているのは、常に私と息子の二人きりであった。

 みんな一体、南の島のリゾートに来て何をしてるんだろう。高級ホテルに滞在して本でも読んでるのかな。それなら羨ましいような気もするけど。

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2005.12.25

★24

 珊瑚に群がるカラフルな魚に別れを告げて熱帯を後にした24時間後には、遠く樹氷を眺めながら厚手のコートに身を包んで鳥を追いかけている。「え、あれって昨日のことだっけ?」

 「地球が狭くなった」と聞くたびに陳腐なタワゴトだと思ってきたが、やはり地球は狭くなった。
 そう実感したのは、フィンランドに出したメールの返事が次の瞬間に返ってきたとき以来かもしれない。

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2005.11.06

●Cカード取りました

 サイパンに行ってCカード(ダイビングするための Certificate)を取ってきました。いろんなことがありましたが割愛。

 一番驚いたのは、サイパン随一の繁華街で、泊まったホテルのあるガラパン地区の呼び込み。海外であろうと国内であろうと、夜の繁華街を歩くなんてことはほとんどないので何とも言えないのだが、今までの海外旅行で経験したことがなかったので想像もしておらず、かなり驚いた。

 次に驚いたのは、その呼び込みを初めとして、日本語がデフォルト言語となっていること。泊まっているホテルに「11月5日は選挙なので、北マリアナ連邦の法律に則り、アルコール類の販売はできない」旨の貼り紙があったのだが、その掲示が日本語だけ!でなされているのだ。泊まってるのは日本語人だけなのか??
 その他、どこへ行っても(というほどどこにも行ってないが)ほとんどすべての掲示に日本語が併記されており、これまたほとんどの人が日本語を話す(もちろん、観光関係者に限ります)。

 こんな「海外」は想像したこともなかったので、びっくりした。そういえば、ハワイにもグアムにも行ったことがないもんなあ・・・ もしかして、こういう感じなんだろうか。

 あ、一つだけ思い出した。初めてヨーロッパに行ったとき、経由地のアンカレッジ空港(アラスカ)にも日本語があふれていた。空港であれ島であれ街であれ、経済のかなりの部分を日本からの観光客に依存しているということはこういうことなのかと、初めて肌でわかった気がする。

 帰国してからダイビングショップのウェブサイトを見ると、日本語でしか対応していないと書いてある。海外におけるそういう商売を他に知らないし、考えたこともなかった。

 珊瑚礁と熱帯魚の海に差し込んでくる太陽を水中深くから見上げたのに劣らない、印象に残る経験だった。

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