●20倍の防振双眼鏡
通常、双眼鏡の倍率は8倍。それ以上だと、手振れで像が安定せず、かえって見づらくなったりする。
安定した保持に自信がある場合でも、まあ10倍。実際、まともな双眼鏡メーカーなら、この2つの倍率が大部分を占める。
あと、なぜか6.5倍というのがけっこうあり、視野が広くて便利だ。
博物館や美術館などでの利用、それに、いわゆる「推し活」にも向く。
屋内使用に便利な5倍、4倍・・・というのもないではないが、選択肢がごく限られる。
また、ごく一部の例外を除き、2倍3倍の製品はガリレオ式の簡易的なもの(「オペラグラス」を名乗っていることが多い)なので、お勧めできない。
以上は、手振れを気にしつつ手持ちで使う場合の話。防振装置(手振れ補正機能)のついた双眼鏡だと話は変わってくる。
キヤノンの双眼鏡は、8倍から18倍で、すべてが防振
ニコンの防振双眼鏡は10倍と12倍の2つだけ
ビクセンは10倍から16倍の4機種
サイトロンは10倍から16倍
そんな中、12倍から16倍で展開していた富士フイルムから、新しく20倍の防振双眼鏡、FUJINON TECHNO-STABI TS-L 2040 が出た(16倍バージョンも同時発売)。
20倍というのは、三脚に固定して使う望遠鏡の基本倍率である。また、三脚に乗せていても揺れで見づらくなったりする倍率でもある。
その倍率が、手持ちの防振双眼鏡でお手軽?に・・・ということで、ひさしぶりにちょっと欲しくなった。
倍率が高いので暗いのは仕方がないが、その他のスペックを見ても悪くなさそうだし(EDレンズも使っている)、デザインもそこそこ気に入ったので、思いきって購入することにした。
発売から1週間も経たない2月4日の時点で、調べたかぎりの在庫はAmazonの1点のみ。納期が明確な取り寄せの店で最短は3月中旬だった。
好き嫌いと価格の関係でAmazonを見送ってヨドバシカメラで注文したが、その時点での納期は未定だった。
Amazonでもほどなく売り切れ、ヨドバシからは途中で「6月中旬予定」と連絡がきてのけぞったのだが、結局3月15日に届いた。
現在は、ヨドバシで「次回入荷は2025年9月頃を予定」と表示されている。いいものは高くても売れるのだ。
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さて、いま愛用しているのはキヤノンの10倍防振双眼鏡だ。
これはキヤノンのフラッグシップ機で、像のコントラストも高く、逆光性能も素晴らしく、色再現性もよく、像も安定していて視野も広く、ほとんど申し分ないのだが、いかんせん10倍で、しかも大きくて重い。
それに、購入から20年近く経つので、この際、20倍!なのに より軽い双眼鏡を買ってもバチは当たるまい。
とりあえず家人には内緒で買ったのだが、鳥友経由ですぐにバレた。それほど渋い顔をされなかったのは幸いである。
細部に気になる点はあるものの、質感もよくてなかなか気に入った。
ただ、あいにくの雨で、鳥見にはまだ持ち出せていないし、月も星も見られていない。
それでも、高倍率のわりには、 飛んでいるカラスを追いかけるのも容易で、静止した対象を視野に入れるのも難しくない。
防振スイッチを入れれば像はぴたりと安定する。
気になるのは、ピント合わせがシビアなことだが、これは高倍率を考えると仕方がないか。
一部の望遠鏡にあるように、微調整用のピントリングを加えてもよかったかもしれない。
いわば、気軽に使える手持ちの望遠鏡を手に入れたようなもので、惰性の日常に小さな喝を入れていくれる存在になりそうだ。
ちょっと驚いたのは、「もしかしてこれ、防振なしでもそこそこ使えるのでは?」と思ったこと。
「防振なしの双眼鏡は10倍まで」と言い続けてきたが、20倍もアリかもしれない(信じないように ^^;)。
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