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2004.01.15

■『国境 お構いなし』

 いつものトラットリアでスパゲッティが来るのを待つ間に読み始めた。冒頭、思わずうなってしまうような内容に出くわし、実際にちょっとうなってしまった。
 仕事柄、本を読まない方ではない。が、ゆっくり本を読んでいる時間などなかなかとれず、特に小説類はもうほとんど読まなくなってしまった。他の本も多くは読めない。そういえば、1週間前に借りたビデオ2本にもまだ手をつけていない。いずれにせよ、本を読んでうなることも久しくなかった気がする。
 著者は、日本で最も有名な学者の一人、上野千鶴子である。ご存じない方には、東大教授というと通りがいいかもしれない。フェミニストだ(念のため、「女性に優しい男」ではもちろんない)。実に芸達者で、硬軟多数の著書がある。
 この本は「軟」のほう。それでも教養?がぷんぷんと匂ってくるが、ハタと膝を打った冒頭は、ふつうのエッセイふうである。ごく部分的な引用では伝わらないので、興味のある方はお読みいただきたい。そこだけならほんの2〜3分で読める。その最後の数行に惹かれた。もちろん、それまでの流れがあってのことである。
 「What am I doing here ? 《中略》この問いにいったんとりつかれたひとは、日本に帰ってもこの問いから離れられない。日常のただなか、《中略》突然この問いがささやく。」
 上野の言うとおり、まさに村上春樹的「やれやれ」である。

 そうか、ぼくのビョーキもこれだったのだ。やっと診断がついた。が、処方箋は・・・

『国境 お構いなし』上野千鶴子著 朝日新聞社2003 1600円

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