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2004.09.21

■また小型飛行機の事故

 また小型飛行機の事故があった。2004年9月20日、午後4時半ごろだそうだ。残念ながら、乗っていたお二人は亡くなった。直接面識はないが、狭い世界なので、やはりというか、友人の友人だった。西日本の小型機パイロットなら、おそらくは全員が「知り合いの知り合い」の範囲に入ってしまうだろう。つらいことだ。

 それにしても、なぜなのだろう。飛行中、飛行機がひどく壊れたのならどこに落ちてもおかしくはないが、おそらくはそうではあるまい。
 手元の航空地図によると、ぶつかった、淡路島の諭鶴羽山は、頂上でも1995フィート(608メートル)の高さしかない。事故機は南紀白浜空港から高松空港へ向かう途中だった。おそらくは、諭鶴羽山の向こうにある、淡路VOR(航法無線援助施設)を目指していたのだと思う。だとすると、航空法上、通常の高度は4500フィートだ。それならぶつかるはずがない。
 ところが、「事故当時、現場付近は濃い霧が立ちこめていた」(『朝日新聞』)らしい。とすれば、雲や霧(その中にいるパイロットが両者の区別をするのは非常に難しい)を避けようとして高度を下げたのだろうか。雲を避けるのが目的なら、必ずしも4500フィートを維持する必要はないのだが、遵法精神旺盛なパイロットであれば、航空法上許された高度、3000フィート以下に下げてもおかしくはない。あるいは、高度を下げれば雲や霧から出られると考えたのかもしれない。
 しかし、淡路VORに向かう途中に、最高2000フィート近い山があるのは一目瞭然だ。それよりは下げられない。おそらくは、念のため、2500フィート以上を維持するだろう。法的にも求められている高度だ。それならぶつかることはない。もしかすると、霧から出たい一心で高度を下げ続け、うっかり2000フィートを切ったのかもしれないが、ちょっと考えにくい。

 こう考えてくると、やはり空間識失調が原因だと考えるのが自然である。回りの景色が見えにくい状態で飛行していると、上下や傾きの感覚がなくなってしまうことがあるのだ。もちろん、パイロットは常に計器で飛行機の状態を監視するよう訓練されている。しかし、空間識失調を起こして、急降下体制に入ってしまった機に気づかずにいると、ものの十数秒で500フィートぐらい高度を失うのはありえない話ではない。そこに山があったのは、ほんとうにお気の毒だ。
 (当然のことですが、事故原因が何か現時点では何もわかっておらず、以上はすべて推測であることをお断りしておきます。)
 過去には、急降下に気づいたパイロットが慌てて引き起こし、機体に無理な荷重をかけて空中分解した事故もあった。

 有視界飛行をしている飛行機は雲の中を飛ぶことを許されていないが、何も雲の中を飛ばなくても、ちょっと視程が悪いだけで簡単に空間識失調に陥ることはある。私ですら2〜3度経験があるくらいだ。
 まだ生きているパイロットたちにその怖さを改めて思い起こさせて下さったことが、つらく悲しいだけの事故における唯一の慰めであるとすれば、その非情さに改めて頭を垂れるしかない。

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