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2006.01.05

■得られた幸せ逃す幸せ

 家にいるのに食パン一枚が焼けないという経験を初めてした。オーブンレンジが壊れた年末年始のことだ。フライパンでパンを焼いたりして、だからフライ「パン」というのかとか、埒もないことを考えながら、改めて道具のありがたさを噛みしめていた。

 検討した結果、レンジ機能は不要だろうということで、代わりにオーブントースターを買うことになった。これが安い。どうかすると1980円である。

 だが、どうせまた十数年は使うのだ、どうせならそれなりのものを買おうということで、ネットで調べて評判のいいのを買うことにした。1980円のを寿命まで使えば、一年あたり100円!とかになる。それでちゃんとパンを焼こうなんて虫がよすぎるというものだ。

 なんと、日本の大手電器メーカが作っている中では最高級品というか、もっとも売値が高いものに決めてしまった。それでも1万円ちょっとで、質感も何もない、ペナペナの薄い金属でできたシロモノである。これが日本一(フィリピン製だが)のオーブントースターかと思うと情けなくなってくる。

 しかし、確かに安物だが侮る事なかれ、オーブントースターに特化した21世紀の日本家電業界が誇る最高級品だけあって、これがけっこうまともなのだ(1万円だけど)。
 餅を焼くとこんがりきつね色になってちゃんと膨らむ。これからはこんなまともな餅が食べられるのだと思うと、ちょっと感動した。これまでかれこれ30年近く、まともに焼けた餅を食べたことがほとんどなかったのだ。
 食パンも、短時間で外はパリッと中はふんわり焼き上がる。クリームパンやカレーパンを温めても、ホットサンドイッチを作っても、これまでとは雲泥の差だ。

 これまで使っていたオーブンレンジは、それなりに質感のあるちゃんとした作りだった。扉だって重々しくしっかりと閉まる。今度のは、扉が閉まっているのかどうかもはっきりとはわからないようなチャチな作りだ。
 だが、機能を特化しているだけあって、本来の仕事をさせるとこれまでのものより格段に上だ。もし、あれが壊れていなければ、この先何年も、おいしい餅を食べられず、パンもうまく焼けなかったのかと思うと、壊れたことに感謝したいようなものである。

 と、考えてくると・・・

 うちにある炊飯器もまた、十数年モノだ。炊飯器ばかりが悪いのでもなかろうが、ごはんがおいしく炊ける気がしない。炊飯器のカタログがオーブントースターと同じ冊子に載っていたのでついでに見てみると、「8年前の自社炊飯器と比べてこんなにおいしく炊けるようになりました」と自慢げに謳っている。その同じメーカの十数年前の炊飯器を使っているウチはどうなるのだ。

 ここで大きな悩みが生じる。今の炊飯器を使い続けて、この先何年も、おいしくないご飯を食べ続けるのか、それとも、思い切って買い換えて、毎日おいしく炊けたご飯を食べる幸せを味わうのか・・・
 冷静に考えれば、買い換えるべきことは明白である。なにしろ、毎日のようにおいしいご飯が食べられるかどうかの違いなのだ。炊飯器の購入代金など、その違いからすれば無視していいようなものである。
 まあ、ほんとにカタログの言うとおり、おいしく炊けるとすればの話なんだけど、最高級(笑)オーブントースターを経験した後では、信じる気にもなってくる。

 だが、もちろん買い換えない。そんなことをするには、「もったいない精神」が身に付きすぎているのだ。そのほうが環境にも優しい(笑)
 かくして、今の炊飯器が壊れるまで、たぶん今後10年ぐらいは、あまりおいしくないご飯を食べ続けることになる。

 そのことによって逃す幸せの量は・・・考えないことにしよう。

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