★2000万円の音色
600万円。外税ならプラス30万円。何の値段だと思いますか。
といってもわかるわけがないのですが、ある雑誌で絶賛されていたプリアンプ1台の値段です。プリアンプというからには、メインアンプも必要なのでしょうか。それも同じぐらいの値段だとすると、あわせて1200万円。
それに、1本300万円のスピーカを2つつけて、計1800万円。それから・・・
オーディオセットにお金をかける話は時折り耳にする。時には、オーディオにふさわしい家を建てたとか、いい音が出る空気を求めて北海道に引っ越したとかいう話を聞くこともある。が、多くは都市伝説だと思っていた。
しかし、こういう値段のオーディオ機器がごろごろしている(というか雑誌にズラリと並んでいる)のを見ると、そういうこともあるのかもしれないと思えてくる。
・・・
自分には音楽の才がある(あった)という根拠のない思い込みがまだ持続している。幼いころに何を間違ったか両親が絵を習わせたのだが、どうして音楽の方を選んでくれなかったのかと思うこともある(単に金銭的な問題だったのかもしれないが)。
だが実際には、これまでの長い?人生で、自分が音楽的人間ではないという事実を何度も突きつけられてきた。それでも音楽を見切ることができず、「村上春樹みたいに、もっと深く音楽と触れあえたらいいなあ」というような無駄な夢想が捨てきれない。
でも、どうしても、音色よりは音楽、音楽よりは言葉に神経が行ってしまう。もっと音楽や音色そのものを楽しめればいいのに。
好きでのめり込むんじゃなくて、もっと好きになりたいと思うあたり、すでに音楽を愛する才能に欠けているような気はするのだが。
生演奏、というのをほとんど聞いたことがない。たまに聞くそれも、一流アーティストのものではないので(一番ひどかったのは某大学のオーケストラだ)、生の音に感動したという記憶もほとんどない。
だが、ハノイのホテルで聞いたバイオリンの音色は、月並みな言い方しかできなくて恐縮だが、柔らかくて幅と艶のある、とても耳に心地よいものだった。こんな音がオーディオ機器から出てくるのは、たぶん聞いたことがない。
おそらく真剣に耳を傾ける人とてない、ロビー横のラウンジでの演奏にすぎないのだが。
もしかして、2000万円のコンポーネントを揃えれば、あれに近い音が聞けるのだろうか。それにしても、プリアンプなんて、しょせん電子回路に過ぎないのに、いったい何で600万円もするんだろう?
とりあえず、家で使っているパソコンの出す音が耐えられないので、1万5千円ほどの BOSE のスピーカを繫ぐことにした。
私の中の音楽性に見合うのは、所詮その程度である。
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コメント
タイトルを見て、高~い楽器の話かと思いました。プロではない学生でも、私が実際に見た(?)ことのあるものでは800万のヴァイオリンと200万の弓でした。子どもでも100万くらいの楽器を持っていて、お稽古の時には自転車の前カゴにのせて走ったりしています。
私なんかビンボー性なので、転んで傷めたらどうするんだろう、とか気が気ではありません。
あっ、でも、その200万の弓は素晴らしかったですよ、ヴァイオリンに吸い付くようでした。
そうは言っても学生オーケストラだと一番安い5万円のセットで頑張ってる子もいます。私のビンボー耳だと、どちらもいい音色です。(笑)
投稿: winter-cosmos | 2006.12.14 19:59
楽器ならまだ驚かないんですけどね。それでも、800万円のバイオリンもやっぱりすごいですね。200万の弓の方がもっとすごいか・・・ バイオリンって、弓はタダで?付いてくるものではないのでしょうか?
子どもが自転車の前カゴに100万円の楽器というのは、聞いただけで卒倒しそうになります。リュックにパソコン入れて運ぶときでも細心の注意を払うのに。
何でもそうですが、ヘンに違いがわかってしまうと、ありきたりのものでは満足できなくなってどんどんお金がかかるようになってしまいますね。最近、外食単価が少しだけ上がってきてちょっとだけ困っています。まだまだぜんぜんグルメにはほど遠いのですが。
投稿: Wind Calm | 2006.12.14 23:49