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2007.04.30

★近衛兵の昭和

 故人は生涯、近衛兵であったことを誇りとしていたという。

 葬儀の冒頭、高齢となった元近衛兵が、先に逝く友人を称え悼む言葉が流された。

 おそらくは、この場に駆けつけてその口上を肉声で述べられる人物がもういなかったに違いない。
 その賞讃と哀悼は、数年前、別の葬儀で別の人物に向けられたものの録音だと思われる。あるいは、共通に使えるようにと用意されているものだろうか。

 それでもなお、その言葉を葬儀の冒頭に置いてほしいと願って死んだという。

 初めての「昭和の日」が葬儀の当日となったことは、故人にとっては本望であったかもしれない。

 いまはただ安らかに。

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2007.04.28

★親戚の集まり

 まだ働き盛りだった息子を亡くしてから2か月あまり、こういうとき「後を追うように」というのだろうか、その父親も亡くなった。

 以前書いたとおり、父親の方はいつ亡くなってもおかしくない状態ではあった。

 先日の息子は4親等だし、仕事もあったので遠方の葬儀に参列できなかった。今度は3親等だしゴールデンウィークなので、行かねばならない。

 親戚が顔を揃えるというのは、ほとんど葬儀・法要という感じになってしまった。会うたびに「なんかもっとええことで会えたらええのになあ」という声を聞くが、われわれ庶民に「ええこと」なんてそうあるものではない。
 結婚式が一通り片付いてしまえば、次のラウンドまでは葬儀・法要だ。そして、結婚式に出る範囲よりも葬式に出る範囲の方が圧倒的に広いのである。

 あ、そうだ。父親とか叔母とかの、古稀とか還暦とかいう集まりはあった。さして「ええこと」だとも思えないが、そういうので集まるのも無駄ばかりではない気がしてきた。これも年齢のせいか。

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2007.04.25

★偶然の旅行者

 題名がいいよなあ・・・ でも、題名負けか?

 自分勝手に離婚しようとしたりよりを戻そうとしたりする妻と、積極的に働きかけてくる風変わりな美女、それに、その2人の間で揺れ動く、優柔不断な男。

 男の仕事が旅行ガイドの執筆で、そのシリーズ名が映画の題名。

 最後にパリで3人が揃ったりもするけれど、旅行をもっとうまく取り入れてほしかった。

 脚本と言うべきか、台詞は秀逸。

(The Accidental Tourist, 1988 U.S.A.)

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★眺めのいい部屋

 20世紀初頭が舞台。それがわからなくてしばらく違和感があった。

 当時のイギリスにおけるアッパーミドルクラスの生態を活写しているが、やや退屈か。

 巷の評価はすこぶる高い。しかし、それはどうやら、女性好みの恋愛映画だかららしい。
 あんまり女性だ男性だと分けたくないけれど、この映画を見た人々(特に女性たち)の感想を読んでいるとそう思わざるを得ない。

 絵画的美しさや音楽の良さを鑑賞する能力に欠ける男の偏見かもしれないが。

(A Room with a View, 1986 U.K.)

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2007.04.23

★昇進と昇給?

 家人が、昇進後初めての給料をもらった。

 昇給は1400円。

 数字に弱いからヒトケタ間違えているんじゃないかと疑ったが、そうではなかった。

 給料は大して増えないと聞いてはいたが、これほどとは・・・
 時給に換算すると10円未満!の増加ということになる。

 「パート労働者が交渉の末やっと時給の10円アップを勝ち取った」とかいう新聞記事を見て、人ごとかと思っていたが、フルタイムの労働者が昇進してもその10円アップにすら及ばないのだ。

 まあ、職があって給料がもらえることに感謝せねばならないという気もするけれど。

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2007.04.22

★予期せぬ遭遇

 鳥見もそれなりに回数を重ねていくと、新たな種を見ることはほとんどなくなってくる。

 いつもは行かない場所、特に遠くへ行くとか、珍しい鳥が出ているという情報に基づいてわざわざ出かけていくとかしない限り、見慣れぬ鳥には滅多にお目にかかれない。

 だが、冬鳥が北へ帰り、夏鳥が南からやってくるこの時期は、いつもの場所でもそういう稀な機会に恵まれるかもしれない時期ではある。
 いつもの鳥見場所に、渡りで通過中の鳥が立ち寄るからだ。それでも、多くは長くても2〜3日で駆け抜けてしまう。数分の滞在中ということもあるかもしれない。

 「今日はこんな鳥が見られるかもしれません」という予想の中にすら入っていない鳥。それを見たときには思わず声を上げてしまった。予期せぬ遭遇である。

 サンショウクイ。ベテランの方にとってはどういう存在なのかよくわからない。鳴き声の時点で「サンショウクイが鳴いてるわ」とおっしゃっていたのには舌を巻いた。なんでそんなことがわかるんですか(笑)

 もちろん初めて見た。名前の由来は「山椒食い」だが、実際は昆虫食らしい。鳴き声が「ピリリ(と辛い)」と聞こえるところから命名されたという。

 比較的遠かったが4羽、防振双眼鏡の威力もあって、じっくりしっかり見られた。

 だが、南方の環境破壊の影響か、数が減っているという。今度会えるのはいつになるだろうか。

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2007.04.21

★プレッジ

 ジャック・ニコルソン主演、ショーン・ペン監督。ミッキー・ロークも出ていた。

 被害者の両親と交わした固い約束(プレッジ)を守るため、退職後も真犯人を追う元警官。

 こ、こんな終わり方が映画にあるのか。

 確かに、ありきたりのサスペンスにはならず、人生の虚実を考えさせる深い作品となってはいるのだが。

 頭の構造が単純で映画にカタルシスを求めている愚か者としてはひどく戸惑わざるを得ない。

 そんな結末に耐えられそうならすごくお勧めです。

(The Pledge, 2001 U.S.A.)

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2007.04.20

★ワールド・トレード・センター

 ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ。オリバー・ストーン監督。

 予想していた映画とまっっったく違っていた。

 だが、これもいいかもしれない。時にささくれ立ちがちな日常に、しばし潤いをもたらしてくれる。

(World Trade Center, 2006 U.S.A.)

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2007.04.15

★恋の季節

 オマエはコマドリミソサザイか、というようなディスプレイ。

 尾羽をピンと立てて背中を反らしている。スズメでもあんなかっこうをするんだ・・・

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★鮮やかな茶色

 茶色はあまり好きではない。

 だが、好きな茶色というのがあることを知った。

 ニュウナイスズメ(オス)の色。なんとも鮮やかな、透明感と光沢のある茶色である(残念ながら、なかなかあの色を再現した写真には出会えません)。

 まだ2回目の出会い。次はいつになるだろうか。

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★コマドリ

 数年ぶりにコマドリを見た。

 この前見たのは大台ヶ原の切り株の上での囀り。いかにもコマドリという感じで脳裏に深くインプットされている。

 今日はクマザサ?の藪の中で数秒。それでもコマドリはコマドリ・・・

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2007.04.10

★驚きの筆ペン

 少し前から万年筆が気になっている。昔知人からいただいた、ペリカンの立派なのがあるはずなのだが、インクだけが見つかって肝心の本体がない。

 家中ひっくりがえすのも何なので、そのうち出てくることに期待して、気軽なのを一つ買おうかと考え始めた。それで、本屋に寄ったついでに筆記具のコーナーを少し覗いてみた。

 ちょっと気になる手頃なのはあったのだが、まったくの定価販売にちょっと興ざめ。鍵のかかったケースの中に入っているし、わざわざ店員を呼んで開けてもらうのも大袈裟だなあと思ってその場を離れた。

 と、その裏側に、「水彩毛筆」というのがあった。「書き味絶妙!! 本格派毛筆タッチ」と書いてある。だが、もちろん信用しなかった。
 筆ペンというのは、初めて発売されたころから知っている。買うたびに裏切られ、さすがの愚かな私も、そのうち買うのをやめてしまった。それから十数年ぐらいになろうか?

 しかし、わざわざ試し書き用が数本用意されていたので、物は試しと字を書いてみた。立ったまま、何の支えもなく、ペンを宙に浮かせて垂直に立てた紙の上に書くのだ。まともな字が書けるわけがない。
 と、思いきや、何と、ものすごく綺麗に字が書けたのだ。腕の方は仕方ないとして、本物の筆で書いたよりももしかすると上手に見えるのではないかというぐらいのできである。

 「彩」「筆」「毛」と目についた字を書いてみると、どれも筆書きに見える。これは私の知っている筆ペンもどきとは次元の違う製品のようだ。

 残念なことに、これはいわゆる筆ペンではなく「水彩毛筆」。昨今はやりの「大人の塗り絵」などに使う水彩絵の具らしい。20色ある。

 だがもちろん、黒を買えば筆ペンとして使える。最も近そうな「墨」を買うことに決め、しゃれっ気を出して「群青」と「茜」も購う。特に使うあてもないんだけれど。

 家に帰ってからごちゃごちゃ書いていると、それなりに楽しい。でもやっぱり、道具で字が上手になるわけではない。それでも、滅多に書かなくなった字を、手すさびに書いてみようかという気にはなる。

 ラブレターでも書く相手がいれば一番なんだけれど・・・

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2007.04.09

★テルマ&ルイーズ

 これもなぜ借りたのか覚えがない。TSUTAYA DISCAS から配達されてきた。

 ジーナ・デイビス、スーザン・サランドン、ハーヴェイ・カイテル、売り出し前のブラッド・ピット。リドリー・スコット監督。

 見るのは多分2度目だし、見た覚えもあった。

 だが、ほとんど覚えていないし、それより何より、心に残っていない。おそらくは、描かれている女性たちの心の動きが理解できなかったのだろうと思う。

 今ならたぶんできる。だから、この映画の良さ・深さもある程度わかる気がする。

 成長したのだとは思うが、年を取っただけかもしれない。いずれにせよ、あまり嬉しい方向への変化ではない。こういう映画はわからない方が幸せなのだ。

 最後のシーン、もう1秒ほど長い方がいい。自由落下のような動きが始まる前に切りたかったのはわかるが、1秒なら大丈夫なんじゃないか。

 "間"の感覚が彼我で異なるのかもしれない。

(THELMA & LOUISE, 1991 U.S.A.)

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2007.04.08

★一澤/信三郎 帆布

 皆さんは、例の「兄弟骨肉の遺産相続争い騒動」以前から、「一澤帆布」をご存じだったでしょうか。

 私はまったく耳にしたことすらありませんでした。

 ところが、騒動は騒動としても、作る端からどんどん売れていって、毎日夕方には売るものがなくなるほどのカバン屋さんっていったいどんなのだろうという好奇心がむくむくと湧いてきました。

 幸い京都。いるかいないかわからない迷鳥を求めて足を運ぶよりはリーズナブルな気がします。

 行ったのは、春休みとはいえ平日のお昼ごろ。まさか入れない客が店の前で行列をなしているとは思っていませんでした(信三郎帆布の方)。
 一方の一澤帆布も大賑わい。

 とりあえず、一澤帆布の方だけ覗いて、ずっと後で信三郎帆布にも入りました。

 結局何も買いませんでしたが、平日の昼間の何でもない日(オープンセールでも店じまいセールでもありません)に行列のできているカバン屋なんて見たことも聞いたこともありませんでした。

 あの騒動がなければこれほどのことはないのはおそらく自明で、あれがものすごい宣伝効果を生んだことは間違いないでしょう。
 まさか、わざと、ということはないと思うのですが(私は職人魂に高い敬意を抱く者です)、「焼け太り」という感を拭えません。

 しかし、そう感じることは、やはり、一途に道を極めようとしていらっしゃる方々に失礼ですね。ここはおそらく、そんな志の高い製品を買わせていただく資格は私にはないと考えて、買わないことが一番かという気がします。
 もともと、あの騒動がなかったらその存在を知らなかったのですから。

※帰りの京都駅で「布包」(布偏に包で一字)と書いた信三郎帆布の紙袋を持っている方がたくさんいらっしゃったのには驚きました。梅田で阪急百貨店の袋を持っている人より密度が高いとすら感じました。

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★極めて稀な迷鳥・・・

 もはやバードウォッチャーで知らない人はいないぐらい有名になってしまったし、ネットで名前を検索してもどこにいるとかすぐにわかってしまうのだが、一応良識として名前も場所も伏せておく(万一、知りたい方がいらっしゃったらお気軽にメールください)。

 手元の図鑑を調べても、載っているのが2冊だけという小鳥。そこには「きわめてまれな迷鳥」とある。おそらく、現在は日本でこの1羽しか観察されていない。

 70年ぶりの登場という話もあったが、1990年にも石川県で撮影されているようだ。

 今日はじっくりと見られたが、珍鳥でなければそれほどぱっとした鳥ではない。
 あんまり人だかりがしているので何事かと寄ってきた母子連れの子どもに教えてあげると、「スズメみたい・・・」との感想。その通りです、ハイ。

 でも、頭頂部の黄色はかなりはっきりしていた。夏羽に変わってきているのだろう。

 東京から見に来る人はザラで、遠くは北海道からも来ているという。確かに「きわめてまれな迷鳥」を見る機会はそうないだろうし、私なんか、これが最初で最後かもしれない。

 それでも、たとえ京都で見られると聞いても、わざわざは出かけていかないような気がする。その程度の熱意しかないから、何事につけても大成しないんだろうけど。

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2007.04.06

★そ、そんなに・・・

 昨日、昼食にコンビニで買ったおにぎりを食べていたら、ガリッと何かを噛んだ。

 おにぎりだから、当然石か何かが出てきたのだろうと思ったのだが、今どきの米に石は混じっていない(昔はよく混じってたよなあ・・・ 夢のようだ)。

 出てきたのは、自分の歯から外れた金属だった。

 歯医者に行くしかない。

 口を開けたとき、銀色が目立つのは嬉しくない。この際、以前パンフレットで見た白いセラミックで治療してみたい。
 一つぐらい替えてもあまり効果はないかもしれないが、どうせそのうち順次外れていくだろうから、その度にセラミックにしていけば、口の中から銀色がなくなると思ったのだ。

 問題は費用。高価な上に保険も利かないぐらいは知っている。よし、2万円ならセラミックにしよう。3万円までなら許そう・・・

 おそるおそる歯医者で費用を聞くと、4万円・・・

 うっ。

 しかも、すごく小さい部位なのだ。そこだけ4万円出して替えてもたいした意味はない。「順次」の決意も急速にしぼんでいく。

 しかし、たった4万円で挫折するとは我ながら情けない。3万円ならと思い切って決心して行ったのに、あえなく消沈。

 だって、4万円あれば最新のデジカメを買えるじゃないか。そうすれば、手振れに悩まされることもなくなる。
 とてもじゃないが口の中の小さなセラミックに投じたくなるような金額ではない。

 そういう問題じゃないし、5本まとめて20万円なら、えいっとやっちゃうとは思うんだけれど・・・

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2007.04.04

★サイドウェイ

 よかった。

 今まで見た映画の中で5本の指に入るかも。10本には間違いなく入りそうな気がする。褒めすぎかな?

 どんな映画かまったく知らずに、何の先入観もなく借りた。

 舞台はカリフォルニアのブドウ畑とワイナリー。ロードムービーではあるがむしろコメディでもあるし、きわどい場面も多い。だが、本質は、作家を志すワインおたく中学教師の微妙に揺れ動く内面か。

 見ていると、むしょうにワインを味わいたくなる。直接五感に訴えかけてくるのは、上質の作品である証だ。
 実際、2回に分けて見たのだが、2回ともワインを注ぎに走った(料理用ワインしかないし、まったく飲めないのだが)。

 でもこれ、どうして借りたんだろう?

(Sideways, 2004 U.S.A., Hungary)

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★花冷え

 「花冷え」とはうまく言ったものだ。昨日までとはうってかわって、「えっ!?」と思うぐらいの気温だった。

 午後には低気圧の通過で一時的な激しい雨と若干の雷。

 明日は大陸の高気圧に覆われて典型的な花冷え。名残の冬を楽しみたい。

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2007.04.02

★マッチポイント

 ウディ・アレン監督、スカーレット・ヨハンソン、ジョナサン・リス=マイヤーズ、エミリー・モーティマー。

 ウディ・アレンがロンドンで撮った「人生」。

 神は我々を裁かない。運が帰結を左右する・・・

 古典的とも言えるほどの「よくある」筋書きを、見事に脱構築して描ききったという感がある。

 ところで、エミリー・モーティマーの歩き方が上流階級にも女優にも見えないのは、この作品の中で何か意味を持っているんだろうか?

(Match Point, 2005 U.S.A., U.K.)

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2007.04.01

★新年度初日

 実質的な正月とも言える新年度初日。仕事内容やら肩書きやらも変わって(でも、まったく偉くなってません)、清新なスタートとなる日。それでいて出だしは休日。完璧。

 が・・・

 家族3人で鳥見に行けると思っていたのは2日前。昨日2人になってしまったかと思っていたら、夜中から朝にかけて、1人になり、何だかんだで結局はゼロに。

 珍しく前夜からいそいそと準備を完了し、予想以上の好天で迎えた朝が何とも空しい。

 やっぱり、新年度になったからって、何かが変わったり、ましていいことがあったりすることなんてないんですよね。それどころか、遥かマイナスからのスタート。

 さて、今日は何をしよう? 掃除? 洗車? 昨日もアルミホイールを8本洗ってワックスかけただけに終わったんですけど・・・

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