◆シルキーフライト:五月晴れ、みたび
昼ごろ起き出してぐだぐだしていたのだが、外はきれいに晴れて空気が澄んでいる。風もない。
こんな日にこそ飛ばなければならないのだが、たぶん航空身体検査が切れているだろう。午後も2時を過ぎてから出るのも億劫な気がする。
一度下へおりて、身体検査証明書を確認しようとしたのだが、ふだん使うこともないので、日米の免許に挟んでカードケースに入れ、スコッチテープで止めてある。
「どうせ切れてるし、確認のために外すのもめんどくさい」と思ってまた2階へ戻った。
だが、空・・・
こんなに穏やかに晴れて、かつ空気が澄んでいるのは滅多にない。諦めきれずに、しばらくしてまた下へおり、テープを外して確認してみた。
今日が期限! 今日は飛べるのである。
昨日が期限だったら今日は飛べない。今日の方が体調が良くても関係ない。ヘンな話だが法律とはそういうものだろう。
そそくさと準備をし、空港へ向かう。近畿自動車道を南下しているときから、すでに空気感がいつもと違っているのが感じ取れる。
予想に違わず、東向きに上がって左旋回した瞬間、淡路島まで見渡せた。こんなことは滅多にない。
さらに・・・
ありえないほど安定した大気。日本でこれほど安定した大気を経験したのはせいぜい1〜2度ではないだろうか。
低い高度でも滑るように進んでいく。まるで旅客機みたいだ。
お気に入りの、京都・琵琶湖コース。右手に湖を見下ろし、左には比良山系。
安曇川手前まで行って引き返し、先日、鳥見で這いずり回ったびわ湖バレイ上空を旋回して京都方面へ戻る。
途中、周囲に航空機がいないのを確認し、スティープターン(急旋回)の練習を左右2回ずつ。
免許を取る前は飛ぶたびにやらされていたようなものだが、取ってからは必要がないのですることもなかった。
が、安定した気流のお蔭で、回り灯籠のように綺麗に風景が回転していく。ほぼ高度を保ったまま、スムーズに360°旋回し、30秒ほどで元のヘディングに復帰。
南カリフォルニアの空を思い出すぐらい、なめらかな動きだった。
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土地土地によって、それぞれ気候が違うという。
だが、アメリカの空を飛ぶまでは、それは気温や降水量、積雪量のことだと思っていた。
もちろんそれらも重要なことなのだが、よりくっきりと違うのは、空気感と光、である。
還元すれば、所詮は、日射しの強さや湿気の多さや風の強さや大気の状態に過ぎないのかもしれない。
しかし、そういうものが全体として作り出す空気感と光は、その場所をその場所たらしめるほどの圧倒的な存在感を持ち、五感に訴えかけてくる。
夏の北海道が夏の北海道であるのは、なだらかな大地がひろびろと広がっているからではない。あの大気と光線が、あの雰囲気を作るのである。
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京都手前から、東向きにおりる際の手順をイメージトレーニングしていたが、京都を過ぎてから滑走路変更を伝える管制官の声が聞こえてきた。
風が変わったのだ。
先ほどまでの澄んだ空気はもう大阪上空にはなく、白く霞み渡った空になっている。それでも、いつもより遠くまで見通せることには変わりないのだが・・・
降りてから、また、あの澄んだ空気が戻ってきた。でも、それもここまで。明日はまた、いつもの日本、それも梅雨に戻るのだという。
今日みたいな日が、古人の言う「五月晴れ」なんだろうな。
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