◆下品なマダムたち
昼に何を食べるかはずっと悩みの種だ。
今日も何だかピンとくるものがなく、たまには行ったことのないところで何か食べてみたい気分になり、それなりに店がありそうな場所にふらふらと出かけた。
予定していた周辺には閉まっている店も多い。木曜定休の店が集中しているのか、それともつぶれたのだろうか。
そこから南西に向かうと、思いがけず、小さなイタリアンの店があった。またパスタかという気もするが、店の真ん前に駐車場があり、その1台しかないスペースが空いていたので、それにつられて店に入る。
隣もカジュアルなフレンチの店だったが、後で調べると、そちらの駐車場も1台だけのようであった。
店に入るなり、タバコの臭いが鼻をつく。
うわっ、失敗したかなと思うものの、引き返す勇気がない。それにしても、客は主婦とおぼしきグループ一つだけなのに、だれがタバコを吸っているんだろう?
隅の席に着いてから目をやると、その主婦の(少なくとも)ひとりがタバコを吸っているのだった。それでこれだけ臭うのだから、やはり食事をする場所でのタバコは控えていただきたいと思う。
それはそれとして、この主婦たち、大きな声でガッハッハッと笑いながら下品な言葉遣いでくだらない会話をしている。とにかく声が大きいので、何もかも丸聞こえだ。
持参した本に意識を集中しようとしても、それすらできない。
「ちょっと油断してたらすぐ帰ってくるから、もうたまらんわ」というのは、小学校に通う子どものことらしい。
「3時になったらもう帰ってくんねんで。やってられへんわ」
私が店に入った時点で食事は完全に終わっているようだったので、早く出て行ってくれないかなあと祈っていると、7人組のうち2人だけが、エステに行くとかで先に出て行った。
出口が私の席のすぐ前だったので、見るともなく見送ってしまったが、「その顔と体型でエステですか」(ごめんなさいごめんなさい。いつもはこんなことは思いません。どうか許してください)と毒づきたくなった。
一番安いランチが前菜もデザートもなしで1200円する店である(入ってから微妙に後悔した)。
おそらくは2000円とかそれ以上の昼食を食べて、終わってからエステに行ったりするこのマダムたちの夫の収入はどうなっているんだろう。
もし私一人の収入で家族を支えていたら、家人には絶対そんな生活は無理だと思う。まして、彼女らは子どもが小学生ぐらいの世代なのである。
後から入ってきて隣に座った中年男性と若い女性の2人連れも、マダムたちがいなくなった後、彼女たちの話題で盛り上がっているようだった。こちらは小声なので、隣といえども会話の内容が詳しくはわからない。
環境問題やら派遣労働やら格差社会やらで新聞を読むたびに気分が沈んでいく毎日だが、そういうことをうじうじと気にしたりせず、
「もうほんま、はよ帰って来んかったらええのに」
「またすぐ遊びに出ていくんやからええやん」
などと、店の人も他の客もまったく気にせず、自分を肯定してホンネを語れる下品なマダムたちの健康な精神が羨ましいような気がする。
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コメント
職場や企業などという存在が無かった時代には、一家の大黒柱たる男たちの働く姿はいやおうなしに家人の目に触れたんだろうけど、男たちが総サラリーマン化したあげく給与も自動的に口座振込みされてしまう昨今では、八人の敵と向かい合うストレスと重労働の日々を600円のランチで凌いでいる男の存在の重みは家人に伝わりづらく成りましたね。
かつて大多数の日本人が第一時産業に従じていた頃には、家長たる男たちが額に汗して働く姿の存在の重みが家人たちにも認知してもらえたんでしょうが。
子供は親の背中を見て育つと言われますが、今の子供たちには父親よりも母親と接触する時間のほうが長いですよね。
このブログに登場するようなオバハンたちの背中を見て育った子供たちの行く末を想像すると寒気がします。
私は、月々の給料をあえて銀行口座から引き出して子供たちの目の前で嫁さんに渡してます。
でも、果たしてそんな私のこだわりが子供たちに理解してもらえているのかは不明ですが。(笑)
投稿: Ashgarden | 2008.06.27 02:13
Ashgardenさんは大黒柱なんですね。うちは共働きなので、事情が異なるのですが、いずれにせよ、家族相互が感謝しあう関係が大切だという気がします。
あけすけに子どもを邪魔者扱いしながら、夫の稼ぎでランチにエステというのには、やはり抵抗がありました。
案外、家に帰ったらいい妻・いい家族であることを祈っています。
投稿: Wind Calm | 2008.06.28 22:25