« ●快適な熱帯夜 | トップページ | ●あっ、間違えた »

2008.07.30

●競争原理主義者

 珍しく10時過ぎに帰宅。それが日常、という方も多いのだろう。

 仕事で忙しそうにしている家人に負担をかけないよう、インスタントラーメンを作って食べる。ネギを切って入れ、ザルに上がっていた茹でたブロッコリーを5つ放り込む。
 あと、ピザ屋から配達されていた小さいチキンの唐揚げをふたつ。

 デザート?には、有機?野菜の宅配で来たデラウェア。
 その辺のスーパーでは売っていないおいしさに、ちょっと感動してむさぼり食う。

 家人が2階に上がってきたので、「珍しく2日間で1週間分ぐらい働いた」というと、「私なんか、毎日・・・」と言っていた。

 確かに。

 (あ、別に、トゲのある会話ではありません)
 ___

 夕刊に目を落とすと、橋下徹大阪府知事に関する連載コラムの2回目。
 「「人生は競争」原動力に」という見出し。

 「文化や芸術にしても、残るものと残らないものの違いは本人の必死さ。黙っていてもお金がもらえるような組織は死ぬ思いをしていない」というのが橋下氏の「持論」だという。

 われわれは「死ぬ思い」で「必死」にならないと「残らない」(残れない)のだろうか。

 「死ぬ思い」で「必死」になんかならなくても、何とかなる社会を作ることが大切なように思うのだが。
 「死ぬ思い」で「必死」の人だけが「残る」なんて、国家や政府発生以前の「万人の万人に対する闘争」状態である。

 氏自身、恵まれない環境の中、激しい競争を勝ち上がってきて今があるそうだ。

 だが、凡人からは想像もできないような能力と幸運とで一つの頂点に立った勝者の唱える競争原理主義に、はたしてどれぐらいの人が共感できるのだろうか。

 何にせよ、勝てるのはごく一握りなのである。
 「死ぬ思い」で「必死」にやっても成功しない人はおそらくごまんといるし、その方が勝者より圧倒的に多いのは周知の事実だろう。
 ___

 家人にしても私にしても、ぬるい仕事をちょっと長時間やっているだけだ。ふだんの私は、「長時間」すらクリアしていない。

 「死ぬ思い」で「必死」なのは、橋下氏やイチローやビル・ゲイツやシャラポワだけでいい。そこには、ものすごい名声と報酬が約束されているだろうし。

 そういうものとは無縁で、ただ「残る」ために「死ぬ思い」で「必死」なのは、野生動物だけで十分である。

 野生動物だって、できるものなら何とかしてやりたいぐらいだ。

| |

« ●快適な熱帯夜 | トップページ | ●あっ、間違えた »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんばんは、TBありがとうございます。
私も、そのコラム読みました。苦労に苦労を重ねた結果の人生訓にしては、ちょっと悲しいですね。

彼にとっては、負け犬の遠吠えでしかないかな…わお~ん(笑)。

投稿: winter-cosmos | 2008.07.30 20:16

 自分のように「死ぬ思い」で「必死」にがんばれば成功できるはずだと言いたいようですが、世の中がそういうふうにできていないのは明白です。
 多くの人にとっては、「お前たちは怠け者だからダメなんだ」というメッセージになってしまいかねませんよね。

 氏と同じように(あるいはもしかするともっともっと)死にものぐるいでがんばってもうまくいかない人たちが大勢いらっしゃることに思いを致すべきだし、そもそも、そんなに「死ぬ思い」をしなくてもいい社会を目指す(作るとまでは言いませんが)のが政治家の仕事だと思います。

投稿: Wind Calm | 2008.07.30 21:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ●競争原理主義者:

» 「残る文化は必死さが違う」 [緑の森を楽しく歩いた]
《知事VS芸術系大学生 文化行政巡って激論》(2008年07月27日 読売新聞) [続きを読む]

受信: 2008.07.30 20:17

» 橋下徹、芸術を語る。 [慢性疲労症候群日記]
 橋下知事が芸術論「残る文化は必死さが違う」  こらこらアンタ、『サンデージャポ [続きを読む]

受信: 2008.08.05 00:48

« ●快適な熱帯夜 | トップページ | ●あっ、間違えた »