■「北摂のおいしい蕎麦屋一覧」に追加
「北摂のおいしい蕎麦屋一覧」に追加があります。
「あまり人に教えたくない」という卑小な自己を克服するために書きます。
いずれにせよ、もうけっこう有名だし、これをお読みになっている方自体多くないだろうし、その中で近辺にお住まいで蕎麦が好きでわざわざお運びになるという方はほとんどいないだろうし、一方で、お店のかたにしてみれば、こんなマイナーな応援でもないよりはあったほうがいいだろうし・・・
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(注:(後記)2011年12月2日現在、「都合により休業」なさっています)
(注:(後記)2012年5月10日現在、再開なさいました!)
一番すごいのはロケーションと外観。なにせ、まったく住宅しかないエリアにある。それも、車で行った人なら誰でも引き返したくなる、「この先行き止まり」の看板の先。その行き止まりの手前だ。
今となってはお屋敷と呼んでいいような邸宅が並ぶ千里ニュータウンの一角。ごくふつうのお宅に、目立たぬ枯れた「あき津」の看板。
実は先日、地図上で場所をはっきり把握した上で、カーナビにも場所を指定し、「行き止まり」の看板にもめげずに突き進み、息子と二人で一生懸命探したにもかかわらず、見つけることができなかった。
行き止まりまで行ってUターンして帰ったので、店の前を2回通ったことになる。行きは私側、帰りは息子側に店があったのだが、歩くようなスピードで車を進めていても、その存在に気づかなかった。
強いていえば、お宅の前が芝の駐車場になっているので、この辺の家をほぼ必ず囲んでいる生け垣や塀が正面にはない。
だからなぜわからなかったのか今となっては不思議なのだが、それ以外は外から見ればふつうのお宅に見えるからかもしれない。
先日見つけられなかった後で、再度場所を確認した。今度は確信を持って自転車で出かけ、無事に到着。
見知らぬ方のお宅に、インターホンも鳴らさずにお邪魔していいのだろうかと怖じ気づきながら、引き戸の玄関をそおっと開ける。
「ごめんください」といいたくなるのをぐっとこらえ、たしか、「こんにちは」と言ったような気がする。
先方はもちろん、「いらっしゃいませ」。
30畳足らずだろうか、石のようなタイル?を敷きつめた床の上に、しっかりした無垢接ぎ板のテーブル。数えると全部で16席あった。
客席部分は平屋建てで、天井は切妻屋根に沿って張られているため、頭の上がとても広々とした開放感のある空間になっている。
しっとりと落ち着いた調度に、BGMはクラシック音楽。バッハのバイオリン協奏曲の時だけ曲名がわかった。
「この人は本当にこんなふうに上品なかたなのではないだろうか」と思わせる上品さの女性が接客をなさっている。情報によると、この家の「お母さん」らしい。そばを打っているのは息子さんである。
遅い時間だったせいか、先客は女性の2人連れのみ。
鴨汁そば 1300円を注文。
展示品を見たりしながら待つうちに、奥から「ジューッ」というステーキを焼いているような音が聞こえてくる。状況から考えて、私のために鴨を焼いているとしか思えないのだが、あんな焼き音がするような鴨肉の入った蕎麦を食べた経験はない。
まさか、いや、でも・・・などと、とりとめもなく考えているうちに、おいしそうな蕎麦が運ばれてきた。
蕎麦は確かにおいしい。
だが、失礼ながら、驚いたのはやはり鴨である。温かい付け汁の中には、大ぶりの身が4つも入っており、組み合わせればちょうど小さめのステーキになりそうだ。
先ほどの音はやはりこれだったのである。
これなら、「鴨ステーキ蕎麦」とか、新しい命名を考えてもいいのではないだろうか ^^;
もちろん、鴨は葱を背負っており、これもまたおいしい。
(ごめん、鴨さんたち)
支払いの時、立派な篆書の額が目の前にあった。どう見てもプロの手になるものと思われるのだが、その横に立ってお釣りを渡そうとしている女性を見ていると、もしかしたらこの人の書いたものではないかという気がしてくる。
「またどうぞおいでくださいませ」という声に送られて店を出た。本心から言ってくださっているように聞こえる。
「はい、必ずまた来ます」という返事は、もちろんぐっと飲み込んだ。
お店のウェブサイトには、懇切丁寧な行き方や地図を含め、詳しい情報がある。
ぜひ訪ねあてて、ゆったりと落ち着いた空間で控えめなクラシック音楽を聞きながら、おいしい蕎麦を味わってほしい。
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