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2009.04.27

★豚と地震

 「豚インフルエンザ」って何だよ、っていうのが、ほとんどの人の感想ではないかと思う。

 あれだけ鳥だ鳥だと騒いでいたのに、聞いたこともない「豚インフルエンザ」でアメリカが緊急事態宣言まで出す事態になっている。

 ところが、今回の事態は想定外のできごとなのかと思うと、さにあらず、「専門家」と呼ばれる人たちは異口同音に「私は知ってましたよ」的なコメントを口にする。

 なのに、用意されているワクチンは鳥用ばかりであり、これから豚用を作ろうとすると数か月かかるとか言うのである。

 「知ってた」んなら、そういうことにはならないはずだろう。

 専門家ですらないNHKの解説委員までが知ったような口をきいているのには腹が立った。
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 こういうとき思い出すのは、1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)のことである。

 あの地震が来るまで、関西に住んでいるほとんどの人は、大地震なんて縁がないと思っていた。

 当時海外に住んでいた関西出身の知人は、「関西で大震災」と聞いて、「関西で地震? そんなもの、騒ぐほどの被害があるわけない」と思って、続報を求めようとすらしなかったそうである。
 遠く離れた故国では、家族・親類・友人・知人がさまざまな被害を受けていたというのに。

 それほどまでに、「関西に大地震はない」という信念は、関西人の中に深く浸透していたのである。

 私の住んでいたマンションのハンドブックには「どのような地震でも倒壊することはありません」と書いてあった(幸い、あの地震では確かに倒壊しなかったけれど、それは立地場所が大阪府北部であったことが最大の理由だと思う)。

 海外で建物や高速道路が倒壊するたびに一般人が目にしたのは、「日本は建築技術が高いので大丈夫」という嘘だった。

 それが、目の前に事実を突きつけられると、多くの「専門家」が手のひらを返したように、
「関西にも大きな地震があること」
「高速道路も高層ビルも倒壊する危険があること」
は、ずっと以前から私は知ってましたよという大合唱になった。地震学者も建築学者も。

 知ってたんなら早く言えよ。
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 いや、もちろん、実際にご存知だった専門家や、警鐘を鳴らそうとしていらした専門家がいらしたことは知っている。

 しかし、その声が一般市民にぜんぜん届いていないということは、そういう専門家が多数派ではなかったり力を持っていなかったりしたということだ。

 専門家の主流派や影響力の大きい人々は、「知らなかった」か「手のひらを返した」のである。

 言うまでもなく、政治家や官僚やマスコミの責任も大きい。
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 豚インフルエンザで、まったく同じ構図が繰り返されているのにはあきれる。

 専門家も政治家も官僚も、知識があったことや落ち度がなかったことを誇示する必要はないから、「これから何ができるのか」を考えて、速やかに実行してほしい。

(もちろん立派な専門家も多い。たとえば、今回の騒ぎ以前から、HxNyのすべての型のインフルエンザウイルスを分離・培養する必要性を唱え、実際に成功した方の記事を以前新聞で読んだ記憶がある。そのような研究は、多くの人命を救うことにもつながるのだ。心からの敬意を表したいと思う。)

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