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2009.06.29

◆優先順位

 ツタヤディスカスの会員で、毎月8枚、DVDを見られることになっている。

 ところが、5月6月と、6枚で打ち止めになった。6枚目で1か月が終わってしまうのだ。今月はもしかして4枚しか見てないかもと思ったが、なんとか6枚は見られそうである。今日までに5枚見た。

 4枚でも6枚でも8枚でも値段は変わらないので、毎月がんばって8枚見ようとしていたのだが、無理だった。
 実際、そういう人が多く、それでツタヤの商売が成り立っているのかもしれない。みんなが8枚借りたら赤字になるのではないか。

 これまでもこういうことはあっただろうが、2か月連続というのは初めてではないかと思う。
 テレビ番組も、録るのに見るのが追いつかないので、ハードディスクが満杯になりつつある。

 やっぱりちょっと忙しいのかな? でも、鳥見に行ったりはするし(あ、今月は2回だけだ)、こういう文章を書いたりもする。

 結局のところ、何に時間を使うかは優先順位の問題なので、映画の優先度が下がっているということなのだろう。
 ある程度気力が充実した2時間をまとまって確保するというのは、それほど簡単ではないし。

 優先順位の一位は、たぶん、「疲れたからちょっと仮眠する」である(笑)
 ___

 年間100作品以上の映画を見るという日常の方が、もしかすると異常だったのかもしれない。

 いや、そういう日常を大切にしたいと思う。ツタヤの会員はこれからも続ける。

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◆不孝者

 先日、仕事関係の会合で久しぶりに京都に出た。

 すぐ近くなのに、平均すると年に1〜2回しか行かないのではないかと思う。あ、今年はもう3回目かな?
 ___

 だが、20年ほど前、わけあって毎週のように京都に通っていた時期があった。
 そのころ、よく連れて行っていただいた寿司屋が、百万遍交差点の北西すぐにある。

 数年前にも懐かしくて一度行ったのだが、営業しているふうではなかった。今回も同様だったが、表に出ていた看板が、まごうかたなく、20年前と同じものであることにちょっとした感動を覚えた。

 「げそ 20円」

 値段も変わっていない。「たこ 50円」「いか 60円」と続き、まぐろ、えび、とり貝、はまちは80円だ。

 帰宅してからネットで調べると、営業は夜だけのようである。信じられないことに、今でもこの値段でやっているらしい。

 しかしまあ、そういうものばかり食べればそういう値段になるのかもしれないが、安そうだからと言ってあれやこれやと頼むと、そんなにべらぼうに安いわけではない。
 記憶もおぼろになっているが、4人で行くと1万円台半ばとか、そんな感じではなかったかと思う。

 不確かな記憶を辿ると、ほとんどの場合、ごちそうになっていたような気がする。

 その寿司屋ばかりではない。近辺の小料理屋に行くことも多かった。

 今思えば、当時のあの方も、私と変わらぬ年齢だったろう。

 なにゆえ、どこのだれともわからぬ縁薄き若者に、あれほどよくしてくださったのか。
 幽明界を異にしてしまった今となっては、知りようもない。

 もちろん、ごちそうになっただけではない。そもそもは、夕食前の集まりでいろいろご指導いただくのが目的だったし、遠くへ行かれてから数年後、一緒にこっちで働かないかと声までかけてくださった。
 身に余るありがたいお話ではあったのだが、それはすなわち家人と別々の場所で暮らすことを意味するので、少し考えてお断りさせていただいた。

 どうしてそんなふうに目をかけてくださったのか、わからない。
 おそらくは、橋渡しをしてくださった方のご人徳が大きかったのだろう。
 だが、私本人はといえば、先方のあまりの頭脳明晰ぶりにただただ感動し、翻って我が身の才のなさと努力不足を、若輩者の甘えから、臆面もなくそのまま申し上げたりしていたに過ぎない。
 ___

 何もかも若さのせいにしたくはないけれど、若いというのは恐ろしいもので、あのありがたみがぜんぜんわかっていなかった。
 今だって、わかっているとはとても言えない。

 でも、年齢だけは当時のあの方と同じぐらいになった現在から見ると、あのような偉大な知性(という表現が大袈裟ではない)からごく少人数で個人的な薫陶を受け、仕事の世話までしていただけるような幸運を得ることが、どれほど難しく、ありがたいかが少しはわかるのだ。

 しかも、お寿司や小料理をごちそうになりながら。

 思えば、私は酒も飲めず、酒豪のお相手としても失格であったろうに。
 ___

 早いもので、お亡くなりになってから5年が経つ。調べてみると、なんと明日がご命日だ。

 私のような不孝者がこのタイミングでこういうことを書き綴ることになったのは・・・単なる偶然だろう。

 私は、基本的には神仏や運命を信じない。もし神がいたら、これほど早く、あの方が召されることもなかっただろうし。

 偶然でもいい。せめて明日には黙祷を捧げようと思う。

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2009.06.28

◆「飲み過ぎ」

 金曜日の天気予報では日曜日から雨になるということだったのだが、結果として、特に午後から真夏のような天気の下で野外活動・・・

 帰宅直後も含めると、約2リットルの水分を摂取した。

 夕食時等、その後も水分は取るわけで・・・

 Wii Fit で体重を量ると、昨日比、0.7kg の増。どうやら、かいた汗より摂った水分の方が多かったらしい。

 「目標圏内を外れてしまいましたね」と言われ、「原因を考えてみましょう」の選択肢の中で、あてはまるものはただ一つ、

 「飲み過ぎた」

 素直にそれを選ぶと、酒の飲み過ぎは過剰なカロリー摂取につながるとか、おつまみの食べ過ぎにも注意しましょうだとか。

 だから、酒は飲めないってば。

 いやもちろん、そう言われることは予想してたんですけど、やっぱり外しすぎだぞ。

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2009.06.25

◆まさかの減少幅

 まだボーナスは出ないけど、早くも明細だけもらった。

 大不況だとか言ってるし、去年よりちょっと減ってるかな・・・と思って数字を見ると、「えっ!?」

 思わず叫ぶほど下がっている。去年の明細書を引っ張り出してきて計算すると、約2割減だ。
 ___

 毎月の給料は、ここ数年、ぜんぜん上がらず、むしろ下がり気味である。毎年「昇給」してるのだが、「ベースダウン」が続いているので、よくて現状維持なのだ(実際は微妙に下がっている)。

 しかし、このボーナスは、いくら何でも下がりすぎではないのか。

 調べてみると、国家公務員のボーナスは9.3%減だそうだ。上場140社の平均は、14.4%減だという。

 うちの職場の「業績」は別に悪くなっていない。他のことはともかく、安定しているのも取り柄である。なのに・・・

 もしかして、オレだけ20%減?

 そういえば、「成績率」とやらがいつもより悪かったような気がする。だが、このボーナス査定の期間中には、一応職場から表彰されたりしているのだ(たいしたことじゃないけど)。
 ___

 どうせサラリーだし、金額を気にしてもどうなるものでもないので、それほど気にしたこともなかった。

 しかしながら、これまで、驚くほど給与や賞与が上がったことは一度もないのは確かだ。これからもおそらく絶無だろう。

 それでも、下がるときはこれほど劇的に下がるのだ。

 「いや、ウチなんかそれどころでは・・・」と聞いても慰めにはならない。他人の不幸はセンブリの味である(損な性分だ)。

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2009.06.24

◆いのちの食べかた

 ちゃんと見たことはないのだが、チャップリンの『モダン・タイムス』を髣髴とさせる。
 ポスト・モダン・タイムス、というところだろうか。

 だが、これはドキュメンタリーであって、風刺を意図したコメディでもフィクションでもない。

 モダン・タイムスで描かれていたのは、オートメーション工場に代表される第二次産業だと思うが、この映画では、第一次産業においてすら、労働や生産といった行為が「疎外」されている状況が活写される。

 そうして生み出された農産物(牛や豚や鶏も!)を処理し流通させる過程では、「疎外」はいっそう深刻になる。

 「農業の機械化」などといった言葉では表現できないグロテスクなまでの現実を、異形のロボットもどきが忠実に働いているさまを通して静かに映し出す。

 人間もまた、人間のままでいたのでは到底行えないような作業を淡々とこなしていく。

 そこでは、動物も植物もモノとして扱われ、われわれの毎日の糧へと姿を変えられていくのだ。
 ___

 農薬は空中散布され、水はスプリンクラーで撒かれる。
 収穫は車を走らせれば自動的に終わる。人の手になる収穫も、レールの上を移動しながら無感動に行われる。

 牛を立たせたまま帝王切開する光景。
 大量のひよこはベルトコンベヤーの上を流れていき、そこここで宙を飛ぶ。

 エサは頭の上から撒かれ、床に落ちてから食される。

 生きたまま逆さづりにされて30センチおきに流れていく豚は、前脚を広げられてお腹を裂かれるところまで、機械で自動的になされる。
 その前脚を2本ずつ、5秒おきにちょん切っていくのが、ある女性の仕事だ。

 機械で頭を落とされ、腹を割かれて内蔵を吸い出された鮭を、ベルトコンベヤーの上に並べていくのだけが、ある男性の仕事である。

 生きた子豚を仰向けにして固定し、次々と生殖器?をちょん切っていく仕事もある。豚はもちろん、いつまでも耳に残るような悲鳴を上げる。
 だが、もちろん、それが聞こえているようでは仕事にならない。
 ___

 一切の説明や解説もなく、台詞さえもほとんどない(ごく稀にあっても、字幕も吹き替えもない)。
 音楽も効果音もなく、聞こえてくるのはただ、食糧を生産している現実を語る音だけである。

 何をしているのかわからない場面も随所に見られ、刮目すべき映像とともに、退屈さを感じざるをえない場面があるのも確かだ。

 今、映画を見ながらこれを書いている。こんなことをするのは初めてかもしれない。

 だが、それでもやはり、見ておくべき作品だと思う。ただ見ただけで現実の何かが変わるわけではないとしても。 

(Our Daily Bread, 2005 Austria, Germany)

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2009.06.23

◆マンデラの看守

 1993年にノーベル平和賞を受賞し、その翌年、南アフリカで初めての全人種参加選挙で大統領に選ばれることになるネルソン・マンデラは、1990年まで30年間近く囚われの身であった。

 1962年に白人政権から終身刑の判決を受けて収監されていたのだ。

 そのマンデラの担当だった、検閲官であり看守であるジェームズ・グレゴリー(もちろん白人)との交流が描かれる。

 重く深いテーマを扱いながら、適度なサスペンスも折り込まれた名作である。

(邦題は「マンデラの名もなき看守」でしたが、勝手に変更しました。)

(Goodbye Bafana, 2007 South Africa, Germany etc.)

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2009.06.21

◆体脂肪率14.3%

 体重は毎日 Wii Fit で計っているので、体重計に乗ることはほとんどなくなった。

 が、今日久しぶりに乗ってみると、体重はともかく、体脂肪率が14.3%と表示されて思わず声を上げてしまった。

 こんな数字は見たことがない。

 だいたい15〜17の間で、16前後のことが一番多かったと思う。そういえば先日、14.8だったような気はするが、それがこれまでの最低記録だったのではないだろうか。

 ほんの少しの時間とはいえ、9か月近く Wii Fit のヨガをやってきたのが実を結びはじめたのだろうか。

 これからはときどき体脂肪率も測ってみようと思う。

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◆片付かない

 さすがに暑くなってきた。夜の9時にこうしていても、汗が滲んでくる。室温31℃。湿度は100%近いか。

 にもかかわらず、今座っている椅子の背もたれには、セーターと「どてら」がかけたままになっている。先日までは、ユニクロのフリースもかかっていた。

 そんなもの、使う可能性は皆無なのだが、冬の記憶が無精を叱るようにずっとそこにあるのだ。

 しょっちゅう掃除したり片付けたりはしてるんだけど、なかなか片付かない。特に邪魔にならないのが、かえっていけないんだろうと思う。

 いくら何でも、そろそろ何とかして、気持ちよく夏を迎えたいと思うのだが、もしかしたら、そのまま冬を迎えてまた役に立つようになるかもしれない。

 そうそう、扇風機も出さなくては。

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2009.06.19

◆Cafe bilico に出没予定

 明日、2009年6月20日(土)、 大阪梅田スカイビル近くの Cafe bilico gallery に出没します。

 午後2時〜4時ごろを中心に考えております。

 ひた隠しにしている(笑)私の正体・実物をご覧になりたい方、あるいはまた、旧交を温めたい方はぜひおいでください。

 いや、読者自体が少ない上に、そんな奇特な方がいらっしゃるとは思えず、さらには such short notice なので、期待はしておりませんが・・・

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2009.06.18

◆なぜかそんなに暑くない

 「暑いですねぇ」というのが挨拶になる時候になった。

 最高気温は31℃〜33℃ぐらいになっている。いわゆる真夏日だ。

 挨拶だから「そうですね、暑くなりましたね」と返事をするものの、実はそれほど暑いとは思っていない。

 最高気温が33℃ぐらいまでで、ここ数日のような曇りがちの天気だと、エアコンを入れたくなるほどには暑くない。
 「南西角部屋」の職場ではエアコンを入れたりすることもあるが、家ではまだ、今年一度も冷房を入れていない。

 今年に入って初めて気温30℃を超える日が続いているというのに、あんまり暑く感じないのはどうしてなんだろう?

 毎年の猛暑に、体が慣れてしまっているからなのか、それとも、年を取って暑さを感じにくい体になってきているからなのか。
 ___

 でも確かに、こうやって書いていると、けっこうな汗がにじみ出してくる。パソコンの方ははっきりと熱くなっているし。
 今、室内の温度計を確認したら、32℃を指していた。昔だったら暑さの頂点のような温度ではないだろうか。

 最低気温が25℃以下にならないと熱帯夜だというのだが、もう10日ぐらい前からか、枕元の温度計が25℃を切ったことはない。だが、25℃なら、羽布団をかぶったり抱いたりして快適に寝られるのだ。

 やっぱり、体が「熱帯仕様」に変化してきているのではないかと思う。

 こうして書いている間も、家人は後ろで「暑い暑い」を連発しているけれど。

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2009.06.15

◆新しい飲み物

 酒が飲めない。

 なので、牛乳やらお茶やらを飲んでいる。ヨーグルトやジュースを飲むこともある。

 常に「よりふさわしい」飲み物を探し、落ち着くことがない。

 そんな中、牛乳の新しい飲み方を発明したので紹介したい。わざわざ言うほど大したことはないのだが、これがなかなかおいしい。

 牛乳を満たしたグラスに、メイプルシロップをスプーンに一杯、バニラエッセンスを少々。

 もちろん、量はお好みで。

 喫茶店で出てくれば、500円ぐらいの価値はあるおいしい飲み物になる。こういうのって、特許とか取れないのかな?
 ___

 健康に気を使ってほとんど低脂肪乳しか飲んでないんだけど、メイプルシロップなんて入れると台無しになるんだろうか?

(今思い出した。子どものころ、プラスティックのシェーカーを使って、牛乳と砂糖と卵黄で「ミルクセーキ」を作っていた。卵黄は入ってないけど、あの味に近い。コレステロールやら中性脂肪やらがうるさいので、日常的には飲めないけれど、あの懐かしい味をたまには楽しみたくなってきた。だいたい、BMIが20なのに、なんでこんなに飲食物に気を遣わなければならないのだ。ぜんぜん健康オタクじゃないんだけど。)

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2009.06.14

◆MacBook Pro

 MacBook あらため新 MacBook Pro(13 inch)を買った。

 PowerBook 2400c を最後にして、パソコンをいつも持ち歩くのはやめていたが、ふたたび持ち歩くことにしようと思ったためである。
(あ、PowerBook G3 とか G4 とか 17 inch の MacBook Pro でも、たまになら持ち歩いてました。)

 自宅や職場の拠点にそれぞれパソコンを置き、以前は HDD、最近は USBメモリでデータを持ち歩くことにしていたのだが、「拠点」以外でもやはりパソコンを使いたいときは多い。

 MacBook Air が待ち焦がれていたパソコンかと思いながら、今ひとつ踏み切れないでいた。

 iPod Touch は買ったのだが、やはりフルスペックのパソコンとは比べるべくもない。

 アルミ一枚板削り出しの MacBook が出たときには、ちょっとぐらっと来たのだが、初物にはなるべく手を出さないというポリシー(笑)から我慢した。
 どうせ半年ほどすれば2代目が発売されて、初期の問題点が改善されるばかりか、値段も下がるはずだ。

 予想より1〜2か月遅かったものの、無事その通りになり、アルミの 13 inch は MacBook から MacBook Pro に出世して発売された。
 メモリはなんと標準で4GBである。

 何せ、ボディが「アルミ一枚板削り出し」なので、ディスプレイを閉じると余計なものが一切なく、みごとにすっきりと美しいデザインだ。
 ディスプレイを開くときのラッチすらない。

 最初、どうやって開けるのかわからず、力ずくで開けてもいいのかどうか、ちょっと戸惑った。

 4月に購入した鞄に入るかどうか心配だったのだが、誂えたようにぴったりおさまり、安心する。あと5mm横幅が短ければなおよかったけれど、贅沢は言うまい。

 充電池の持ちも改善され、ふつうの使い方だと、ACアダプタを持ち歩く必要もなく、一日使えそうだ。

 もはや、パソコンを買ってときめく(笑)こともなくなっていたが、これをどこにでも持って歩けるとなると、ちょっとだけ、世界が変わるかなという気もする。

 ただ、iPhone などと違い、どこでもネットにつながるわけではない。というか、多くの場合、つながらない。

 だからということもないが、いつもパソコンが手元にあるからといって、怠け者が急に働き者になるはずもない。
 MacBook Pro といえども、魔法の箱(というか板)ではないのだ。

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2009.06.13

◆「大臣」の歴史観

 昨夜、嫌いな鳩山「元」総務大臣を擁護?するエントリを書いたが、今朝の新聞を見て、やっぱり困った人だなあという思いを新たにしてしまった。

 世の中、正しいことが通らない時があるという思いだ。今の政治は正しいことを言っても認められないことがある。西郷隆盛が征韓論で政府を離れた。自分が正しいと思ったことが通用しなかったんで、潔く政府を去った。わたしも政府、内閣を去ることに躊躇しなかった。(鳩山氏の発言要旨の一部:朝日新聞)

 なんでここで「征韓論」が出てくるのか。しかもこの文脈だと、征韓論は正しかったということになってしまうではないか。
 さらに、自分が正義だと言い続けている鳩山氏がここで持ち出すと、征韓論が正義だというニュアンスになってしまう。
 ___

 明治初期の歴史的文脈の中で、日本の利害得失からのみ見た場合、征韓論が正しかったのかどうかは知らない。
 西郷自身の立ち位置も、無闇な侵略を意図したものではなかったかもしれない。

 だが、今、何の関係もない征韓論を持ち出して、それが正しかったと発言することに、何か意味やメリットがあるのか。

 無用に友好国(民)や敵対国?(民)の感情を逆撫でし、怒らせることになるだけではないのか。

 先方から見れば、当時であっても今であっても、征韓論が正しかったなどというのは、許し難い妄言ということになるに違いない。
 そして、現在の歴史的文脈の中においては、正しいのは先方なのである。
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 せっかく、個人的な好き嫌いの感情を措いて、「どちらかが辞めねばならないとするなら、辞めるべきは西川社長の方だろう」と書いたのに、これではやはり、鳩山氏が辞めてよかったと思わざるをえない。

 もっとも、「辞めてよかった」というような政治家は他にもわんさか存在する。「なってほしい」というような人の不在が、この国の不幸である。

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2009.06.12

◆大臣の首、社長の首

 日本郵政の西川社長の更迭を強硬に主張していた鳩山総務大臣が辞任した。

 鳩山氏はわたしの好きなタイプではない。いや、はっきりいって、ほとんどの面で相当嫌いだ。

 だが、今回の件で大臣をクビにするのか社長をクビにするのかとなったとき、究極の選択をせざるをえないとすれば、どう考えても社長の方をクビにすべきだろう。

 鳩山氏を大臣にしておくよりも、西川氏を社長にしておく方が大事だとの政治的判断が下されたわけだが、それがなぜなのかがぜんぜんわからない。

 「民間会社」の社長よりも、その人事を認可する大臣のクビの方が軽いのはどうしてなのか?

 それに、社長の方には引責辞任する理由がいくつかあるが、大臣の方にはないはずなのである。

 こういう結末になったのは、どんな裏事情があるからなんだろう?

 ほんとうにわからない・・・

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2009.06.10

◆ピカソ美術館から素描盗難

Dsc01435_picasso 「ピカソ美術館から素描盗難 パリ、総額約11億円」(sankei.jp.msn.com)などというものだから、もう2度とあの絵(→)を見られなくなるのではないかと、ちょっとどきっとした。

 ピカソはそんなに好きな画家ではない。
 というより、わたしの鑑賞眼では概ね理解できない。

 しかし、パリのピカソ美術館にある絵の中には、一つだけすごく気に入ったのがある。あれもおそらく「素描」だろうから、それが盗まれたのかと思った。
 「総額」なんていうから、いかにもごそっと持って行かれたように聞こえる。

 だが、別のニュースを見ると、

 「10億円デッサン帳盗難=ピカソ素描33点入り−パリの美術館」(jiji.com)

ということなので、あの絵ではなさそうである。

 それどころか、どうもニュースを読むと「紛失」ではないかという気がしてくるのだ。要するに、収蔵品の整理をしていたところ、デッサン帳がひとつ見つからなかっただけの話なのである(それで10億円というのがすごいけど)。

 進入の形跡も残さなかったという泥棒が、それだけを盗って満足するだろうか。

 「8日夜から9日朝にかけて盗まれたとみられる」なんて書いてあるけれど、盗まれたにせよ紛失したにせよ、もっと以前からなかったという可能性はないのか。

 本物のプロがそれ指定で頼まれたか、あるいは内部の者による持ち出しか・・・などの疑いはあるにせよ、「あ、こんなところにあった!」というオチになるのではないかという気がする。

 でも、これだけ騒いで「ありました」というのも何なので、見つかったときこそ犯罪が起こりそうでもある。

 いずれにせよ、早期に無傷で発見され、犯人がいるなら逮捕されることを望む。

 (わたしの写真なら、盗難に遭うぐらいだとむしろ嬉しいんだけど ^^;)

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2009.06.09

◆村上春樹を読了

 本の話はほとんど書かないのだが、今日は久しぶりに書いてみよう。

 先日、村上春樹を読了した。

 などとこのタイミングで書くと、当然『1Q84』を読んだのかと誰もが思うわけだが、まだ買ってもいない。

 読んだのは、『走ることについて語るときに僕の語ること』である。
 あと、『ノルウェイの森』を読み返したりしている。

 こういうエントリを作るのって、わざとらしくてあれですね。申し訳ありません。
 ___

 『走ること……』を今ごろ買って読むというのも何だかという気はするけれど、出る出ると言っているうちはずっと待っていたのに、なかなか出版されなかったのだ。
 そのうち忘れてしまって油断していたら、もう1年半前(2007.10)に出版されているのを先日発見した。

 手に入れたのは4刷で、それが初版の1刷から1か月後の日付である。そんな本が今ごろamazonで手に入るということは、あんまり売れてないんだろうと思う。

 今日、早くも上下巻で100万部を超えたという『1Q84』とはえらい違いである。

 だが、氏のエッセイは期待を裏切らない。まして、この本は、「村上春樹が、はじめて自分自身について真正面から綴った」(帯の宣伝文句から)本なのだ。

 まあ、まだ「父」は登場しないし、それまでのエッセイで陰に陽に明らかにされていたことも多いんだけど、それでもやはり、読み応えがあった。
 ___

 『1Q84』の書評で、村上春樹が私生活をほとんど明らかにしていないとかいう論調が目立ったのだが、そんなことをいう人は、村上春樹以外の作家の私生活をどのぐらい知ってるんだろう?

 現在の村上春樹は、他の作家と比べればむしろ私生活がかなり明らかになっている方だと思うのだが。

 これ以上私生活を明らかにしている作家がそんなに多いとすれば、それはちょっと恐い。

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2009.06.06

◆不如帰の鳴く夜は・・・

 その昔、「の鳴く夜は恐ろしい」というコピーが流行ったけど、不如帰の鳴く夜はどうなんだろう?

 ちょうど日付が変わろうとするころ、不如帰(ホトトギス)が鳴いた。そんなものが自宅で聞けるのはたぶん幸せなんだろうと思う。

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◆空白を埋める

 大阪に暮らして25年近くになるが、JR大阪駅の北側にはほとんど行ったことがない。

 以前は皆無だったのだが、ヨドバシカメラができてから、店には数回行った。
 でも、あのビルより北や西は未体験ゾーンである。

 頭の中の地図も、該当部分は空白だ。

 そう思って実際の地図を見ると、なんと、ほんとの地図も空白なのである。再開発待ちの、いわゆる「梅田北ヤード」(梅田貨物駅跡地)がひろびろと横たわっているからだ。

 グループ展の会場となるスカイビルの近くまで、大阪駅前からどうやって行けばいいのかちょっと途方に暮れる。
 最初見た地図では、ものすごく大回りして歩いていく以外に、道がないように見えたのだ。

 みんないったい、どうやってスカイビルに行ってるんだろう、と思ってネットで調べてみると、梅田北ヤードの下を歩行者用の長いトンネルが貫いているのを知った。
 ヨドバシカメラのビルの北側を西に進むと、そのトンネルを経てスカイビルのすぐ下に出る。なるほど、これなら大阪梅田から楽に歩ける。
 ___

Dsc05636_480 グループ展の準備に集まった皆さんは、楽しく素敵な方ばかりであった。

 何しろ初めてのことで右も左もわからないのだが、まずは現展覧会写真の撤去作業。
 みんなで共同作業をするうちに、初対面同士の硬さもほどよくほぐれ、いよいよ自分たちの展示作業にかかる。

 与えられた面積を何のおもしろみもなく律儀に埋めるために用意した写真はどうやら多すぎたようで、分不相応な広いスペースを与えていただいた。
 ご迷惑をおかけして申し訳ありません・・・

 さて、この空白をどう埋めよう?

 仮止めの写真が落下して角がつぶれたり、貼付用のゴムを写真にくっつけて汚してしまったり、いろいろ失敗する。

 しかし、先達の的確なお導きと助力のお蔭で、何とか「どうしようもない」という感じは免れた(と思う。ご覧になって、「いや、これはやっぱり、どうしようもないんじゃないか」と思われたら、それは私ひとりのせいであって、先達のせいではありません。すみません)。
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 帰りは数人で例のトンネルを抜けて大阪梅田方面へ歩いた。

 ヨーロッパの街角のみごとなスケッチを展示なさっていた方に、「このトンネルは昔からあるんですか」とお伺いすると、もうずっと前からあるというお返事であった。

 ぜんぜん知らなかった。

 北西から眺める大阪梅田は新鮮である。かの有名なスカイビルも初めて間近に見た。

 こうして、頭の中の地図が塗り替えられ、空白が新しい認知で埋められる。

 鳥の写真で埋められたギャラリーの壁と同じように、いくぶんいびつで見栄えのしない空白の埋め方だけれど。
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 「この星に生まれて」には、わたしのようなずぶの素人からプロ級(というかほんとにプロかも)の方までのさまざまな作品が、写真を中心に展示されています。

 会場の Cafe bilico gallery は、梅田からトンネルを抜ければすぐです。中津からならもっと近くです。ぜひお運びくださいますよう、お願い致します(入場はもちろん無料ですが、 会場がカフェ(食事もできます)のため、展示を見に来られるお客様は1品オーダ−をお願い致します。今日はキャラメルアイスコーヒーをおいしくいただきました)。

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2009.06.05

◆幸福は夜開く

 ある日、家に帰ってくると、リビングが異様な香りに包まれていた。

 「香り」が5割、「匂い」が3割、「臭い」が2割といったところである。

 この割合は人によって違い、息子は「くさいくさい」を連発する。

 最近花がついてきた、庭のナンキンハゼかと思い、それ以上は詮索しなかった。2階の屋根に匹敵するぐらいの高さまで成長しているのだ。

 家人が帰ってきて、リビングに置いてある観葉植物、通称「幸福の木」が花をつけているのが原因だとわかった。

 けっこう立派に花が咲いているのだが、香りが充満するまで気づかなかったのである。
 ___

 この「幸福の木」は、もう20年以上も前、以前住んでいたマンションを買ったときに、仲介業者の営業マンが新居(といっても中古だけど)に飾る手土産にと片手にぶら下げて持ってきてくださったものである。

 今は大きくなってしまい、両手でも運ぶのに苦労する大きさになった。高さも2メートルを超える。

 場所も取るし、始末に困る面もあるのだが、名前が名前だけに大切にせざるをえない。まあ、大切にするといっても時々水をやる以外のことは何もしていないので、手間はかからない。

 驚いたのは、朝起きて匂いがしなかったことである。

 もう花が終わったのかなと思っていると、夕方にはまた強烈に香り出す。

 どうやら夕方から夜にかけて開き、朝から昼間は閉じているらしい。こうしている今も、めいっぱい開いて匂いを放っている。

 花が咲くのはまだ数回目だと思うのだが、何の具合で花をつけたりつけなかったりするのかはわからない。わかるのは、数年に1回、花を咲かせるということだけだ。

 その年に何か幸福なことがあったのかもわからない。わかったのは、幸福の花は夜開くということだけだ。そんなことにすら今まで気づかなかったのである。

 このブログがあるので、今後は花が咲けば記録のために書いていこうと思う。これまで書いていないところを見ると、5年以上花をつけていないのかな?

 何かいいことがあるといいんだけど。

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2009.06.03

◆新しい世界

 写真展の準備をしている。

 自分のまったく知らない世界ならともかく、写真に関しては少しだけ知識があると思っていた(ほんとに少しだけど)。

 でも、「ハレパネ」を知らなかった(初めて教えていただいた時は、???となった)。

 厚さ数ミリのポリスチレンの板で、片面に糊が塗ってあり、剥離紙を剥がして写真を貼り付け、展示用にする。
 ぺらぺらの写真がしっかりした板のようになる。それでいて、発泡スチロールのようなものだから、軽い。

 ハレパネは、「貼れるパネル」という意味の造語らしい。

 そういう言葉も、その物体も、まったく知らなかった。そもそも、そういう用途のための「何か」が存在すること自体、想像していなかった。

 しかも、あの「プラチナ萬年筆」が発売しているのだ。「ハレパネ」は登録商標である

 あれ!? でもそういえば、テレビ番組なんかで「パネル」や「フリップ」を見せることがよくあるが、あれってもしかして、ハレパネで作っているのではないのか?

 興味がないと、毎日のように見ているものすら見えていないのである。
 ___

 日常と違ったことを少しするだけで、何だか新しい世界が開ける。見えなかったものが見える。

 初めてデジカメを購入して以来、写真自体は何千枚も撮っている。いや、ファイル名を見ると、1万枚以上は確実に撮っていることがわかる。まだ、何万枚というほどではないと思うけれど。

 ところが、写真は画面で見ることがほとんどになり、印刷することはまずなかった。

 今回、写真展のために印刷し、ハレパネに貼って階段の壁なんかに飾ってみると、なかなか新鮮である。

 ああ、こういう楽しみ方もあるんだ、と思う。当たり前のことなんだけど。
 ___

 写真展に作品?を出すことに、恥をさらす以外の意味はあまりない。

 あるとすれば、大きく印刷してみるという、写真との「新しい」つきあい方かもしれない。

 もちろん、素晴らしい方々との出会いが一番の意味だと思うのだが。

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2009.06.02

◆女王釈放

Dsc05575_vga 去年虜囚にした女王を、先日釈放した。

 ほぼ1年、狭い牢獄の中で暮らしたことになる。

 同房にした仲間の兵は惨殺し、独房となった場所で産んだわが子さえ、大切に育てているそぶりを見せたのも束の間、やはり殺してしまった

 孤独な女王である。

 いつまで閉じ込めていても面白いことが起こらないので、逃がすことにした。表面のエサを食べていくだけで、いっこうに穴を掘ろうとしないのだ。

 やはり女王は働かないらしい。

Dsc05613_vga 空いた牢獄に小さな兵をたくさん入れた。すると、1日も経たないうちにトンネルを掘り始め、どんどん複雑に広げていく。

 いくらトンネルを掘っても、「大脱走」される気遣いはない。四方は硬いアクリルの壁で囲まれているのだ。
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 アントクアリウムが本来の機能を発揮し始めると、ちょっと不思議な空間が出現する。

 やはりアリは働き者である。こいつらも1年以上生きるのだろうか?

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◆ワールド・オブ・ライズ

 「話題作は押さえておかなければ」と「予備知識なしに見たい」が重なって、「特に情報を集めなくても題名に聞き覚えのある映画」を、ジャンルも何も知らないまま借りて見る。

 そういうふうにしていても、苦手なミュージカルに当たったりすることはない。
 話題性のあるミュージカルが近年少ないからだろうか。

 あ、でも、レッドクリフ?とかいうのは意識して借りるリストに入れなかった。一応、借りる前にチェックして落とすものもある。
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 というわけで、恋愛映画なのかSFなのかも知らず、ディカプリオが出てるのも、ラッセル・クロウが出てるのも知らなかった。監督がやっぱりというか、リドリー・スコットなのも。

 ラッセル・クロウ、この役のためにわざわざ太ったのだろうか。太ることがそんなにもキーになるような役でもないのに(製作側はキーにしたかったみたいだけど)。

 昔、ロバート・デ・ニーロが役作りで太ったのを覚えている。役者というのもほんとに大変だと思う。
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 失礼ながら、ふつうにお勧めの「ハリウッドスパイ超大作」です。

 あれほどの状況にありながら、ディカプリオがあくまでも青く、甘ちゃんで映画が終わるのにはちょっと首をかしげるが、だからこそ少し救いがあるのかも。

(Body of Lies, 2008 U.S.A.)

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