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2009.06.05

◆幸福は夜開く

 ある日、家に帰ってくると、リビングが異様な香りに包まれていた。

 「香り」が5割、「匂い」が3割、「臭い」が2割といったところである。

 この割合は人によって違い、息子は「くさいくさい」を連発する。

 最近花がついてきた、庭のナンキンハゼかと思い、それ以上は詮索しなかった。2階の屋根に匹敵するぐらいの高さまで成長しているのだ。

 家人が帰ってきて、リビングに置いてある観葉植物、通称「幸福の木」が花をつけているのが原因だとわかった。

 けっこう立派に花が咲いているのだが、香りが充満するまで気づかなかったのである。
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 この「幸福の木」は、もう20年以上も前、以前住んでいたマンションを買ったときに、仲介業者の営業マンが新居(といっても中古だけど)に飾る手土産にと片手にぶら下げて持ってきてくださったものである。

 今は大きくなってしまい、両手でも運ぶのに苦労する大きさになった。高さも2メートルを超える。

 場所も取るし、始末に困る面もあるのだが、名前が名前だけに大切にせざるをえない。まあ、大切にするといっても時々水をやる以外のことは何もしていないので、手間はかからない。

 驚いたのは、朝起きて匂いがしなかったことである。

 もう花が終わったのかなと思っていると、夕方にはまた強烈に香り出す。

 どうやら夕方から夜にかけて開き、朝から昼間は閉じているらしい。こうしている今も、めいっぱい開いて匂いを放っている。

 花が咲くのはまだ数回目だと思うのだが、何の具合で花をつけたりつけなかったりするのかはわからない。わかるのは、数年に1回、花を咲かせるということだけだ。

 その年に何か幸福なことがあったのかもわからない。わかったのは、幸福の花は夜開くということだけだ。そんなことにすら今まで気づかなかったのである。

 このブログがあるので、今後は花が咲けば記録のために書いていこうと思う。これまで書いていないところを見ると、5年以上花をつけていないのかな?

 何かいいことがあるといいんだけど。

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