◆営為と自信
あちこちで表明なさっているとおり、ご本人はほんとうに「どうでもいい」と思っていらっしゃるのかもしれないが、今年も村上春樹氏はノーベル文学賞を取らなかった(脳が減らなくてよかったですね)。
でも、バルガス・リョサ氏がとうとう受賞したので、次はいよいよ、という気もする。
・・・と思いながらニュースなんかを読んでいると、「世界最大規模のブックメーカー(賭け屋)、英ラドブロークスによる、ノーベル文学賞受賞者を予想するオッズ(賭け率)」(sankei.jp.msn.com)で、バルガス・リョサは16位だったのだという。村上春樹は2位。
1位は誰だったんだろう?
たとえば(もちろん、あくまで「たとえば」)20位までの多くの人がいつかは取るとしても、毎年一人ずつしか取れないのだから、何年後になるかわからない。
それに、それ以外にも候補はいるだろうし、20年も経てばまた新たな候補も出てくる。
そして、最大の問題は、20年のうちに年配の方々はどんどん物故者になっていってしまうということだ。リョサ氏にしても、現在74歳である。
思えば、今年ノーベル化学賞を取った鈴木章氏も、齢80であった。70代で亡くなる人も多いし、もう数年待たされていたらどうなったかわからない。
傑出した業績はもちろんのこと、やはりよほど運がよくなければ受賞には至らないのだろう。しかしそれでも共通するのは、日々のたゆまぬ営為である。
「もちろんその技術を、歳月をかけて大事に磨いてきたのです」(『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』)と村上春樹がさらっというとき、そこには常人にはうかがい知れないほどの努力と、それを営々と続けてきた者だけが抱くことができる怖いほどの自信が感じられる。
(ノーベル賞、ひいてはあらゆる「賞」の「うさんくささ」や、文学論・翻訳論的諸問題はまた別の話です)
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