◆郵便配達は2度ベルを鳴らす「な」
いえ、古い映画の話ではありません。それに、郵便配達の方には何の責任もないんですけど・・・
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昨日の昼下がり、新しい映画(『パリより愛をこめて』リュック・ベッソン)を見ていると、ピンポーンとチャイムが鳴って速達が届いた。家人が受け取ったらしい。
後で見ると、そこには「本人限定(特伝型)」とか「転送不要」とか「本人限定受取郵便物到着のお知らせ」とか書いてある。
直感的に「新手の詐欺だろうな」と思った。
が、あにはからんや、最近ネットで申し込んだクレジットカードを、「受け取りたければ以下に連絡せよ」という指令であった。「特伝型」というのは「特定事項伝達型」の略であるらしい。
そんなもの、いくら本人限定であっても、当の本人が在宅していたのだから、一緒に持ってきていれば電話をする手間もそれを受け付ける手間も再配達する手間も不要なのだ。在宅していない時のみ、持ち帰ればいいのである。
それに、再配達を依頼すると、その時間中縛られることになる。ふつうの社会人は昼間在宅していることはまずないだろうから夜間を指定することになるが、向こう10日ほどの間に「19時から21時まで必ず在宅する日」を指定して連絡せねばならない。私にはそれほど難しくないが、一般的にはかなり困難なのではないか。
休日の昼間を指定する手もあるが、その後何かの誘いがあっても断らざるを得なくなるし、たとえば急に出かけたくなっても、行楽はおろか買い物にも行けない。
やはり夜間ということになろうが、それでも何かあった時に「今日は郵便物が来ることになっているので7時までに家に帰らなければなりません」なんて上司や同僚に言えますか?
そして、たとえ在宅していても、その間風呂にも入れないしトイレにも行きづらい。パスタだって茹でられないし天麩羅も揚げられない。また、映画鑑賞とか読書とか仕事とかに没入しようと思っても、必ず途中で邪魔が入ることがわかっているのだ。
そもそも、この再配達システムを理解するためだけに、なにがしかの時間がかかる。わかりにくいお役所言葉の説明がA4で3枚分(「様式6」「別添 様式7」「様式9」)も入っており、私などは気になって、該当の根拠法までネットで調べたりした。
若い人やご老人などは、理解するのにもっと時間がかかるのではないか。あるいは、読めば読むほど「詐欺くさい」と思うかもしれない(実際、この郵便方式は詐欺を働く際にけっこう便利なのではないかと思った)。
さらに、受け取るためには、生年月日のみならず免許証の秘密の?番号とかもあらかじめ電話で!伝えることになっており、その情報は差出人にも筒抜けだと書いてある(パスポートを使えば良かったのかな? パスポートにも秘密の番号があるのだろうか)。
これほど個人情報がうるさい時代に、なんで免許証の番号まで差出人に伝えなければならないのか。「本人確認」の範囲を逸脱している。
とにかく、問題だらけのシステムである。もとの法律がバカなのか、運用のさせ方がバカなのか、運用の仕方がバカなのか・・・
そのバカどものせいで、実際に郵便を配達したり、それを受け取ったり、再配達の電話を受け付けたりする人たちがいらぬ苦労とストレスを抱えているのが目に見える。
・・・そう思ってネットで検索すると、案の定、郵便事業会社の職員も受け取った人たちも、戸惑ったり怒ったりしているのがよくわかる。
電話に出た郵便事業会社の方や実際に配達に来られた方に文句を言っても仕方がないのでおとなしく「指令」に従って郵便物を受け取ったが、受取人をこの指令に従わせることが「差出人様」への「サービス」なのだそうである。受取人様への配慮はどうなっているのだ。
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職場でもよくあることだが、バカげた事務手続き等に割かれる労働時間やストレスは、行政的にはゼロコストだと考えられているらしい。
ほんのちょっと、頭のいいシステムにするだけで、少なくとも2割ぐらいは事務コストを削減することが可能だと思う(実際、万引きの届け出用紙のフォーマットを全国の警察に配るだけで、事務コストが半減したという記事を先日新聞で読んだ)。
日本全国で毎年毎年何兆円?をバカげたシステムで浪費し、労働者や消費者にストレスを溜めさせているのか、想像するだに恐ろしい。
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