●恐るべき恐山
恐山に着くころは、車にはかすかな異変すらなかった。
異変があったのは天候だ。
着いて車から降りた時には、曇ってはいたが晴れ間も見えるような状況だった。だが、周囲を見渡し、持ち物を整えたころには、パラパラと雨が降り出した。
大丈夫だろうとは思ったが、念のために傘を持って行く。
500円払って中に入るころには本降りになり、そのうち横殴りに降り出した。
霊場となっているから、まあそれなりの雰囲気ではあるのだが、かつて北海道や東北や九州で見た硫黄泉の湧き出す温泉場そのものであり、誰かがここに寺院を作らなければ、他と同様、温泉観光地になっていたものと思う。
実際、霊場内に浴場があり、その気があれば入れるのには驚いた。男湯を覗いてみたものの、だれも入ってはいなかった。女湯の方は、もちろん確認できない。
かなりの雨の中、ひととおり賽の河原をめぐり、外へ出るころには雨は小止みになっていた。ちょうど団体のバスが着いたところで、入れ違いになったのはよかった。
脇にある食堂に入ると、6人ぐらいのおばちゃんたちがみんな昼食休憩を取っているところだった。客は一人もいない。まだ1時を少し過ぎたぐらいだったと思うんだけど。
食事はできるというので恐縮しながらメニューを聞くと、「ラーメン・カレー・うどん・そば」ということであった。建物はそれなりに趣があったのに、そのラインナップでは食べる前から味がわかってしまう。
少し躊躇したものの、自分に正直になり、丁重にお断りして辞去する。
ちょっと遅くなるかもしれないけれど、この後行く予定の大間崎で魚でも食べればいいや。
その横の土産物屋で、ここに行けと言った息子に何か買ってやれるものがないかと物色するが、めぼしいものもない。
もともと信じてないし、とか、変なプレッシャーになっても、とか、かなり迷った挙げ句、学業成就・受験合格のお守りを購う。だって、他に何もないんだもん。
(後記:今見に行ってみると、蛍光スタンドにちょいと引っかけただけのお守りは、いかにも落ちそうだった・・・)
狭い店内をふためぐりぐらいしていたころ、店の人が「ああ、晴れてきたねぇ」と、誰に言うともなくつぶやく。客は私ひとりしかいない。
結局、私が恐山を観光していた間だけ、雨が(しかも横殴りに)降っていたことになる。
そう思いたくはないけれど、雨といい車の故障といい、恐山の祟りなのだろうか。いや、傘を持って出ないでひどいことになることや、もっとどうしようもない場所で故障するのから救ってくれたのだと信じたい。
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