●鉄十字勲章
邦題は『戦争のはらわた』。原題は『Cross of Iron』。あまりにも邦題がひどいので勝手に変えた。
でも、この邦題で名作としてその名を轟かせている映画だ。サム・ペキンパー監督、ジェームズ・コバーン主演。
ずっと以前、たぶん、十年以上前から見たかったのだが叶えられず、最近DVDが発売されてやっと見ることができた。
確か一度、子どもの時に見たことがあって、どれほど覚えているかと思ったのだが、かろうじて思い出せたのは、ジェームズ・コバーンが髭を剃っているシーンだけだった。なんであんなどうでもいいシーンだけ覚えてるんだろう。
西ドイツとの合作ではあるらしいのだが、アメリカ映画としては珍しく、第二次世界大戦のドイツ軍が主人公の映画である。
当時としては画期的とさえ言われた派手な戦闘シーンで有名になったらしいが、むしろ、反戦・厭戦の映画としての側面が強いように思う。
それに、人間とか生き方とか階級とかいったことに問題意識の焦点が置かれており、その意味でも、題名はやはり『鉄十字勲章』でなければならない。
映画が始まる前から既にそれを帯びている伍長(映画冒頭で曹長に昇進:ジェームズ・コバーン)と、勇者の証であるそれを切望しながら、映画の最後までそれを手に入れることができないプロシア貴族出身の大尉との対比を軸に、映画は描かれる。
今見ると、演技も何か芝居がかって見えるし、アクションはいかにも古めかしい。
しかし、最後のシーンに象徴される、戦争や階級や名誉に対するニヒリスティックな諦観のようなものはよく描かれていると思う。
現在の時点であえて見る価値があるかと問われれば、ちょっとうーんとうなってしまう。「古典的名作」の仲間入りをするかしないか、その境界線上にいるような映画かもしれない。
(Cross of Iron, 1975 U.S.A., West Germany)
(制作年(公開年?)には諸説あるようです。1975年はぴあシネマクラブによりました。これまでのエントリでも、映画の制作年はソースによってばらばらのことが多く、けっこういい加減かもしれません。)
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