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2010.12.11

★美意識の欠如を憂う

 最近、右前のフェンダーに青い大きなシールを貼っている車が目につきはじめた。「適合車」とか書いてある。

 初めて意識したのは、高槻の西武百貨店に行ったとき、駐車場にずらっと並んだ外商用とおぼしき白いバンにベタベタと貼ってあったときだ。
 その時は西武に出入りを許されているとかそういう意味かと思っていた。

 その後しょっちゅう見かけるようになって、そのたびに調べようと思っていたのだが、いつも忘れていた。

 先日思い立って調べてみると、大阪府への流入車を規制する条例に基づくステッカーだとわかった。

 窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出が少ない車に限って、大阪府域37市町内での発着が許される。
 同様の規制は東京都などでも行われており、都市部の大気汚染を緩和するためなので、基本的には賛成だ。

 だが、そのためにあんな無様な目立つステッカーを貼ることを強制するのはどうかと思う。

 貼る場所まで指定されていて、貼っていなければ貼るよう命令を受ける。それに従わなければ「三十万円以下の罰金」である。

 どんな色の車であっても、もっとも目立つ場所に、センスのかけらもない巨大な青いシールをべたっと貼らなければならないのだ。

 商用車が中心だからまだいいような面もあるものの、この壊滅的な美意識の欠如は何とかならないものかと思う。

 車は、たとえ商用車であっても、心を込めてデザインされ、細心の注意を払って製造されている。それを台なしにすることを強制して恥じない発想は本当に情けない。

 どうしても貼る必要があるなら、ナンバープレートの隅に目立たない大きさのシールを貼るとか、他に方法もあるはずだ。

 この理不尽な強制が可能なのは、この国に語るべきほどの人工景観や街並みが乏しいことと決して無縁ではないと思う。

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