★Cancel IFR
先日の出張から帰る際、伊丹行きの飛行機が欠航になり、関空行きの便へと振り替えられた話の続き?
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飛行機が行き先を変更することは、通常、ダイバート(divert)と呼ばれている。
フライトプラン(飛行計画書)には、目的空港に降りられなかったときのダイバート先をあらかじめ記しておくように求めらる。
ただ、エマージェンシー(緊急事態)を宣言した時はもちろん、その他の場合でも、適宜地上と交信して降りる空港を変更することも可能だ。
いずれにせよ、あの時はそういうのとは違い、離陸する前からもう伊丹に行かないことはわかっていた。だから、伊丹便を欠航扱いにして、まったく違った便名のついた関空行きの臨時便を出すという。機材(飛行機)もクルー(乗員)もまったく同じなのだが、そういうことになるらしい。
伊丹行きのフライトプランは取り下げて、新たに関空行きのフライトプランを提出することになったのだと思う。
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さて、そのようにして関空に向かったJAL便。
名古屋上空あたりで副操縦士から説明があり(機長は日本語の苦手な外国人のようだった)、全速力で関空に向かっていること、時間節約のために可能ならIFR(計器飛行方式)をキャンセルしてVFR(有視界飛行方式)で降りる旨の説明があった。
Cancel IFR !
私のそれほど多くはない旅客機経験において、おそらく初めてである。
まあ、ほとんどの場合、多少の遅れを別にすれば、私の乗った旅客機は平凡に離陸して着陸する。ダイバートもミストアプローチ(着陸進入のやり直し)もゴーアラウンド(着陸のやり直し)も経験ない。それが幸福なことなのだろう。
VFRで(目で見て判断して)降りることが、安全性を担保した上で時間と燃料の節約になるのならば、ふだんでもどんどんやればいいと思うのだが、「トラフィックが少なければ」という副操縦士の口ぶりからは、通常は飛行機の数が多すぎて許可されないのだろうという感じがした。
実際にVFRで降りるかどうかの説明はなかったが、飛行経路から見てそうだったのは間違いない。
関空の南西側に進入したのでそのまま北東に機首を向けて06Rへ降りるのかと思ったが、南風が吹いていたのか、通常とは逆の24Lに降りることになったようだ。
そのためには、トラフィックパターン(場周経路=滑走路の全体を長辺の一部とする長方形)をぐるっと一周しなければならない。
何だかこれでも無駄の多い飛行のようだが、IFR(計器飛行方式)だと、このリンク先の下の図における点線の経路(のどれか)を通らねばならない。それと比べれば、ものすごく近道である。
さて、この、滑走路と平行に飛んでいる間(海に浮かぶ関空が綺麗に見えた)から、どうも高度が低いように思っていたのだが、あれで正常なのだろうか。
ファイナルアプローチに入ったときは、こんなに低くて大丈夫なのかとちょっと心配になったほどである。
案の定というか、下がりすぎる高度を維持するべく、途中、小刻みに何度もパワーが入る。
客席では速度は知りようがないが、速すぎるんじゃないかとちょっとひやひやした。
結局、いかにも、「低い高度をパワーで無理に引っ張って滑走路の端まで辿り着きました」みたいな着陸になった。位置エネルギーを(空気抵抗に対抗するための)運動エネルギーに変換することで、ほとんどパワーを使わなくてもスムーズに一定の角度で高度を下げていくというのが本来の着陸である(と思う)。
旅客機の着陸でちょっとでも恐い思いをしたのは、タッチダウン前に限っていえば初めてであった。
もしかして、免許取得後はVFRによる着陸など訓練でも実際にもほとんどしたことがなく、だからこんなに下手なのかと考えたりもしたが、指定高度や指定速度の数値ぐらい確認したはずなので、以上は私の思い過ごしなのだろうか。
だれか旅客機のパイロットなんかに聞いてみたい気がする。
ともあれ、結果的にまったく何の問題もなかったことからすれば、楽しくも貴重な経験ではあった。
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