■間抜けな警官? 間抜けな法?
ひき逃げ事件で起訴されている被告人が、心臓の検査のための入院で勾留の執行停止中だった間に逃走したという。
おもしろいのは、警察官が監視していたのにまんまと逃げられたことだ。
また間抜けな警官の話かと思っていると、さにあらず。
勾留の執行停止中の被告人に対して指示や命令を出す権限がないのだという。ましてや身体拘束(逮捕)する権限などない。
もっとも、「監視していた県警の警察官に「たばこを吸いたい」と伝え、病院敷地内に止めてあった弟の車に乗って喫煙していたところ、突然逃走した」(mainichi.jp)というから、「違法に」止めようとしても止められなかっただろう。
「おい、待て。こら、逃げるな!」などと怒鳴ったことは容易に想像されるのだが、「指示命令の権限はなかった」(和歌山地検次席検事)というなら、それさえ「違法」なのだろうか。
確かに、刑事訴訟法第96条には「裁判所は、《中略》検察官の請求により、又は職権で《中略》勾留の執行停止を取り消すことができる」とあるから、取り消して身柄を拘束し直すことができるのは裁判官だけだ。
警察官がそれをしようと思ったら、まず検察官なり裁判官なりに申請してから・・・ということになる。そんなことをしている間に当然逃げられてしまうだろうし、まさか執行停止中の被告人を裁判官が監視しているわけにはいかない。
しかも、勾留の執行停止を取り消されたとしても、被告人は再収監されるだけのようだ。つまり、逃走自体は罪にはならない(たぶん)。
いずれにせよ、もちろん、逃げた時点では執行停止されていない。
にもかかわらず、ニュースでは逃げた被告を指名手配したというので、いったいどうしてそんなことが可能なのかと思ったら、なんと「道交法違反(無免許運転)の容疑」(朝日新聞)だそうである。ひき逃げを起こしているから、免許を取り消されたか免停中なのだろう。
苦肉の策とはいえ、いかにもばかばかしい。走って逃げたら捕まえられないのだろうか。
これはどう見ても法の不備という感じがするのだが、もし違うとしたら教えてほしい。
___
それに、仮に法がそうなっていても、善良な市民に対しても違法な(違法すれすれの?)職務質問や身体検査などを日常的に行っている警察が、監視中の被告人に手が出せないどころか指示や命令もできないというのはどういうことなんだろう?
警察が法律をきちんと守ってくれるのは確かにありがたくはあるんだけれど。
| 固定リンク | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- ◆下半期がスタートして(2020.10.03)
- ■ユニクロのエアリズムマスク雑感(2020.09.04)
- ★「第2波まっただ中」感染症学会理事長 政府は明言せず(2020.08.20)
- ●とにかく被害の少なからんことを(2020.07.10)
- ■アベノマスク(2020.05.12)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- ■大阪ガスから「電気料金【青天井値上げ】のお知らせ」が来た(2022.09.02)
- ★「ええこと」2(2021.12.04)
- ★各国はアフガニスタンの人々も救ってほしい(2021.08.25)
- ■夫婦同姓の「伝統」(2021.05.18)
- ●愚かな e-Tax(2021.03.14)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ■ニュージーランドで見た鳥(2023.09.19)
- ★ニュージーランドとアイスランドの共通点(2023.08.29)
- ★訃報は突然に・・・(2023.04.07)
- ★半分老後(2023.04.01)
- ◆狂犬病か恐水病か(2023.02.27)
コメント