★「トラ・トラ・トラ」の蔭に
新聞の投書欄のテーマがなぜか「開戦の日」となっていて、いくら鈍い私でも、さすがにそれが「なぜか」ではないことは瞬時に理解した。
ハワイ真珠湾への奇襲に成功し、攻撃隊指揮官が旗艦赤城に「トラ・トラ・トラ」を打電、ラジオに流れた開戦のニュースを聞いて大日本帝国の前途に洋々たる思いを抱いた国民も多かったであろう中、「陸軍主計少将」から「貧しいガラス職人」まで、その戦争に反対していた者が決して少なくなかったことを改めて教えられた。
前者の「主計少将」は網本浅吉という方だそうだ。1941年10月、時の陸軍大臣、東条英機に戦線拡大反対を上申し、その場で謹慎、開戦の前月には退職を命じられたという。
後者の「ガラス職人」は、作家の早乙女勝元氏のご祖父だ。開戦当日の「もういかん、もう間に合わん」という慧眼が悲しい。
元少将は終戦の翌月に自決したという。
太平洋戦争に何の責任もないにもかかわらず、それを止められなかった己の不甲斐なさに軍人としてのけじめをつけたのだろう。
自決がいいことだとは思わないが、戦後政府の要職につき、恬として恥じることのなかったA級戦犯たちとのあまりの違いには素直に頭を垂れざるをえない。
ガラス職人のその後は語られていない。戦争を生きのび、天寿を全うできたのだろうか。
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開戦に反対していた人々は、当時ですら多くいたと思う。しかしその声は秘められ、あるいは弾圧されて届かず、史上最大の破局へと突き進んでいった。
せめてこれからは、人々の良心の声が届く政府であってほしいと、無力感の中で願う。
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