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2014.07.31

●一段ずつ

 ふと気がつくと、階段を一段ずつ踏みしめて上がっていた。いや、「踏みしめて」というほどのことはないのだが、一段ずつは間違いない。

 いつからだろう?

 階段というのは、何も考えなくても一段飛ばしで二段ずつ上がるのがふつうだった。なのに、知らないうちに一段ずつになっている。

 その話を家人にすると、そういえばうちの息子は家の階段をいつも一段飛ばしで上がっているという話になった。
 私自身は気づいていなかったが、まさにそう言っている最中に息子がどたどたと上がってきた。
 なるほど、あいつが階段を上がる音がうるさいのは、いつも一段飛ばしで駆け上がってくるからなのだ。

 要するに、若い時にはまだるっこしい「一段ずつ」が、いつの間にか自分の標準になっているのである。

 何たること。

 今日は意識して職場の階段を二段ずつ上がってみた。特に難しいということはもちろんない。息子と違って、二段ずつ静かに上がる術も心得ている。
 だが、自然に選ぶことになるのはやはり、一段ずつだろうなあという感触もあった。

 自然の流れに逆らってわざわざ自分の行動を変えなければならないということ自体が、年を取ったということなのだろう。しかし、そう自覚しつつも、階段は二段ずつ上るようにしたいと思う。

 やろうと思ってもそれができなくなれば、次の曲がり角だ。そうなったら諦めて、一段ずつ人生を進めていくしかない。

 でも、そうなるまでにまだたっぷりと時間はあるし、「二段ずつ」がその時間を延長するにちがいない。

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2014.07.17

●ポイントがつく?

 職場の会議。やんごとなき方々のしかつめらしい顔が何十とならんでいる。

 そんな中、最後になって「研修」の話が出た。「インセンティブとして、出席した人には「ポイント」が与えられる」という。

 人々からさっきまでの顔が消え去り、失笑と冷笑・苦笑の波になった。発言した当のご本人も、にこやかに?笑っておられる。

 「ポイントって、いったい何の役に立つのん?」
 「ちょっと貯まれば3万円とかだったらいいですけどね」
 「でも、どうやって貯めるんでしょうね」
 「貯めたとしていつ使えるんですか」
 「なんなんでしょうね」

 あんな偉い人が・・・というような方も、冗談のネタにしている。
 私自身、何も言わなかったが、笑いをこらえることができなかった。

 これだけ相手にされない制度を思いついた人は偉いと思う。
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 その昔に勤めていた職場では、一年間一日も休まないと記念品がもらえた。そんなことを知らなかった新卒の私も、休まなかったのでもらえることになった。高級な磁器とかだったと記憶する。
 後日、何かの折りにある人が「ものがもらえるから休めへんと思われるのは嫌やから、毎年一日だけ休むことにしてんねん」とおっしゃるのを聞いた。

 仮に記念品を与える側の動機が純粋なものであったとしても、こういう小手先のアメ政策は、誇り高き職業人にとってはマイナスのインセンティブにしかならない。

 まして、「ポイント」なんかだと、浅ましい動機なのが丸わかりだ。
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 ポイント制を導入したことによって、出席する人数は間違いなく減るだろう。そんなことにこだわるのは馬鹿らしいと、研鑽のために研修に出る人にも、いらぬ雑音がちらつく。

 こういう愚かなことを考える人は、うちの職場がどういう人々の集まりであるか、そういう人たちが気持ちよく働けるためには何が必要か、ということが根本的にわかっていないとしか思えない。

 そういう連中が上の方?にいることが、この職場の不幸である。

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2014.07.14

●どうしてこんな面倒な区分にするんだろう?

 現在は普通・中型・大型の3区分になっている自動車免許を、普通・新区分・中型・大型の4区分に変更する方針を警察庁が決めたという(朝日新聞20140710)。「有識者会議」の提言を受けてのことらしい。

 背景には、「多機能化でトラックの総重量が増え、普通免許で運転できるトラックが減るなか、人手不足が深刻な運送業界から見直しを求められていた」(同)という事情があるそうだ。
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 さて、つい7年前まで中型免許というのは存在しなかったため、現行の「3区分」は実際には以下の4区分になっている(年齢・経験条件は省略)。

普通:5トン未満(車両総重量:以下同じ)
中型:8トン未満
中型:11トン未満
大型:11トン以上

 私の息子が持っている普通免許では5トン未満しか運転できないが、8トンまで運転できた私の普通免許は自動的に中型免許になっており、「中型車は中型車(8t)に限る」という禅問答のような条件がついている。皆さんの免許の多くもそうだろう。

 これが新「4区分」ではどうなるか。

普通:3.5トン未満
新区分:5トン未満
新区分:7.5トン未満
中型:8トン未満
中型:11トン未満
大型:11トン以上

のように、実際には6区分になる。息子の免許は新区分5トン未満になり、私の免許は中型8トン未満のままだ。

 どうしてこんな面倒な区分にするんだろう?

 現実に5トン未満と8トン未満の免許を持っている人が大多数なのだから、

普通:5トン未満
新区分:8トン未満
中型:11トン未満
大型:11トン以上

にすれば、混乱もなくすっきりするのに。これで何か不都合があるだろうか。
 「有識者」の案では、大多数の免許の条件に、また禅問答が書かれることになる。

 まあ、「現行で中型から課すトラックを使った教習などを3.5トンから義務づけることで、安全性が高まると判断した」(同)というのなら、3.5トンの区切りはいいとしよう(でも、それだと重めの宅配トラックにまで新区分免許が必要になって「運送業界」の意向とは対立すると思うんだけど)。

 それでも、なぜもう一つの区切りが「7.5トン」なのかという疑問は消えない。
 トラックなんか運転どころか同乗したことすらない何千万人もが8トンを運転できる免許を持っているというのに、トラックで教習を受けた人が取得する新区分を8トンではなく7.5トンまでにすることに何か意味があるのか?

 「有識者」たち(実際に案を出したのは警察官僚?)が愚かなのか、それとも何か深遠な理由があるのか、どちらなんだろう?

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2014.07.05

●いかにものを知らないか

 久しぶりに主治医?を訪れて薬を処方してもらった。コレステロールに加え、血圧も薬で下げることになる。なんだか、自分の身に起こっていることだとは思えない。

 ついでにとういか、くるぶしの下のあたりがうっすら紫色になっているのはなぜなのか質問してみた。昼間は大したことはないのだが、風呂上がりなんかに見ると紫斑のようになっている。痛くも痒くもないものの、どう見ても正常ではない。
 それも要するに加齢によるものであることがわかった。精神と肉体の乖離が著しい。

 原因について伺う過程で、静脈の中に血液の逆流を防止する弁があることを知った。何箇所にもあるらしい。
 言われてみれば当然だし、知ってしまうと前から知っていたような気すらするのだが、初めて聞いたときには「えっ? 静脈の中に弁があるんですか?」という感じだった。家人に聞いても知らなかったという。

 そんな基本的なことをこの年まで知らなかったというのには驚くほかない。
 確かに、自分がそれなりに詳しい分野については、ふつうの人は基本的な常識も知らないのがむしろ当たり前だということがよくある。逆に言えば、そうでない分野については、私にもごく基本的な知識が欠けているということだろう。

 それにしても、静脈弁の存在を今まで想像したことすらないとは・・・

 先日イタリアに行ったとき、医療を受ける側(つまりわれわれ一般人の患者)が当然知っておくべき医学的常識を持っていない人が半数近いというWHO(世界保健機関)の調査が紹介されていた。
 それを聞きながら、「いや、もっと多いのではないか。7割8割というのが現実の数字だろう」と思いつつ、自分は残り2割3割の側にちがいないとうぬぼれていたのだが、それでこの程度なのである。

 いかにものを知らないかということに、改めて気づかされる。

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