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2014.12.31

★衣服の機能

 ブログにファッションとか衣服とかいうカテゴリがない。そのことに今まで気づかなかったことがすべてを物語っている(と思ったが、以前にもないことに言及していた・・・)。

 衣服にほとんど興味がない。

 まあ、できれば見苦しくなく清潔でありたいとは思うものの、それ以上を目指したいとは思わない。
 そう考えていても(さすがに不潔ではないはずだが)見苦しいことはあるかもしれない。ふつう、人の着ているものにどうこう言うことはほとんどないのでわからないが、一度、気のおけない仕事仲間の女性から「上はともかく、ズボンを何とかせなあかんわ」と言われたことがある。それ以来、一応は気にしているつもりだ。

 そんな感じなので、衣服にお金をかけるということはまずない。最近買うカッターシャツやズボンは基本1000円未満である。
 もちろん、さすがにどうしようもない安物を買うわけではない。ときどき行く紳士服量販店?に、6000円とか8000円とかの売れ残りの一部が1000円未満(980円とか)でよく出ているのだ。その中から、気に入った(というより許せる)デザインや色や柄のものがあるときに買うことにしている。
 実際、1000円未満で売っているのと同じものが、6800円とか7800円とかでたくさん並んでいるので、それ用に作っているような商品ではない。通常ならバーゲンで半額とかになりそうなのが、1/7とかで売っているのである。見たところ、生地も縫製も(高い方の)値段なりで、とくに粗悪な品ではない。

 衣服に入るのかどうかわからないが、靴などは例外である。
 これは機能が大きく物を言うので、安物は買わない。まあしかし、たとえば7800円のスニーカーが1000円で売っていることはないので買わないだけのことかもしれない。
 それにしても、靴なら1万5千円くらいまでならふつうに出すことがある。たまにはもっと高い靴も買う。クルマやバイクやカメラや双眼鏡のように・・・というと大袈裟だが、靴は機能が重要なので、極端に安いものには手を出せない。
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 私はこれまで、衣服の機能というのを見くびっていた。
 確かに、1万8千円のドレスシャツも私の980円のシャツも、それほど機能に違いはないと思う(あったら教えてください)。
 だが、機能の高い衣服というのは歴然とあり、高機能を買うと高いのだということを、今冬、驚きとともに実感した。

 これまでも、ゴアテックスのカッパとか上着とかは買ったことがある。確かに高かった。しかし、その機能に感動するところまでには至っていなかった。
 なんとなれば、カッパなんて雨を通さなくて当たり前で、浸みてきたのでは失格である。また、30年以上前、最初に自分で吟味した買った上着やカッパがゴアテックスだったので、「蒸れると不快」という感覚もわかりにくい。つまり、ゴアテックスの高機能がふつうだと思っていた。

 一方、防寒に対しては、「結局は寒いもの」という諦観があった。スキーをしていたので、最初にブームになったころのダウンベストとかも知っているが、結局のところ、寒い分だけ重ね着で対処して、それでもやっぱりゲレンデでは凍える・・・というのがふつうだと思っていた。

 長くなった。

 要するに、(私にとっては)途轍もなく高価な冬用のバイクウェアを買ったところ、驚くほど寒くなかったのである。ダウンジャケット?をインナーとして着用することで保温に配慮し、上から防風・防雨性能の高いジャケットを着るようになっていて、有無を言わさないセットで売っている。店の人に「セーターは要りません」と言われて半信半疑だったのだが・・・

 先日、実家からの帰り、マイナス1℃の六甲山上をバイクで走っても寒くなかった。さすがにこの温度だと快適とは言えないが、3℃とか5℃とかだと、そこそこ快適に走れるのがすごい。
 昨日も、1℃とかの夜の山中を走ってきたが、特に問題はない。昼間はけっこう見かけたバイクも、夜になると一台も(ほんとにただの一台も)見なかった。夜になってから百数十km走ったのだが、ほかの人が走っていないのは、やっぱり寒いからが一番の理由だろうと思う。
 みんながこの服を買えばもっと走るようになるのではないだろうか。

 昨シーズンの給油回数は12月から2月まで毎月1回ずつの3回だけであった。10月末の奈良・三重山中で震え上がった後は、スキーウェアを着て走っていたにもかかわらず、やっぱり寒かったから乗らなくなっていたのだろう。
 ところが、今シーズンは12月始めにウェアを購入してから、昨日までのたった1か月足らずでなんと7回の給油を数えている。寒くさえなければ、暑いときよりむしろ快適なのだが、ちょっと走りすぎだ。
 タイヤが替わって気持ちよくなったせいもあるが、それにしても・・・

 清水の舞台とは言わないが、うちのテラスから飛び降りるくらいの思い切りで買ってよかったと思っている。
 これで高い衣服に目覚めるような気遣いもないし、調子に乗って走りすぎないようにだけ気をつけよう。
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 今年も一年、ありがとうございました。
 みなさま、よいお年をお迎えください。

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2014.12.27

★調和旋回

 上下・左右・傾きの3つをコントロールしなければならない飛行機には、したがって舵も3つある。
 その3つをうまく調和させて旋回できると、機体にも体にも変な力がかからず、実に気持ちがいい。
 左右のステアリング1つしか舵がないクルマには、とてもできない芸当だ。

 だが、バイクのタイヤを替えてから、その調和旋回に近いような感覚を得ることができるようになって、喜んでいる。
 車と違い、車体をバンクさせるバイクは、左右と傾きの2つの舵を持っていることになるからだ。
 地面から離れるわけにはいかないので、上下の舵はもちろんない。
 しかしながら、たとえば見晴らしのいい峠を下っていると、ほんとうに空を飛んで下界を見下ろしながら旋回しているような感覚を味わえる。
 登りの峠なら空へ向かって上昇旋回・・・

 ただの水平なカーブであっても、コンパスで円を描くようにみごとなニュートラルステアで旋回していくので、飛行機で調和旋回しているような錯覚を覚える。

 以前バイクに乗っていたときは、飛行機を操縦したことがなかったためか、そんなふうに感じたことはなかった。
 あるいは、バイクやタイヤの性能、そして自分のウデが悪かったためかもしれない。
 まあ、ウデは今でも悪いんだろうけれど。

 ともあれ、飛行機を操縦しなくなってから味わえなくなっていたあの感覚が甦ってきたのはとても嬉しい。

 気になるのは、飛行機の旋回よりも(おそらく)はるかに危険なことである。
 もちろん、余裕を持ってゆっくりとしかカーブは曲がらないのだが、それでも、旋回半径を自由に選ぶことはできないし、路面もきれいだとは限らず、周囲は障害物だらけである。
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 アメリカで飛行機の免許を取ってすぐのころ、近くの空港の主みたいな女性に報告したときの、「素晴らしいことなのよ、だってあなたは自由を手に入れたんだもの」という言葉が忘れられない。
 南カリフォルニアの傾きかけた太陽を浴びていたその姿と、少し芝居がかった祝福の声は今でも鮮明だ。

 ということは、私は自由を手放してしまったことになるのか・・・

 だが、バイクに乗ることでほんの少し、それがまた戻ってきているのだ。

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2014.12.24

★諸行無常

 この題名で書くのは何度目になるだろうか・・・
 クリスマス・イブだというのに。

 「★舌先の違和感」で2度目に名医を訪れたとき、週末にかけて向こう2日間ほど急に休診することになったという連絡に事務員たちが追われていた。
 先生ご自身はお元気そうに見えたので、ご両親のどちらかがお亡くなりになったりしたのだろうかと思っていた。

 それから1週間ほど経った今日、息子が風邪をひいていて咳が止まらず、喉を痛めているようなので、予約が取れれば行こうかと、ネットで試してみたところ、年内はもう一切予約が取れないということになっていた。
 先日の休診の影響で混んでいるのかと思ったが、舌先がまだ完治していないこともあり、自分の薬だけもらえるかと予約を取り直すと、投薬だけなら可能であった。

 医院に着くと、混んでいるのではなく、今日(午後?)から年始にかけては休診であることがわかった。事務員たちは例によって予約患者への連絡に追われている。

 前回は遠慮したのだが、どうにも気になるので、支払いを済ませて処方箋を受け取るとき、「先生、どこかお悪いんですか」と聞いてしまった。
 すると、意外な答えが返ってきた。

 「奥様が急にお亡くなりになったので・・・」

 ご両親ではなく、奥さんなのである。1週間前は「倒れた」とかそういうことだったのだろうか。
 先生の年齢から推して、奥さんは50代かと思われる。何とも早すぎる死だ。

 交通事故・・・とかかもしれないが、そうではないとすると、余計やりきれない。
 名医と暮らす配偶者が、これほど若くして亡くなってしまったのだ。

 日本人のノーベル賞候補者として有名な、免疫やガンの研究者も、奥さんを若くしてガンで亡くしている。

 2011年のノーベル生理学・医学賞を受賞したラルフ・スタインマン氏は、受賞理由となった樹状細胞を使って自身の膵臓ガンを治療中に亡くなり、受賞の報を聞くことができなかった

 一方、私と家人の計4人の両親、姉や弟などは、この数年〜1年ほど、悪性リンパ腫やらガンやら心筋梗塞やら敗血症やらで入退院を繰り返したりしていたが、この正月は全員自宅で迎えられる(はずだ)。
 姉や弟はともかく、親たちは一番若くても80近い。

 まあ、身内が亡くなるよりは他人が亡くなる方がまだましには違いない。

 いや・・・ 

 やはりそうではなく、きちんと順序に従って亡くなっていく方がまだ救いはある。
 名医と暮らしてきて50代で亡くなるなどという理不尽は、たとえ他人事であっても、無常の観を新たにするのに十分すぎる。

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2014.12.23

★ドライブレコーダー

 以前から車にドライブレコーダーをつけたいと思っていた。だが、
 1.納得のいく製品が発売されていない
 2.設置するのが面倒くさそう
 3.設置を頼むとお金がかかりそう
という理由で、二の足を踏んでいた(なぜパナソニックやソニーや東芝が発売しないのだろう?)。

 ところが、「何かあったときに自分が悪くないことを証明したい」という息子がつけたがるので、バッテリーを交換するついでに何か見繕ってこようと、適当な製品に目星をつけてカー用品店に行った。
 バッテリーを買った店では気が乗らなかったのだが、もうひとつの店に行くと、ものすごく安くなっているのが候補の一つだったので、ちょっと思案した後、買って帰ることにした。
 HD動画が撮れるようなそこそこの製品でも、驚くほど安価になっている。周波数が同期する関係でLED信号が消えてしまう問題も解消されていた。

 早速、息子が運転することのある家人の車に取り付ける。以前ETCを取り付けた時には、カーステレオの裏から電源を取るなど苦労させられたので、今度は素直にシガーソケットから取った。
 内装の一部を外して配線を隠すのはETCの時に経験したので、思ったより簡単に設置できた。
 こんなことなら、もっと早くつけておけばよかった。
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 ただ、つけたのはよかったのだが、早速役に立つ「ような」ことが起こるとは思わなかった。

 ほんの数日のうちに、後ろから「追突」(トートロジー?)されたのである。
 親子連れが横断歩道を渡ろうとしているので停止したところ、1秒後くらいにドンという軽い衝撃があった。
 ミラーを見ると、自転車に乗ったおば(あ)さんが、バンパーにぶつかってこけそうになっていた。
 幸いこけることはなく、私の車の左横をすり抜けて「当て逃げ」していった。
 一瞬、目が合う感じになったのだが、向こうは会釈すらしない。何を考えているのかよくわからないのだが、止まっている車にぶつけたことくらいまったく何とも思っていないのか、気が動転して逃げるのに必死だったかのどちらかだろうか。
 逃げるならUターンしていけばいいのに、あくまで自分が行きたかった方向へ、まだ停止している被害者の車のすぐ横をすり抜けていくあたり、厚かましいのか無自覚なのか、わけがわからない。

 まあ、追突なので、ドライブレコーダーがなくてもこちらに非がないことは明らかなのだが、それでもやはり、
 ・ほとんど徐行程度の速度で走行していたこと
 ・横断歩道手前で歩行者のために停止したこと
 ・急停止ではないこと
がはっきりと残るため、万一何か問題になったときには安心である。幸か不幸か、相手が逃げて問題にならなかった。
 バンパーには、ゴムが擦れた痕跡の中に、タイヤについていた砂によると思しき浅い傷が数筋残っていたが、16年ものの車であってみれば、ほとんど気にもならない。

 どんな形であれ、追突なんてされたのはたぶん25年ぶりくらいなので、ドライブレコーダーをつけてすぐにこんなことがあるのは不思議だった。

 その後、同じ日に、これも自転車のおば(あ)さんが、完全に信号無視をして目の前の交差点に左から飛び出してきたのにも驚かされた。
 はねるとかひくとかいうタイミングではなかったものの、ほんの1〜2秒のことでそうなりかねなかった。そういうとき、ドライブレコーダーがなければ、どちらが青だったかと水掛け論になってしまう可能性がある。こちらがばっちり青で、向こうがかなりのスピードで飛び出してきた映像は、だから人生を左右しかねないほどの意味を持つかもしれないのだ。
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 やはりこれは役に立つぞと思って、自分の車にも同じのをつけてみた。

 装着して初めて乗った日、自宅からそう離れていないところで、今度は車に乗った初老の女性が右から出てきた。
 こんなに見通しのいいところなのに、どうして完全にぶつかるようなタイミングで出てくるのか理解に苦しむ。こちらが明らかに優先道路で直進、先方から見るとT字路になっている。なのに、こちらの進路をふさぐように右折してくるのである。
 左のAピラーの死角になっていたのかもしれないが、それにしても、こちらは自転車でもバイクでもなく、普通乗用車なのだ。それが見えない程度の安全確認しかしないのなら、車になど乗らない方がよい。
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 ドライブレコーダーをつけると、自分の運転も常に見張られていることになるので、心なしかいつも以上に運転が慎重になる。それなのにこんな災難に続けて遭うのはなぜなのだろう。

 役に立たないのが一番である機械が、早速役に立ちそうな気配を漂わせていて、少し戸惑っている。


 後記:注文していた部品が到着したので、自分の車の方はヒューズボックスから電源を取り出す方式に変更した。見た目の問題もあるが、シガーライターがまさかの常時給電!だったのが最大の理由だ。挿しっぱなしにしていると常に作動してしまうため、乗り降りの際に挿したり抜いたりする必要がある。その面倒をなくすために、イグニッションオンで電源供給が始まるようにした。配線も上手く隠せてちょっと悦に入っている ^^;

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2014.12.11

★舌先の違和感

 舌先に違和感を感じるようになってから、もう1か月半くらいになる。

 舌先がU字型にちょっと赤く腫れたような感じになり、細かいひび割れのようなものができている。
 特徴的なのは、水を口に含んだだけで、渋柿を食べたような感覚に襲われることだ。渋くはないのだが、渋柿を食べたときの感覚・・・ 経験していない人にはわかるまい。あ、「イガイガする/いがらっぽい」というのが少し近いかもしれない。

 それに加えて、2週間くらい前からだろうか、舌の右側面が突っ張る感じになってきた。やや痛みもある。
 昨日は舌先左の絨毛?が一本?白くなって小さなできもののようになっていたのだが、それは一日で消失した。

 この状態で味がわかるのが不思議なのだが、違和感はあるものの、味覚には特に問題がない。むしろ、何の味もしないはずの水なんかが一番の鬼門である。

 ネットでいろいろ調べてみると、同じような症状の人はけっこういるようだ。
 だが、原因や対策などで役に立ちそうなものは見当たらなかった。
 医師が回答したというものでも、「加齢による」「自然治癒を待つしかない」「大病院で診てもらうように」などが並ぶ。唾液は十分出ているのでシェーグレン症候群ではない。

 素人が回答した「亜鉛とビタミンのサプリ」が、とれそうな唯一の対策だが、どうしようかなあと思っているうちにひと月以上経ってしまった。
 もしかしたら新しい歯磨き剤が原因かもと思って、まず前のに戻し、次にらでぃっしゅぼーやのものに変えたのだが、効果はなかった。

 しゃべるのが商売なのだが、それにも支障が出てきたような感じで、ちょっと「自然治癒を待つ」とか言っていられなくなってきた。

 そんな折、たまたま自分のブログを読み直していて、去年の年末に耳痛で耳鼻科に行って喉が原因だと言われたときのことを思いだした。
 「五十肩の患者が遠方からその耳鼻科に行く」という話がある名医である。

 舌の症状なら、五十肩よりよほど耳鼻咽喉科の専門分野に近い。どうして今まで思いつかなかったんだろうと思いながら、早速予約を取って行ってきた。
 例によって1時間以上待たされ、「すみません、「耳鼻咽喉」じゃないんですけど・・・」と言って診ていただいたが、今回は前回ほどには明快ではなかった。右側面には口内炎ができているそうで、「まず口内炎から治していきましょう」とおっしゃる。
 「あれ? 珍しく抗生物質やら抗炎症剤やらが処方されるのかな」と思ったが、案の定というか、漢方薬しか処方されなかった。口内炎って漢方薬で治るのか・・・

 まだ一回しか薬を飲んでいないので、これで治るかどうかはわからないのだが、なんだかもう治る気がしてきた。
 名医の名医たる所以である。
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 治ったら、いただいた薬の名前をここに記します。同じ症状でお悩みの方(けっこういらっしゃるようです)、それを参考に、漢方薬を処方してくださるお近くの医師にご相談ください。

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2014.12.09

★「ご迷惑をおかけしております」

 トランクに「ご迷惑をおかけしております」と赤字で書いた車が走っていて、目をひいた。

 どんな車かおわかりだろうか。選挙カーではない。

 自動車教習所の教習車である。
 「なるほど、確かに」と思うものの、同じ書くんだったら「ご協力ありがとうございます」とかの方がいいのではないかと思った。

 ほとんどみんな通ってきた道なんだから、そう言われれば、初心を忘れたドライバーたちも少しは優しい気持ちになれるはずだ。

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2014.12.07

★弘法以外は筆を選ぶ

 1万5千キロほど走ったバイクのタイヤを交換した。

 ディーラーで「前はそろそろですねぇ」とか言われながら、けっこうたっぷり溝が残っているように見えるので、「替えてもいいけどまだもったいないかなあ」とか思っていたのだが、よく見ると、前輪はスリップサインまでごくわずかだった。
 車と違い、真ん中だけどんどん減っていくのを忘れていた。サイドはそれほど減っていないので、ぱっと見たところではまだしっかり溝があるように見えるのだ。

 後輪は「これでもか」というくらい溝は残っているし、スリップサインまでまだ半分くらいという感じだったのだが、前後輪同時に交換した。

 新しいタイヤは、ミシュランのパイロットロード4(Michelin Pilot Road 4)。このバイクを購入したときから気になっていた銘柄(当時は3だった)で、他の選択肢はほとんど考えなかった。

 しかしそれでも、これほど素晴らしいとは予想していなかった。

 極低速から高速まで、直進性が高い。それでいて、曲がりたい方向に軽くすっと曲がりはじめる。コーナリング中の安定感も高く、曲率一定のレールの上をトレースするように気持ちよく進んでいく。

 タイヤ屋さんが「違うバイクみたいになりますよ」と言って送り出してくれたときは、「それはちょっと大袈裟なんじゃないか」と半信半疑だったのだが、「みたい」どころか、ほんとにもう、まったく違うバイクである。

 これまでの低速での不安定感、コーナリングでの不安感はすっかりなくなってしまい、2レベルくらい上手になった感じですいすい進んでいく。
 苦手だったタイトコーナーも、くるんと回っておしまい。「アウトに膨らみそうだなあ」と思っても、それを意識するだけで、そうならずに綺麗にクリアできてしまう。

 タイヤを替えるだけでこんなことになるとは・・・

 「弘法以外は筆を選ぶ」というタイトルにしたが、弘法大師だって、もしかしたら筆は選ばなくてもタイヤは選ぶかもしれない。
 それくらい違う。

 クルマの場合、せっかく新しくていいタイヤに替えても、ほんのわずかな違いしか感じられない。家人などは、まったくわからないといってはばからないほどである。
 しかし、いくらなんでも、これだけ違えば誰でもわかる。家人に実感させてあげられないのが残念だ。

 それにしても・・・

 こんなことなら、もっと早く替えておくんだった。安全性だって数倍にはなっただろうと思う。

 ・・・だが、あまりにも気持ちよくスムーズに走るので、知らず知らずワインディングのペースが上がってしまっているのに気づく。この寒さの中、路面が濡れていたりもするのに。
 実際にはウデはまったく上達しておらず、新品のタイヤ性能に乗せられているだけなのだ。

 昨今、クルマの性能がすっかり上がってしまい、何の不安もなくスピードが出て楽にカーブを曲がっていけるのと似ている。
 そういうふうに走っていて何かあったとき、クルマはそれでも廃車程度ですむかもしれないが、バイクの場合は命にかかわる。

 とにかく調子に乗らないよう、コーナーを1つクリアするたびに自戒している。

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