◆潮時?
海まで歩いて10分くらいのところで生まれ育った。
子どものころの夏休みなど、毎日のように海で泳いだものだ。潜って魚を突いたり、春にはワカメやアサリを取ったりもした。おぼれかけたことも2〜3度ある。
カレイやアナゴなんかを釣るくらいには釣りもした。兄と2人でゴムボートを出したときには、確かヒラメを釣り上げたはずだ。
よく死ななかったなあと思う。小学生や中学生のくせに、子どもだけで好き勝手に遊んでいた。
あ、死ななかったといえば、雪山で遭難しかけたこともある。確か中1の時だった。雪山と言ってももちろんスキー場なのだが、信州の2千メートルを超える峠からルートを間違え、何とかゲレンデに戻ったときには顔半分が動かず、ホットミルクが口からだらだら流れた。
リスクに鈍感だったのか無頓着だったのか、あるいは子どもの一人くらいは死ぬものだと思っていたのかはわからないが、放任主義?の両親だったなあと、ちょっとあきれながら感心する。
とてもあんなふうには子どもを放っておけない。
話がまったく横道にそれた。
海育ちのくせに、ぜんぜんダメである。
泳ぐのは速くないし、海辺の生き物にも詳しくない。波を読むとか潮を読むとかの能力もまったくない。釣りなんか、文字通り児戯に等しい。
弟は一時、小さな船を買って釣りをしていたし(今も持ってるのかな)、兄は今でも釣りに凝っているようで、私だけが海の楽しみを深められていない。
まあ、海に限らず、何ごとも深められないのが自分だから、これはある意味仕方ないとも思う。
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「潮時」という言葉がある。海に生きるものは潮を読み、航海なり漁なりに生かす。
万葉集の昔から
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でなのように歌われている。
海育ちであるにもかかわらず、私はこの、潮時についてまったく無知である。満潮や干潮が釣果にどう影響するのかすら知らない。
「潮時」は、文字通りの意味以外に、比喩的に「時宜にかなった」というような意味として使われることもある。
今はネガティブに使われて「諦め時」みたいな用法が多い気がするが、元来は中立的、ないしはむしろ、好機、チャンスの意味であろう。
ああなんと、ここまでがどうでもいい前置き・・・
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選挙権年齢を18歳以上に引き下げる公職選挙法が衆参両議院において全会一致で可決された。
ややこしい人であふれかえるあの国会で、衆議院でも参議院でもだれ一人反対票を投じなかったというのだから驚く。
そんなに誰も彼も賛成するようなことなんだったら、どうして今ごろになってしまったんだろうと、不思議で仕方がない。10年前でも20年前でも成立したんじゃないだろうか。
・・・と思ったときに浮かんだ言葉が「潮時」だ。
何ごとにも潮時というものがあって、選挙権年齢の引き下げに関してはちょうど今ごろということだったんだろうと思う。
でも、どうして今が潮時なのか、いくら考えてもわからない。30年前でも30年後でもいいような気すらする。
海育ちにもかかわらず潮が読めない男は、日本育ちであるにもかかわらず、この社会の潮目も読めない。
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