■車中断想 ──鉄路と道路
北海道の大部分においては、鉄道はもはやその使命を終えつつある。というより、すでに終えているのかもしれない。
国鉄の民営化やその後の経営難に伴い、多くの路線が廃止されたが、「本線」と名がつくようなルートでも、上下合わせて一日に16本というのがスタンダードのようだった。その中に特急を含むのである(ちなみに大阪だと東海道本線だけで日に600本以上が走っている。もちろん新幹線は含まない)。
たとえば、稚内から6つ先の、サロベツ牛乳で有名な豊富の駅に行こうとすると、列車は日に5本である。6時過ぎの始発に乗り遅れると、次の電車が出るのはほとんど5時間後の11時前になる。
札幌へ向かう特急は日に3本出ている。しかし、稚内から札幌にもっとも早く行ける公共交通手段は飛行機で、もっとも安く行けるのはバスである。そして、直通の特急に乗ったとしても5時間以上かかり、バスとくらべて特別早いわけではない。高くて遅くて本数もほとんどない鉄道に、だれが乗るというのだろうか。
反面、道路は充実している。しかし・・・
ほんとうに車よりキタキツネの通行量の方が多いような立派な道路がいくつかある。地図に「交通量はほとんど無い」と書いてあった道路がそうだった。それとは別に、「交通量は皆無」!と書いてある道路もいくつかある。それもたとえば「ロングワインディングロード」だ。
その種の道を作ることは、環境を破壊すること以外にほとんどなんの意味もない。莫大な費用を使って何をやっているのか。
文字通り縦横に走っているそれ以外の立派な道路にはもちろん功罪両方あるだろうが、これほどまでに金銭を投入して敷設・維持する意味があるのだろうか。新しい高速道路も次々と建設中である。そんなものがなくても移動には困らないのに。
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「北方領土」の択捉島に「初の舗装道路が完成」したのはなんと2013年だという(20150823朝日新聞)。そのころからロシア政府としても開発を進めているようだが、もし数十年前に日本の領土に戻っていれば、今ごろは広い舗装道路が張り巡らされていたことだろう。
仮にそうなっていたとして、それがだれと何にとってよかったのか悪かったのかは、なかなか難しい問題だけれど。
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