■車中断想 ──アイヌ
ひとりで車を運転して北海道を走り回ったりしていると、さまざまに思いをめぐらすことになる。
アイヌ・歴史・探検・移住・開拓・開発・自然・交通・狩猟採集・農業・経済・政治・環境、そして近代国家と国境・・・
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アイヌの人口は現在数万人と言われているが、ピーク時はどれくらいだったんだろう? いくら多くても、何十万というオーダーには達していないはずだ。おそらく10万に届いたこともなかったのではないか。
それでいて不思議なのは、広大な北海道のほんとにすみずみにまで、アイヌ語の地名がつけられていることだ。どんな原野の片隅も森林の奥も、アイヌモシリ(人間の住む大地)の一部として認識されていたのだろうか。徒歩以外に交通手段がない時代に。
コミュニケーション手段も直接対話以外になかったはずである(狼煙なんかは使ったのかな)。たとえば現在でも有名な白老と平取と阿寒の旧アイヌコタンは、相互に数百キロも離れているのだが、それほどの距離を隔てて、同じアイヌ語が使われていたというのも驚異だ。言語の地域差は小さなものではありえないと思うのだが、アイヌ語の方言の話は、樺太アイヌ関連以外でほとんど聞いたことがない。
衣服の文様などに関しては、それぞれの集落で違いが見られる旨、博物館などで説明があったが、アイヌ語のそれは見かけなかった。まあ、単に見落としただけかもしれない。
北海道がアイヌのものであった時代、そこに国境などというものは存在しなかった。「北方領土」にだってサハリン(樺太)にだって、国や国境を意識せずにアイヌは住んでいた(アイヌ以外にも、ウィルタやニヴフもいた)。
ところが、近代国家による国境策定の波に翻弄され、半ばあるいは全面的な強制の下に、新しく引きなおされた国境のどちら側に住むべきかを強いられたのだ。
そして、そのどちらに住んでも、待っていたのは差別と抑圧だった・・・
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