★ちょっと真面目に「ふるさと納税」
花見に一度も行かないうちに春の嵐、大雨と風が桜を散らしてしまっているだろうことを思いながら、室内に籠もってごちゃごちゃやっている。
さて、それとは別に。
いわゆる「ふるさと納税」というのは、「2000円を超える寄付を行ったときに住民税のおよそ2割程度が還付・控除される制度」である。
もっと平たくざっと言うと、「自分が負担する住民税の2割までは任意の自治体に納めることができる制度」だ。
それだけなら「地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を推進するため」に役立つような気もする。
ただ、「お礼の品・特典」が過熱しすぎて自治体や地方経済を振り回し、疲弊させたりしている。
また、たとえば財政難に悩む東京都世田谷区から莫大な税収が流出したりすることも問題になっている。
さらに、「高額納税者(≒金持ち)ほどトクをする」という構造がある。
上記の通り、2000円以上の負担なくふるさと納税できるのは住民税の2割程度なので、一般に高所得者ほどその額は大きい。たとえば、単身の給与所得者で考えると、おおよそ
年収 ふるさと納税上限額
300万円 2万8000円
600万円 7万8000円
900万円 15万3000円
1500万円 37万5000円
2000万円 54万5000円
3000万円 102万6000円
1億円 430万5000円
といった感じになるらしい。
そして問題は、この右側の金額に比例する形で「お礼の品・特典」を受け取れるということである。つまり、その「お礼の品・特典」分が、実質的な減税となるのだ。
高収入で生活に余裕のある層ほど恩恵が大きい、絵に描いたような逆進性である。
そして、「ふるさと納税バブル」が起こり、多くの寄付を集めている自治体では、「お礼の品」が足りなくなり、米や肉や魚などを市場価格の2倍以上で買い上げたりしているという(『朝日新聞』)。
思うように寄付の集まらない自治体も、この「降りることのできないゲームを強いられ」(天声人語)続けている。
そして何より、全国の納税額全体で見れば、「お礼の品・特典」の分だけ税収減になり、この制度にまつわる人的コストも膨大なものになる。
これだけ税収が足りない足りないと騒がれているというのに。
こんな愚かな制度を考案して実行に移したのはいったい誰なんだろう?
(参考サイト:ふるさとチョイス)
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