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2016.08.31

★ヒッチハイカーとサイクリスト

 ヒッチハイカーを乗せてあげたことはない。

 一度だけ、フランス北部をドライブ中に、気の迷いからブレーキを踏んでスピードを落とし、家人に咎められて再加速したことがある。
 喜んで駆け出すカップルをミラー越しに見ながら、申し訳なさでいっぱいになった。
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 アイスランドでは、すでに50人くらいのヒッチハイカーを見たかもしれない。それよりやや少ないサイクリストにも遭遇した。後者には特に、年配の人も多い。

 今日の後半など、210kmにわたって道沿いには店もトイレも何もなかったのだが、そんなところでも自転車を漕いでいる人がいた。
 いったい、どんなふうに日々を過ごしているのか、想像するのも難しい。
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 長い道中のつれづれに、「彼(女)らはなぜヒッチハイクをするのだろう」と考えていた。

 経済的な理由も大きいとは思うが、それよりはむしろ、生き方というかそっちの問題だという気がする。

 彼らだって、ヒッチハイクでアイスランドまで来たわけではない。また、昔のように、貨物船に安い値段でもぐり込んで・・・というわけでもあるまい。
 結局は私と同じように、エコノミークラスの飛行機で飛んできたはずだ。

 たとえば2週間の旅行をするのに、小さい車を借りれば10万円もかからない。飛行機代が払えるなら、もう少しアルバイト?をがんばって車で走れば、あてのないヒッチハイクなどしなくてもよいのである。

 にもかかわらず、彼らはヒッチハイクをする。

 それはまず、旅行期間が2週間とか、そんな取るに足りない長さではないからだろう。たぶん、最低でも2〜3か月、もしかすると3年くらいかけて世界を回っている途中なのかもしれない。

 それに・・・

 いや、結局のところ、ぼくにはできなかったし、これからもできないことを彼らはやっているのだ。それには素直に敬意を表したい。

 サイクリストの方なら、自分の脚で走破したいという実感がほしいことはわかる。それでも、アップダウンの激しい、ときに未舗装の道を、文明に出会うまで(たとえば)210km走るとすれば、2日がかりになるだろう。

 彼らもまた、ぼくにはできないことを・・・
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 それにしても。

 今回の旅行だけではなく、ヒッチハイカーを乗せてあげているところを見たことがない。どのくらい待てば乗せてくれる車が現れるのだろう。

 ぼくにだって、乗せてあげたい気持ちは十分ある。
 でも、第一にレンタカーの約款で禁止されているし、一人ならともかく、二人乗せることは物理的にほぼ不可能だ。彼らの荷物は大きいので、一人だってどうだか、という感じである。トランクはすでに、ぼくらの荷物だけで一杯なのだから。

 それに、あれこれ考えるうちに、実際に乗せてみないとわからないかもしれない問題に気づいた。

 彼らはかなりの臭気を発しているに違いないのである。ときにはたまらないくらいに。

 もしかしたら、ほとんどだれもヒッチハイカーを乗せてあげない最大の理由はそれかもしれない。車内が汚れるとか臭いとか。

 残念ながら、彼らの素晴らしい生き方をもってしても臭気や汚れを消し去ることはできない。

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2016.08.30

★アイスランドの道路事情など

 (このエントリは随時更新していきます。)

 アイスランドの道路事情は悪くない。
 High Lands と呼ばれる内陸部に行かなければ、おそらく問題はないと思う。どのみち、一般的なレンタカーで High Lands を走ることは許されていない。
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 レイキャビク近郊にあるケプラビーク国際空港に着いたとき、「よくこんな立派な空港を維持できるなあ」と感心した。
 なにしろ、アイスランドの人口は33万人ほどなのである。そのうち、勤労者は20万人くらいだろうか。

 国外の旅行者がかなり寄与しているにしても、たった20万人ほどが納める税金で、(人口が計1千万人近い)北海道と四国を合わせた広さの国土のインフラを整備することが可能なのが、とても不思議な気がする。

 どんな田舎に行っても電気は通っているようだし(しかも電柱がない!)、水道水はおいしいし(一度だけ、山中のトイレで「飲めません」の表示があった)、ほとんどの水栓からお湯が出るし、水洗トイレ以外を見たことがない。
 そして、「いったいどこの惑星にいるんだ?」というような原野の真ん中にある宿でも、インターネットが通じる。
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 さて、道路の話。

 これまでに2000km以上を走ってきて、アイスランドをほぼ3/4周した。その経験をもとに、レンタカーでアイスランドを回る方々の参考になればと、簡単に(レイキャビク以外の)道路事情を記しておく。
 (その後の経験も踏まえて更新しています。)

1.ほとんどの道路は片側一車線。ケプラビーク国際空港からレイキャビクに向かう道と、アイスランド第2の街、アークレイリの海岸通りだけは片側二車線だった。
2.田舎へ行くと、橋があるたびに一車線になってしまう場合がある。交互通行になるが、交通量が少ないのでそれほど問題はない。
3.ほとんどの舗装道路の制限速度は90km/h。街(というよりほとんどは「集落」)が近づくと70, 50と規制標識が出て、街が終わるまでは50km/h。学校の近くなどは30km/h制限もある。
4.ほとんどの未舗装道路の制限速度は80km/h!
5.客観的に危険な場合(センターラインで表示される)以外はほとんどの箇所で追い越しOK。交通量も少ないので、遅い車の後に数珠つなぎになることはない。
6.有料道路は(たぶん)存在しない。(後記:レイキャビクの北に、フィヨルドに沿って大回りするのを避けるための海底トンネルが開通しており、そこは有料(ISK1000≒900円)だった。)
7.信号はまったく!ない。もしかしたらレイキャビクにはあるのかもしれない(アークレイリにはあった。赤信号はハートマーク。レイキャビクにはふつうに信号があった。)。交差点は基本的に、ロータリー(中の車が優先)か、一方が徐行(ときに一旦停止)。
8.ヘッドライトは昼間も常時点灯が法律で義務付けられている(よく忘れる)。
9.下手をすると、200km以上にわたってガソリンスタンドがないことがある(実際あった)。小まめな給油が必要。同様に、トイレもないことがある。こちらも見つけたら用を足しておいた方が無難。
10.名所の駐車場はほとんど無料。シンクヴェトリル国立公園のみ、あちこちの駐車場1日券でISK500(≒450円)だった。アークレイリの街も無料で1〜2時間のところが街の中心地にすぐ見つかる。ただし、銀行かガソリンスタンドで無料の時計盤を手に入れ、駐車(到着)した時間をダッシュボードの上に表示しておく必要がある。紙に時間を書いて(Arrived time is 11:40 a.m. Thank you.)置いている人もいた。
11.私の乏しい経験からは、アイスランドほどクルーズコントロールが役に立つ国はほかになかった。私はマニュアルを希望したのにレンタカー会社の都合でオートマチックになったが、むしろよかったと思っている。マニュアル派の方も、クルコン付のオートマチック車を検討してはいかがだろうか。
12.ナビは不要だが、GPSはあったほうがよい。スマホにグーグルマップをダウンロードしておけば通信なしでつかえる上に自分の位置がわかって、必要十分。ダウンロードは一度にはできないが、アイスランドなら10回以下でほぼ全土をカバーできる。
13.ガードレールはほとんどない(西部にはたまにある)ので道路脇に飛び出したりしないように注意が必要。実際に飛び出している車を見た。

 日本のドライバーが驚くのは、未舗装路が多いことだろう。

 アイスランドをぐるっと一周している天下の国道1号線ですら、東部では未舗装区間がけっこうあった。おそらく西部はもっとひどいのではないかと思う(後記:未舗装区間はむしろ少なかった)。
 あるいはまた、ヨーロッパ最大の水量を誇るという滝(デティフォス)を、観光ガイドはさらっと「幹線道路の864号線から近く」と表現しているのだが、国道1号から分かれるこの「幹線道路」は全線未舗装で、滝までは30kmの道のりがあった。しかも、滝に近づくにつれて路面状態が悪くなっていった。
 今泊まっている宿に来る道も、10km以上にわたって未舗装だった。

 ただ、多くの未舗装路はフラットダートで、ライン取りにさえ気をつければ実際に80km/hで巡航できた。それでも、日本のドライバーは未舗装路自体に慣れていない人が多いだろうから、路面状況には細心の注意が必要である。

 もう一つ注意すべきなのは、わき見と居眠りである。

 あまりにも見慣れない壮大な景色(というより「光景」)が広がるので、わき見運転などしないように気をつけなければならない。
 ほとんどの車は100km/hくらいで走っているため、センターラインを超えると相対速度200km/hで衝突しかねず、おそらくは即死する。

 私の場合、わき見は大丈夫だと思うのだが、居眠りの方は自信がない。
 これまで走った道は、たぶん例外なく、路側帯とか車道外側線とかそういうものは一切存在せず、文字通りの片側一車線のみであった(北西部には車道端に線を引いている道があったが文字通り端に線があるだけ)。したがって、車を停めるスペースが皆無の道が十数kmくらいは続いたりして、眠気を催したりしても、停めて休憩する場所がない。

 仕方なくだましだまし走り続け、万一意識が飛ぶと「200km/hで衝突」ということになりかねない。私自身、「どこかに停めて寝なければ」と思いながら、いつまでも場所が見つからず、一度ひやっとさせられた。
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 あ、ついでに。
 ガソリンは高い。リッター170円くらいか。軽油は160円くらい。でも、他の物価に比べればむしろ安いとも言える。今のところ、アイスランドへの大きな不満は、物価が高いことだけだ。

 アイスランドの名所の多くは、公共交通でのアクセスが事実上不可能に近い。レンタカーを利用して安全な旅を楽しみたい。

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2016.08.26

★前途多難

 アイスランドを訪れる人の多くは、ブルーラグーン(水色の温泉をたたえた湖)と首都のレイキャビク、それに、ゴールデンサークルと呼ばれる、大地の裂け目(ギャオ)や間欠泉や滝などが見られる地域だけを観光するらしい。

 ぼくたちも、アイスランド観光の実質初日、国際空港近くの宿を出て、ブルーラグーンからレイキャビク近郊を経て、ゴールデンサークルの一部を回った。レイキャビク自体にはまだ足を踏み入れていない。

 この地域は、アイスランドでもっとも観光化されているはずだ。実際、ブルーラグーンやギャオには100人を超えるくらいの観光客がいたと思う。後者には、見渡せるエリアで数百人はいたかもしれない。
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 5か月前、「何もない荒野をお腹を空かせながら延々走り続けることになるんだろうなあ・・・」と書いた。だから、初日に起こった出来事は「想定外」ではない。
 でもまさか、アイスランド最大の観光地を回りながらそんな目に遭うとはさすがに思っていなかった。

 海外を旅行するときにまずすることは、通りがかりにスーパーマーケットを見つけてミネラルウォーターを大量に購入することだった。
 ところが今回は、どれだけ走ってもスーパーなんて見つからなかった。それでも、その時点ではまだ、「天下御免の大観光地に行くんだから」となめていた。

 ところが、ブルーラグーンの周囲にすら、店は一軒もない。そこからギャオに向かう途中、食事ができそうな場所はケンタッキーフライドチキンただ一軒だったが、アクセスがわかりにくくて通過してしまうと、もう一切のレストランもカフェもスーパーもなくなってしまった。
 ほどなく、溶岩原をえんえんと走ることになった。

 もはや、どんな建物も存在しない。

 お腹を空かせているのはまだしも、喉の渇きには閉口する。やっとのことでギャオを擁する国立公園の入口あたり、きれいな湖を見下ろすロードサイドに車を止めた。
 数台の車がいて、韓国人の女の子が4人、ピクニックランチを楽しんでいた。

 しばらく景色を眺めた後、思い切って話しかける。「アンニョンハセヨ。Do you speak English ?」
 その食べ物や飲み物はどこで買ったのかと聞くと、質問の意図がわかったのだろう、苦笑いしながら「レイキャビク」と声を揃えて答えた。こちらも脱力した笑いを浮かべながら「レイキャビク・・・」とつぶやく。
 「カンサハムニダ。アンニョンヒカセヨ。」

 幸いなことに、しばらく走るとギャオに着き、水を買うことができた。ただし、500mlで300円。いつものヨーロッパなら、それで6リットルくらい買えるだろう。

アイスランド一周なんかやめて、レイキャビクから半径100kmくらいだけの範囲でのんびりするのはどうだろう? それなら悲惨な目に遭うことは避けられそうな気もする。
とも書いた。
 だが、レイキャビク近郊でも、こんな目に遭うのだ。

 前途多難である。

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2016.08.24

★Welcome to HEL(L)

 あらゆる障害を乗り越えて、フィンランドのヘルシンキまではたどりついた。

 東日本を襲った台風はむしろ、われわれには味方して、フライトがキャンセルになった乗客でホテル(日航関西空港)があふれたために、望外のアップグレードを得、ワンフロアに1部屋しかないスイートに泊めてもらった。
 台風の被害を受けた方々には申し訳ないが、それはちょっとした僥倖だった。
 しかしその時、すでに「運を使い果たしたのではないか」という不安がまとわりつきはじめていた。

 定時運行率世界一だか欧州一だかを誇るフィンランド航空は、定刻より10分早く出るというので喜んでいたが、関空での離陸許可が遅れ、結局定刻くらいの出発になった。
 順調なフライトで、定刻にヘルシンキに着く。

 着陸前、フライトアテンダントがやってきて、「乗り継ぎ時間が短いので機の前方に移動してください」と配慮してくれた。お蔭で、15分ほどだけではあったが、ビジネスクラスの旅ができた。

 そこまではよかったのだ。

 だが、単にアイスランドのレイキャビクへと乗り継ぐだけなのに、降機後にセキュリティチェック・入国審査・税関と一通りの洗礼を受けなければならなかった。
 (入国審査は、日本人と韓国人だけはVIP扱いの別レーンでスムーズ、税関は申告なしで素通りしたが、セキュリティチェックで人の話を聞かない家人がひっかかり、数分をロスした)。

 当初からわかっていたのだが、乗り継ぎ時間は40分しかないのだ。
 しかも、実際には出発の15分前にゲートが閉め切られたので、25分しかなかった。

 降機後の一連の洗礼に、バスでのターミナルへの移動、遠くのゲートまでの必死の競歩を加え、アイスランド行きのゲートにぎりぎり滑り込んだ(と思った)。

 ゲートの係員は、われわれを待ち受けていて名前を呼ぶ。

 おお、よかった、間に合った!と思ったのも束の間、ゲートは7分前に閉めきったのでもう搭乗できないという。
 その時点でまだ出発時刻まで8分もあった。少しは食い下がったがやはりどうにもならない。

 教えられたフィンランド航空の乗り継ぎ案内窓口の場所も間違っていた。途方に暮れていたとき、降りてきたパイロットに聞くと親切に連れて行ってくれたのは本当にありがたかった。

 関空からヘルシンキまでの飛行機は満席だったのに、そこからアイスランドへ行こうなどという酔狂な物好きはわれわれ3人だけだったらしい。
 乗り継ぎ窓口の係員は親切にいろいろ対策を考えてくれるのだが、結局のところ、

1.コペンハーゲン経由レイキャビク 21時着
2.ベルリン経由レイキャビク真夜中着
の2択になった。
 もちろん1がいいのだが、コペンからレイキャビクへの座席が確約できないという。もしダメだったら、もう次の日のフライトになってしまう。
 最終的に、2番にせざるを得なかった。

 手続きにものすごく時間がかかったので、その間に電話を借り、レンタカー会社に連絡した(「無料のWifiがあるので、公衆電話はもうどこにもないだろう」と言われた)。

 終わってから、今日の宿にメールした。空港近くの宿なのでこういうことには慣れていて、何時になってもセルフチェックインができるシステムのようで、助かった。
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 今ごろは、もうアイスランドに着いているころだ。だが、いまだにヘルシンキの空港にいて、さらに1時間後のベルリン行きのフライトを待っている。
 それにしても、どうしてベルリンなんかに行かなければならないのだ??

 KIX(関西国際空港)からHEL(ヘルシンキ・ヴァンター国際空港)へ。

 Welcome to HEL(L)という声が聞こえてきた。

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2016.08.20

★旅のおとも

 何もかもが初めてだった二十歳のときのヨーロッパひとり旅の際は、「帰国するまで日本食を食べない」という青臭い誓いをたてて出かけた。

 だが、1か月を過ぎてから、最後の街となったパリでちょっとしたホームシックにかかり、もうどうでもよくなって焼き鳥やらラーメンやらを食べ、そのおいしさに身震いしたものだ。

 味覚というのはどうしようもなく体に染みついているんだなあと実感した。

 その後の旅行では日本食云々のこだわりはない。それでも、できるだけ現地の食べ物を食べたいとは思っている。
 だからというわけではないが、海外に出るのに日本から食べ物を持っていったことは一度もない。そもそも、そういう発想がほとんどなかった。

 しかし、今回の旅行では初めて、インスタントラーメンとレトルトカレーを持っていくことにした。

 向こうでそのふたつが恋しくなるからではない。以前ここにも書いたとおり、ホテルから一番近いレストランが50km以上先で、かつ、一人一食3千円以上かかるとか、そういう状況に陥る可能性が非常に高いからだ。

 いわば非常食である。

 以前、アメリカの田舎(今調べたらワイオミング州だった)で恐竜化石の博物館だかに行った際にちょうどランチタイムになり、そこでは何も食べられそうになかったので、学芸員?に「近くにレストランはありませんか」と聞くと、「30マイル(≒50km)以上走らないとない」と言われて驚いたことがあったが、今回の旅行ではそういうのが毎日のことになりそうで怖い。

 アメリカの砂漠的田舎には行くたびに驚かされているが、アイスランドほど見捨てられた最果ての地を旅した経験はない。まさに deserted island という趣きだ。

 アイスランドの人口がたった30万人ほどだというのは知っていた。だが、旅行の計画をたてはじめるまで、これほどまでに荒涼としたところだとは思っていなかった。
 何といっても北欧なのだというバイアスが、目を曇らせていたのだろうと思う。

 人口密度は日本の100分の1以下。世界でも5本の指に入るほど、人が少ない国なのだ。
 そして、国土のほとんどは火山か溶岩か氷河である。

 なのに、というか、だから、なのか、物価はべらぼうに高い。

 少しでもマシなところに宿泊できるようにがんばるのに必死で、それなりの宿が確保できたら、もうゲームオーバーというか、Mission accomplished という感じだった。
 そのせいで、肝腎の「どこに行きたいか」についてはまだほとんど考えていない。

 まあ、飛行機の中でだって、時間はたっぷりある。滑走路から無事に脚が離れれば。

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2016.08.19

★滑走路から脚が離れるまで

 いちおう仕事を片付け(というか、先送りできるものは先送りし)、やっと旅行モードに入りつつある。

 これまで、「ほんとに行ける日が来るのだろうか」といういつもの感覚がずっとつきまとっていた。
 いつもと違うのは、飛行機とレンタカーを3月に予約してから5か月もの長い期間があったことである。

 病気や怪我から、火山の噴火まで、ありとあらゆる障害が旅を不可能にする。

 一番大きかったのは、複数の身近な人物に問題が生じるかもしれないということだ。
 入退院を繰り返してる老人たちは、今は幸いみんな家にいて、健康とはほど遠い状態ながらもなんとか暮らしている。

 ありがたいことだ。

 だが、今これを書いている右横にも「志村けん 入院し舞台中止に」というニュースが見える。
 まだまだ安心できない。老人たちだけではなく、私たちにだって何が起こるかわからない。
 何も起こらなくても、すでに五十肩で、ふつうに仰向けで寝ることすらできないのだ。

 大した影響があるわけではないが、今日だって、家で旅行のための書類を印刷していると、何の前触れもなく突然プリンタの電源が落ち、二度と入らなくなった。

 台風も近づいている。

 以前は、「何か急な仕事が・・・」ということにまで頭を悩ませていた。しかし、今となっては、そんなことは起こりえないと思える。
 それだけでも恵まれていると言わざるをえない。

 それでも、安心はできない。

 飛行機のチケットを購入した旅行会社からは、「毎年パスポートお忘れによりご出発」「いただけないお客様が多発しております」というメールが届いた。

 多発!

 ほんとうに、何でつまずくかわからない。

 今回は、下手をするとパスポートの切替や国外運転免許証の取得も忘れかねないところだった。
 他に何か忘れてることはないだろうな・・・ そもそも、出発日は合っているのだろうか。

 おそらく、いつものように、関西空港の滑走路から旅客機の脚が離れた瞬間に、やっと、「ほんとうに、行けるんだ」というあの安堵が訪れるに違いない。

 でも、あらゆる障害(今のところ台風がいちばん問題かも)を乗り越えてそこまでたどり着いても、ヘルシンキでの乗り継ぎ時間が40分しかないという事実がおそろしい。

 定時運行率が最高レベルのキャリアだというのだが、それでも9割くらいである。今回は、ヘルシンキの滑走路から脚が離れるまでは安心できない気がする。

 まあとにかく、何ごともなく平和に日々が過ぎてほしい。

 なにも、われわれの旅行のためだけではなく・・・

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2016.08.17

★The Walk

 いやあ・・・ こんなすごい人(Philippe Petit(フィリップ・プティ))が存在した(といってもまだ存命中らしい)なんて、まったく知らなかった。

 必見の映画。

 見終わってから、ロバート・ゼメキスの作品だと知った。それもやっぱりすごい。

(The Walk, 2015 U.S.A.)

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2016.08.14

★早寝早起き

 ふと気がつくと、8月に書いたものが一つもない。もう半ばだというのに。

 理由はおそらく、「早寝早起き」を始めたことだと思う。長い話を省略すると、五十肩がきっかけで通い始めた鍼の先生に言われてそうするようになった。

 前の職場を辞めてから25年以上、早寝早起きとは無縁だった。

 むろん、早起きしなければいけないときはままあるのだが、それが直接早寝には結びつかないし、ふだんはとにかく「不規則な生活」をしていた。

 子どものころからずっと、各方面から「早寝早起き」「規則正しい生活」を言われ続けているのだが、実行できたためしがない。

 ただ、唯一、前の職場に勤務していたころの一時期は、そういう生活に近かったと思う。
 「朝の涼しいうちに勉強しましょう」というのを、言われる方から言わされる方になって初めて、夏休みの午前中は午後より涼しいのが本当だと知って驚いたものだ。

 でも、そのころでさえ、20代半ばの若さで、勤務時間だって長くないのに、ふつうに疲れていた。

 50になって不規則な生活をしていても、当時とそんなに変わっている気がしない。
 つまり、「規則正しい生活」が何かを改善するという実感を持てないのだ。だからやる気が起きない。

 鍼の先生に言われて、コーヒーだって紅茶だって(いただきもののプーアール茶すら)やめている。そして代わりに毎朝、これも指導されたニンジンジュースなんかを飲んでいる。

 これで、体調がよくなったとか、疲れなくなったとかいうのならありがたいのだが、そんな実感はほとんどない。

 ブログが書けなくなっただけである(笑)
 ___

 毎日、なにか一つでも楽しかったことがないと、寝る気がしない。

 だが、楽しみなんか、そう簡単に得られるものではない。仕事で得られればいうことはないのだろうが、そういう日は多くない。
 今のところ、洋もののテレビドラマか映画を見るのがお手軽な楽しみになっている。

 憂き世のつとめを果たして液晶パネルを見たりすると、もう「早寝」の時間になってしまう。いちおう11時なのだが、往々にして12時近くになるし、時には越える。

 まあそれでも、だいたいは早寝早起きをしていると、のんびりブログなんかを書いている時間はない。残念なことだ。

 収穫があるとすれば一つだけ、これまではだれが何と言おうとまず絶対に無理だと思っていた早寝早起きが、案外簡単にできるのを知ったことである。

 まさか、自分にそんなことができるなんて・・・

 要は、やる気になるかどうかだけの問題のようだ。

 でも、だからといって特に体調がよくなったわけでもないし、他のことにやる気がでるかというとそんなこともない。

 なのに、いちおうこの生活が続けられているのが不思議である。きっとそのうちどんどんいいことが起こってくると思いたい。

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