◆官能の一眼レフに想う
思い切って、分不相応な一眼レフを購入した。
つい先日まで、数分の一の値段のコンパクトカメラを買うつもりでいた。
だが、手にして撮影する機会があったカメラに魅せられてしまい、その一週間後には買ってしまっていた。まんまとメーカーの戦略に乗せられたわけである。
もっとも、2年前から欲しいカメラではあったのだが(あ、これでばれてしまいますね。EOS 7D Mark II です、はい)。
一方、十数年前から気になっていて、同じく2年前のモデルチェンジから本格的に欲しくなった本命のレンズ(EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM)は重すぎてダメで、次善の策を模索している。
本命ですら野鳥撮影には厳しいので、次善のレンズではよけい無理なのだが、さて、どうなることやら。
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コンパクトにせず一眼レフにした理由は、オートフォーカスの素晴らしさと連続撮影の能力に惹かれたからだと一応は言える。
飛んでいる鳥を撮りたいというのが一番の動機だ。
だが、吝嗇な私の背中を押したのは、そういう実質的な機能ではない。
最終的に購入することを決めた理由は、間違いなく、そのレリーズ音だった。
写真なんか撮らなくても、レンズをあちこちに向けてシャッターを切っていれば、耳に心地よいリズミカルな音を聞いていられる。
カメラの寿命が縮みそうでなかなかできないが、記録媒体のSDカードを抜いて、何も撮らずにカメラの奏でる音に酔っていたいくらいだ。
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以前の私はこうではなかった。
スペック重視、機能至上主義。
今でもその性癖は残っているものの、明らかにその傾向は減じてきている。
思えば、15年前に買った車も、最後の決め手は「ドアの閉まる音」だった。
しかし、そのときはまだ、スペックにこだわり、できる範囲で最上を求めていた。
2年ほど前に買った今の車は、明らかに前車より格下で、能力も機能も劣る車である。
「いつかはクラウン」(古いな)というような価値観とは以前から無縁だが、それでも、われながらオトナの選択ができるようになったなあと思わないでもない。
購入の決め手は、やはり官能であった。うまく表現できなくてもどかしいのだが、いわば「ソリッドな軽快さ」がもっとも優れていたのが今の車だった。
ドアの閉まる音では負けているが、それも気にならないフットワークとハンドリングだ。
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官能の話になると、今は亡き年長の仕事仲間を思い出す。
パソコンやプログラミングにまで官能を求め、それにこだわる姿は、もうひとつ理解できなかったが、今なら少しはわかる気がするのだ。
「やっぱりパソコンも官能ですよねぇ」
「おお、お前にもやっとわかるようになってきたか」
そんな会話がもはや不可能なことが心に刺さる。
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