★「今の時代には合わない」のではない
大阪府の松井一郎知事(日本維新の会代表)が「戦前・戦中に使われた教育勅語を教材に使用することについて「今の時代には合わない。個々の価値観まで教育の現場で押しつけるのは変な話だ」と述べた」という(朝日新聞朝刊)。
率直に申し上げて、日本維新の会も松井知事もほとんどまったく評価していないが、この発言は悪くない。残りの部分を含め、記事を読む限り、筋の通ったことを言っていると思える。
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ただ、言葉尻をとらえるようで恐縮だが、本質的な問題でもあると思うので、ひと言申し述べたい。
教育勅語の価値観を教育現場で教えることがダメなのは「今の時代には合わない」からではない。
そういう言い方を許せば、では合う時代があったのか、将来また合う時代が来る可能性があるのか、という話になってしまう。
そもそも、「戦前・戦中」なら「時代に」「合」っていたからそれでよかったのか。
歴史上のさまざまな事象には、それぞれ、その時代時代、地域地域の制約や必然・偶然が作用したことだろう。しかしそれでも、よくないことはよくないのだ。
奴隷制度・人種差別・独裁制・民族浄化・・・といった極端な例を挙げればわかりやすいだろう。
教育勅語がダメなのは、「今の時代には合わない」からではない。「人類が目指すべき普遍的な価値に合わない」からダメなのだ。
それは、「今の時代」であろうと「戦前・戦中」であろうと、そして、将来・未来であろうと変わらない。
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難しいのは、「人類が目指すべき普遍的な価値」の中味と、それにどれだけ多くの人々が合意できるかなんだけれど、それを見いだして合意形成していく努力こそ、人類にもっとも求められていることである。とりあえず、教育勅語がその価値観と合致しないのは論を俟たない。
(蛇足ながら、念のためもう一つ引用しておきたい。「西原博史・早稲田大教授(憲法)は「教育勅語がいうのは、天皇を頂点とする国家とそれを構成する家族内の秩序維持のため、つまり天皇のために親孝行せよということだ。そこを切り離して『いいところもある』と評価するのは、まずは無知であると言うしかない」と話す」(asahi.com))
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