■揚げ足取りによる馬鹿馬鹿しい閣議決定の連発
共謀罪にからむ答弁の際に安倍首相が「そもそも」と言った件で、今だに政治資源が浪費されている。
政府は今日、「首相が自ら辞書を引いて意味を調べたものではない」とする答弁書を閣議決定したという(mainichi.jp)。
問題となった首相答弁は、1月26日の衆議院予算委員会でのものだ。そこで使われた「そもそも」の意味がああだこうだと揚げ足を取られ、首相や政府も頭の悪い不誠実な答弁を4か月も繰り返していることになる。
首相が最初「辞書で調べたら『基本的に』という意味もある」と答弁したのは嘘だったのだろう(そういう記載のある辞書は見当たらないし)。次には、誰かが調べてきた「どだい」というのを見つけ、だから「基本的に」だと閣議決定した。
そして今度は、「首相自身は辞書を引いていない」と逃げているのである。
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頭のいい官僚が山のようにバックについているのに、どうしてこういうことになるのか理解に苦しむ。
もしかすると、助け船を出さずに、政治家の馬鹿さ加減を陰であざ笑っているのだろうか。
国会中継を聞いていれば誰でもすぐにわかると思うが、「そもそも」というのは、首相の口癖の一つである。一度数えてみればいいと思うのだが、耳障りなほど「そもそも」を連発している。ちょっと苛立ったときなどにはてきめんに顔を出す。
それだけのことなのだ。
もう一つ、ほんの少しの労を厭わず辞書を引けば、「そもそも」の語義として「改めて説き起こすとき、文頭に用いる語」などがあがっている。こういう言葉の「意味」を説明することは非常に難しいし、別の言葉に言い換えることはまず不可能である。
(「どうせ」とか「せっかく」などという言葉の言い換えを考えてみてほしい。あるいは英語などに訳してみようと試みてみてもいい。)
「改めて説き起こす」「そもそも」の場合、「文頭に用いる」と書かれていることが首相の用法と異なるから答弁に採用されなかったのだろうか。
首相は、「今回は『そもそも』犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」(asahi.com)と述べたのだが、言いたかったのは、「そもそも、今回は犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない」ということではないだろうか。
日本語は比較的語順が自由なので、この程度のことは話し言葉ではいくらでもあることである。
安倍首相を庇うつもりはないが、こういうつまらない言葉尻をとらえて政治資源を浪費している野党も野党だと思う。そして、首相や政府の方も、「口癖が出ただけだ」では格好がつかないのなら、「「改めて説き起こす」ために使ったのだ」と答弁すればそれですんだはずだ。
マスコミがそういう指摘をしないのも腑に落ちない。
こんなつまらないことで4か月にもわたって揚げ足を取り続けたり(野党)、見苦しい答弁書を何度も閣議決定したり(首相・政府)するなど、政治資源を浪費するのは是非やめてほしい。
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