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2019.02.17

◆「アルバイトにもボーナスや夏季・病気休暇を」

 大阪高裁で、非正規職員(アルバイト)にもボーナスを支払い、夏季休暇と病気休暇を与えよ、という判決が出た。
 昨年6月には最高裁が、正規職員と非正規職員の手当の待遇差を「不合理」と判断している。(asahi.com)

 正しい方向に進んでいることは確かに喜ばしい。

 しかし、当の裁判所自体が、アルバイトにボーナスを支払っているとはとても思えない。

 私の職場も役所のような組織だが、ボーナスはおろか、通勤手当すら支払われていない。通勤のための交通費まで自腹だと聞かされたときには、そんなことがありうるのかと驚いて、法律違反ではないのかと思った(が、もちろん現状では合法である)。
 たぶん、裁判所も同じではなかろうか。最高裁の判決から半年以上経つが、アルバイトに通勤手当を支払っているのだろうか。

 もう1点、もしほんとに非正規職員にボーナスを支払うとしたら、その財源はどこにもないので、おそらくは人を減らすことにならざるを得ない。何人かが契約更新を拒否されて解雇され、残った者には僅かばかりのボーナスは出るものの、仕事が回らなくなるだろう。
 それを避けるには、正規職員の賃金を下げるしかない。少なくとも当面は、非正規職員のボーナス分を正規のボーナスを下げて賄わざるをえまい。だが、そんなことをすれば、非正規の肩身はますます狭くなる。

 実はというか、私の職場の一部では、ボーナス時期に正規職員のポケットマネーを集めて、非正規職員に寸志として渡す習慣がある。
 最初に知ったときにはほとんど驚愕した。国の不始末を公務員(当時)の善意で補っているのである。
 「それにしても、なんといういい人たちなんだろう」と涙が出そうになった。

 しかし、一般に、世の中はそんなに甘くない。ほとんどの正規職員は、非正規のボーナスのために自分のそれが減らされることなど承服しないだろう。

 誰の収入も減らさず、誰の首も切らず、誰の仕事も増やさずに、非正規職員に手当やボーナスが支払われ、夏季・病気休暇が与えられれば理想的だと思う。
 だが、悲しいかな、そんな魔法はない。

 ただ・・・ 毎年毎年無駄な仕事を増やし続けるようなことをやめれば、役所的な組織においては十分可能なのではないかと思う(やめることが不可能のようだが)。

 でも、さまざまな工夫を重ねて、すでにぎりぎりだという組織の方が圧倒的に多いだろう。たとえばトヨタの下請け・孫請けなんかにそんな余裕があるとはとても思えない。

 「アルバイトにもボーナスや夏季・病気休暇を」という高裁判決。
 素晴らしい。

 だが、それを手放しで喜べないのがもどかしい。

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