★Over Siberia vol. 3 ──ビジネスクラスって・・・
水平飛行に移ってからしばらくして、昼食が供される。
横!のテーブルの上にはメニューが置いてあるので、それをお預けにしてエコノミーの食事とは考えにくくなった。
60がらみの女性アテンダントがごく自然に食事の選択を聞いてきた。
前菜の前にアミューズ。フレンチのフルコースが始まりそうな勢いだ。
割り箸は高級感に乏しかったが、本物のナイフとフォークもついてくる。
アミューズを食べて、「これ、めっちゃ本格的」と身を乗り出して家人に言う。
その後の前菜が素晴らしかった。私は和風を選んだのだが、料亭の懐石料理もかくや、という味であった。
家人は洋風を選んだのだが、「サーモン」と書いてあったので私は何の期待もしていなかった。それが「えっ !?」と思うほどおいしかった。
メインのビーフシチューはさすがに和牛ではなく、家人が選んだ穴子と帆立の蒸し寿司もあまり感心しなかったが、それでも、エコノミークラスの食事とは比べるべくもない。
食後にアイスクリームを希望すると、ハーゲンダッツがカップごと、ただし、ちょうど食べごろの固さで運ばれてきた。
新幹線のガチガチアイスとは雲泥の差である。
これまで食べたハーゲンダッツの中で一番おいしかった。
___
食後しばらくして、仮眠を取ることにした。
シートは電動である。
そうではないかと思っていたとおり、座席がフルフラットになり、完全に横になって寝ることができるのだ!
後ろの人に気を遣う必要もまったくない。すべては間仕切り内で完結している。
身長180cmでも問題ない。
いつもの毛布ではなく薄い布団が用意されていた。
飛行機に乗るたびに、お題目のように「どうぞ快適な空の旅をお楽しみください」などと言われるが、空の長旅が快適なのはこれが初めてである。
「でも」と家人に言う。「これがふつうの人間が受けるべき待遇だよね。エコノミーの方はあまりにもひどすぎる」
これまでエコノミークラスでさんざんひどい目に遭ってきた者が言うのだから間違いない。
さらに、これからもひどい目に遭い続けるのは必定である。
「こんな贅沢をしてしまったら、次からエコノミーがよけいに苦しくなるね」と家人。
だが、ヨーロッパに行けるだけでもありがたい庶民は、その苦しさを堪え忍ぶしかないのである。
___
これを書き終わったころ、ちょうど飛行機は行程の半分ほどを過ぎて、シベリアのノリリスク近郊にさしかかっている。
このパソコンより大きい画面で映画も見られるが、なんとなく見る気がしない。
映画を見ていると、飛行機が目的地に到着してしまう。
もっとずっと長く飛行機に乗っていたい。
長時間の飛行でこんな気持ちになるのはもちろん初めてである。
追記:その後映画も見た。ノイズキャンセリングではないと思うが、なかなかいいヘッドフォンで、いつもより何倍も楽しめた。
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コメント
う・うらやましー
一度で良いからビジネスなんて乗ってみたかった。
夢は叶えられずに死んでいくのでしょう。
とほほ
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2019.08.22 10:33
私も一生ないと思っておりました。
やはり、日ごろの行いの賜というところでしょうか ^^;
投稿: Wind Calm | 2019.08.22 14:02