★Over Siberia vol. 2 ──望外の・・・
面倒な荷物預けの列に並んだ後は、スムーズに出国して搭乗口まで進んだ。
関西空港でまったく寄り道をせずにゲートまで行ったのは、もしかすると初めてかもしれない。
去年中国に出張したときに見つけた秘密の?通路を家人に見せてやりたかったのだが、そんなことを思い出したころにはもうシャトルに乗っていた。
Wi-Fi のあるうちにと、搭乗口でパソコンの用事を済ませたころ、乗客の金(キム)さんなどを呼び出すアナウンスがあった。
「金様とか言われたって、韓国人の2割くらいは金ではないのか」とか思っていると、当然のことながら韓国語でもアナウンスが流れ、そちらはきちんとフルネームを呼んでいるようだった。
「それにしても」と隣の家人に言う。「こういうふうに「ゲートで呼び出し」ってよくあるけれど、いったいどうして呼び出されたりするんだろう?」
ところが、しばらくして、「ヘルシンキへお越しの氷室様、搭乗口までお越しください」と、自分が呼ばれることになって驚いた。
「パスポートと搭乗券をお願いします」と言われ、何か問題でもあるのだろうかと心配しつつ、訝りながら手渡すと、「ビジネスクラスにアップグレードさせていただきました」と、新しい搭乗券とともにパスポートを返してくれた。
「あ、ありがとうございます」と答えてから、喜びがわき上がってくるまでやや間があったが、それでよかったと思う。下手をすると、係員の前で飛び跳ねてしまうところであった。
ややあって、家人が「これ、DとHだけど、離れてないよね?」と言うので、係員に確認する。確かに、隣が知らないおじさんだなどというのは避けたい。
冷静を装いつつ、先ほどの係員に目配せして呼び、「これ、隣同士でしょうか」と聞くと、しばらく小首を傾げていたが、「ええ、大丈夫です。隣です」と答えてくれた。
微妙に不安だが、まあいいだろう。
「機内食なんかもビジネス用になるのかな?」と家人。聞きかじりの知識で「いや、こういうアップグレードの場合、食事はエコノミーだと聞いたことがある」と答える。
それにしても、ヨーロッパ路線でビジネスクラス・・・
マイレージですら経験はなく、自分でお金を出してなら一生ないような幸運に舞い上がる。
これほどの幸福感を感じたのは、息子が生まれたとき以来、二十数年ぶりかもしれない ^^;
___
望外のビジネスクラスは想像以上に快適だ。
頭が通路と近いのは少し気になるけれど、背の高い間仕切りでちょっとした個室のようになっており、家人だと視線の高さが間仕切りより下になる。
隣だとはいうものの、ふつうに座っているとお互いに姿も見えず、コミュニケーションに支障を来すほどだ。
これだと、隣がおじさんでもぜんぜん問題ない。というより、隣にはだれもいないという感覚に近い。
「前に乗り出したときが何かしゃべりたいとき」というルールが、暗黙裡にできた。
窓際の席でなくなったのが唯一の欠点だが、文句は言うまい。
3年前にヘルシンキを往復したときも機中からの景色は堪能しているし、窓際のエコノミーよりも中央のビジネスがいいに決まっている。
長くなったので、続きはのちほど。
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