★「上級シューフィッター」
途中、もうダメか・・・と観念しかかったこともあったが、今のところ、なんとか旅行に出られそうである。
履いていく適当な靴がないので、この際、新調することにした。
振り返れば、2012年にも同様の理由で靴を買った。
あの時は、靴のために出かけるような余裕がなく、出張先の名古屋のデパートで間に合わせに見繕ったような形になってしまい、「在庫のサイズはこれこれしかないから」というような理由で、ぴったりフィットしているとは言いがたい靴を、それでも私としては大枚はたいて買うことになった。
その靴が悪いわけではないけれど、今度はきちんと買ってみようと思い立った。
私は、服装にはほとんど頓着しないが、靴だけはあんまり安物は履かない。服やズボンと違い、靴はそれなりのものを履かないと、健康に悪いような気がするからである。
そうはいっても、きちんと選んで買うことは稀だし、比較的廉価なものを選ぶことも多かった。
しかし、一年ほど前に、アルピニストである店員のアドバイスを得て、私としてはちょっとした価格の軽登山靴を買った。それで歩くと、以前より疲れが減るばかりか、腰も痛くならなくなったので、靴の機能を再認識させられたところだ。
靴を買うのはそれ以来である。
人生も間違いなく半ばを過ぎ、これからの足腰の健康を考えたとき、靴を適当に選ぶのは間違っていることにようやく気づき、今後はしっかり選択して購入しようと決心した(折しも、#KuToo 運動も盛んである)。
そこで、ネットでいろいろ調べ、数少ない「上級シューフィッター」のいる靴店にわざわざ出向いた。
とんでもなくいろいろ計測されたり質問されたりするかと思っていたのだが、あっさりとそれらを終え、店主が出してきたのはミズノのウォーキングシューズだった。
聞いたこともないような、オランダやドイツのスニーカーの話をネットで読んでいたので、そういうのが出てきて、しかも自分にぴったり!というのを勝手に期待していたのだが、ミズノですか・・・
ざっくばらんに「まさかミズノだとは思っていませんでした」というような話をさせていただき、シューフィッターの団体がオランダのメーカーに委託して作ってもらったという靴なども履いてみたのだが、結局のところ、最初に出していただいたミズノのウォーキングシューズを素直に買うことになった。
まあ一応、歩き方なんかも見てもらい、インソールに加工を施してもらったし、もし具合が悪ければ再加工・再々加工も無料だということであった。
もちろん定価で買ったのだが、帰宅してアマゾンで見ると、同じ靴が5千円ほど安く買える。なにしろミズノだから、型番とサイズさえわかれば、同じものが購入できるのである。
これまでの私なら、5千円の差額にはちょっと耐えられない思いをしたかもしれない。
しかし、上級シューフィッターがそのスキルを駆使して見繕ってくれたことや、今後ありうるかもしれない加工のことを考えると、後悔はなかった。
世話になりながら、「ちょっと考えます」と買わずに帰って、アマゾンに注文するというような非道なこともしたくない。
自分を納得させるためもあるのだが、特に考えたのは以下のようなことである。
自分で靴を選んだら、たぶん間違いなくミズノの靴は買わない。
その靴を、私の足と用途にぴったりだと出してきたのが「上級シューフィッター」である。
これは、名医が診断して苦い薬を処方したというのと同等ではなかろうか。
そう考えれば、5千円はむしろ、診察料・診断料ということになる。
自分も知らない自分の必要なものに導いてくれた専門的知識の行使に、相応の報酬を支払うのは当然のことと言える。
エキスパートのちょっとした(ことにみえる)アドバイスにも、きちんと敬意を払うべきだ。
そう考えると、あっさりと「これ」といってピンポイントで出してきたミズノの靴は、上級シューフィッターならではの慧眼による選択かもしれない。
どんな分野であれ、その道のプロは、複雑な課題にあっさりと回答を出したりする。
素人が「そんな簡単なことだったらお金を払いたくない」などと考えるのは、expertise(専門家の知識や技術)を評価しない、愚か者の思考だ。
___
まあもっとも、あの靴が私にとってあまりよくなかった・・・というようなことがあれば、また違う話になってしまうんだけれど。
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