■2020年初春によせて? ──Ghosn with the Jet
あけましておめでとうございます。
___
2010年の時にも同じようなことを書いたかもしれないが、まさか2020年が来るとは思っていなかった。
これが2000年なら、「どんな未来になっているんだろう?」と、子どものころからいろいろ想像をめぐらせていたのに。
2000年には、空飛ぶ車で街を飛び回ったり、どこか月以外の天体に出かけたりしているはずだったのだが、2020年になっても、とんとそんな気配はない。
ライト兄弟が砂浜でたった数百メートルの飛行に成功してから、人類が月に降り立つまで、わずか66年しかかかっていないのだが、それから50年以上経った現在でも、人類は火星にすら到達できていないのだ。
予想されていなかった?未来としてドローンのようなものがあるが、機械工学的な進歩は、何らかのブレイクスルーがない限り、なかなか難しいだろう。
一方で、電子工学的な、あるいは情報工学的な進歩は凄まじく、昔は誰も未来として想像していなかったインターネットの存在は、われわれの生活だけではなく、地球そのものも変えたし、今後さらに変えていくと思う。
ドローンを可能にしたのも、機械的な進歩というよりは、姿勢制御に関する情報処理技術である。
年末に、竹宮恵子の『地球へ』を読み返していると、自由な星間旅行を実現しているほどの設定で、コンピュータの描写が、まだ磁気テープリールや紙の穿孔テープなのには驚いた。そちら方面に想像力を発揮するのはそれほど難しいということかもしれない。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が描いた未来は、すでに5年前の2015年だと思うが、そこに描かれているテクノロジーが現在でもほとんど実現していない一方、まったく描かれていなかったインターネットは、2000年にはすでにかなり普及していた。
___
こんなことを書こうと思って書き始めたのではなかった。
この年末年始最大のニュースは、何と言ってもカルロス・ゴーン被告の海外逃亡だと思う。
そう思っていたら、新聞の一面トップは、統合型リゾート(カジノ)事業をめぐって、既に逮捕されている秋元司容疑者以外に、5人もの国会議員に現金の賄賂が贈られていたというニュースで、これはこれであきれ果てるしかなかったのだが。
さて、ゴーンである。
すでにいろんな人がいろんなことを言っていると思うのだが、やはり少しは言っておきたい。
まず、彼のような被告人が海外逃亡するというのは、許されざるものであるということは最初に確認しておく。
その上で、こういう形で日本の司法制度が海外から注目され、批判されるのは悪いことではないと思う。
長年、国連や先進諸国から「中世の暗黒裁判のようだ」と改善を求められてきた日本の人質司法がひろく白日のもとにさらされて、一般にもその異常性が知られるのは、こんな機会をおいてない。
国際的な批判をかわすためだろうか、せっかく異例の保釈をしたのに、その被告人に逃げられたのは何とも皮肉なことではあるけれども。
次に、国としては15億円もの収入(保釈金の没収)があってよかったのではないかと思う。
手間暇かけてゴーンを裁いて刑務所に入れても、経費がかかるだけである。逆に15億もうかったと考えた方がいいのではないか。こんなことなら50億とか100億とかにしておけばよかったのに、という気すらする。
逆に感心しないのは、お金と人脈があれば、ゴーンほどの目立つ有名人でも簡単に国外逃亡できたという事実である。
いちおうは平等や公正や正義が損なわれていないとされる国においてすら、刑事被告人の沙汰が金次第というのは、いかにもまずい。
少々の罪を犯しても、結局はカネと人脈で何とかなる、あるいは、カネがそれほどなくても権力と人脈でなんとかなるというのは、この国を深く蝕んでいる病巣みたいなものだと思うのだが、国家側でもその反対側でもそれが同じなのだと思うと、それらを持たない者としてはなんともやりきれない。
最後に・・・
これはまあ冗談みたいなものだが、今回もっとも可哀想なのは、正月休みがなくなってしまった関係者だろう。
当事者にとってはたぶん笑いごとではない。特に検察関係者などが「ゴーン憎し」とさらに燃えるのは避けられまい。
だがまあ、日本が犯罪人引渡条約を結んでいる国が2つしかない以上(ほんとなのかな?)ゴーンほどのカネと人脈を持った者が国外に逃亡すれば、もはや日本の司法の出番はないだろう。
外交力の乏しさは言うまでもない。
正月返上の奮闘も、おそらくは無駄になる。お気の毒に。
___
末筆ながら、本年もみなさまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
| 固定リンク | 0
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- ●iMac(2017)の macOS を High Sierra から Ventura へ(2025.03.01)
- ■ "I gave at the office." と生成AI(2024.09.26)
- ★GPSとiPhoneの旅(2024.08.30)
- ●DTP(Desktop Publishing)(2024.03.13)
- ●iPadOS 16 で、ネットワーク速度が遅い問題の解決法(2022.11.24)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- ◆郵便料金の値上げと「一銭五厘」(2024.10.04)
- ■EUの最貧国?(2024.09.08)
- ■不機嫌なおばさん(2024.09.06)
- ★今年は能登へ(2024.04.30)
- ●いずこも同じ秋の夕暮れ(2023.11.24)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ●20倍の防振双眼鏡(2025.03.16)
- ●iMac(2017)の macOS を High Sierra から Ventura へ(2025.03.01)
- ■あの震災から30年(2025.01.18)
- ■謹賀2025年(2025.01.01)
- ◆郵便料金の値上げと「一銭五厘」(2024.10.04)
「飛行機」カテゴリの記事
- ★今年はポルトガルへ その1(2024.08.17)
- ■外壁の補修(2022.01.15)
- ★「ええこと」3(2021.12.17)
- ◆目指せ! 陸マイラー(2021.10.15)
- ★苦節?半世紀(2020.12.06)
コメント
おめでとうございます。
ほんと、ゴーン事件はショックでしたね。
まさにゴーン!
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2020.01.02 10:29
おめでとうございます。
早速のコメント、感謝申し上げます。
去年はブログがスローペースになりましたが、今年もそれが継続しそうです。
毎日新聞はゴーン海外逃亡が元旦一面トップでした。国会議員5人に贈賄は、朝日のスクープかもしれません。
本年も変わらぬご交誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
投稿: Wind Calm | 2020.01.02 12:44