●銀行の落日
血のつながっていない甥が、政府系金融機関から就職の内定を得たという。
コロナ禍で採用を絞り込んでいる企業も多い中、よかったなあという話をした。
実際、なかなか決まらずに本人も悩んでいたらしい。
結局、内定が出たのは2つだけだったというので、父親である義弟に(甥本人は今も東京にいる)「もうひとつはどこやったん?」と聞くと、「〜銀行」だという。
「え、あの〜銀行?」「そうや」
日本で一二を争うメガバンクである。
それを蹴って、「そんな組織あったっけ?」感のある政府系金融機関に就職するというのだ。
その選択も驚きだったが、義弟がそれを当然だと思っているふうなのにはもっと驚いた。
半沢直樹を持ち出すまでもなく、義弟や私の世代にとって、都市銀行(のちのメガバンク)に就職するのは、高級官僚になるのと並ぶ花形であった。
それを蹴って別の就職先を選ぶなど、ちょっと考えられない。
「知ってるやろ、もう銀行はあかんねん」と義弟。
確かに、ATMの共用化や支店の統廃合、大幅な人員削減等、メガバンクをめぐる情勢は厳しさを増している。ネットバンクなどの台頭も著しい。
会社勤めをしている義弟は、私なんかよりそのことを実感しているのだろう。
それにしても・・・と思う。就職先に苦労していた学生からメガバンクが袖にされるとは。
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それなりの年齢になってきたが、「世の中も変わったなあ」とか「最近の変化にはついていけない」とか思うことはまずない。
でもこれは、珍しくそんなふうに感じさせるできごとだった。
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