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2020.09.14

■国勢調査雑感

 国勢調査の封筒が、ピンポンもなしにポストに入っていた。
 コロナ云々もあり、総務省としてはそれで正常らしいが、自治体によって対応は異なるようだ。

 回答はネットでおこなった。
 日本語を含めて29言語で回答できるのには、ちょっと感心した。

 いつぞやのように、家の間取りやら年収やらを聞かれることもなく、あっさりとすぐに終了した。

 簡便でいいのだが、今年が国勢調査100周年記念にあたるというなら、もっと大々的にいろいろ聞いてもよかったと思う・・・というのはまあ冗談で、相変わらず氏名を答えさせたりするのには辟易する。

 統計調査になぜ氏名が必要なのか。

 紙で回答するときは空欄で出したりもしたのだが、Web回答だと先に進めない。
 ペンネームでも入れておこうかと思ったものの、面倒なことに巻き込まれたりするのも嫌なので、仕方なく本名を記入した。

 なんでも、前回の国勢調査の回収率は9割を切っており、東京ではなんと7割ほどだという。
 もっとも数が多くて肝腎の?東京がそれでは、もはや、国勢調査の意義すら疑わしい。
 政府が信用できず、プライバシーが侵害されそうな気がするのも一因ではなかろうか。

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 それとは別に、許せない質問がひとつあった。

 通勤手段を聞いているのだが、「該当するものすべてを選択してください」と書いてあるのに、「徒歩」を選ぼうとすると、「徒歩のみ」しか選べず、あとは一切選択できなくなるのだ。
 私は、徒歩で行ったり車で行ったりするので(以前は自転車で行くこともあった)両方選びたいのである。

 少し考えてわかったのだが、この設問は「通勤(通学)手段を必ず一つだけ答えさせよう」という意図で作られており、「二つ以上の交通手段」という文言は「自転車で駅まで行って電車を降りてからバスに乗り・・・」などを想定したものなのだ。

 「ふだんは徒歩だが雨の日は車」なんていう人もけっこういるはずなのに(なにせ1億人以上に訊いているのだ)、そんなことすら想定していないのかと思った。
 設問には「おもな」とか「ふだん」というようなことばすらないのである。

 しかたなく「解説」をクリックして開くと、やっと「主に」が出てくる。
 しかし、そういう面倒な手続きなしにサッと答えられるように作るのが、4千万世帯1億3千万人を対象にするような調査の定石だと思うんだけど。
 それに、「「主に」と言われても、徒歩と自転車が半々なんですが・・・」という人だっているだろう。

 頭のいい人たちがさんざん検討して作成しているはずなのに、どうしてこういう頭の悪い設問を作るのだろう?

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2020.09.13

■俗物談義

 何のきっかけだろう? 家人と外で昼食を食べながら「俗物」談義をしていた。

 その最後の方を村上春樹風に。

「それで、あなた自身は俗物じゃないわけ?」
「あのね、俗物になるためにはかなりの社会的地位が必要なんだよ。幸か不幸か、ぼくにはそれが欠けている」
「俗物にすらなれないという理由で、俗物じゃないわけね・・・」
「そういう見方もできるね。それに、たいしたお金もないから成金でもない」
「偉くなれないから俗物じゃなくて、お金がないから成金じゃない・・・なるほど。でももし、地位もお金もあったら、俗物の成金ができあがるんじゃないの?」
「そんな無理な仮定をしてもしかたないよ。現実に、ぼくには地位もお金もないし、したがって俗物でも成金でもない。それでいいじゃないか」

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2020.09.08

■Stand by Me と Labor Day

 何かいい映画はないかと Amazon Prime Video の作品を眺めていたが、どうもいいのがない。

 見たくなるようなのはほとんど見てしまっているし、見ていないものは見る気になれない。

 そんな中、『スタンド・バイ・ミー』が目に入った。
 ものすごく有名な映画だし、主題歌も大好きなので、よく知っている気になっているが、どんな映画だっけ?と思い出そうとしても、子どもが4人で線路を歩く・・・ということくらいしか思い出せない。

 鑑賞中に思い出したのも、橋の上で列車が迫ってきたときに主人公が Train ! と叫ぶ場面と、パンツの中に入ったヒルを取り出して失神する場面くらいである。
 最後に死体を見つけたのかどうかすら、覚えていなかった。

 まあ、たぶん30年以上も前に見たんだろうから、当然といえば当然だが、自分の記憶力のなさにはちょっとげんなりした。
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 見終わってまず驚いたのが、スティーブン・キング原作で、ロブ・ライナー監督だったこと。特に前者。へぇぇぇ。

 そしてなんと! 見た日が偶然にも、アメリカの Labor Day であったことに、後で気づいた。

 大きな?冒険をした4人がオレゴン州キャッスルロックの町に帰って来るのがレイバー・デイ前日の日曜日である。
 それは、ひと夏の終わりであると同時に、主人公たちにとっては小学生の終わりを意味する。

 そして、映画の最後で

"I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve.  Jesus, does anybody?"
(12歳の時のような友だちは、その後2度と持てなかった。だれだってそうだろ?)

というほどの3人の友だちも、うち2人はほどなく

"As time went on we saw less and less of Teddy and Vern until eventually they became just two more faces in the halls."
(時が経つにつれて、テディやバーンに会うことはどんどん少なくなり、とうとう、学校で見かけるその他大勢の中に2人がいるという程度になってしまった。)

というような存在となっているし、一緒に進学コースに進んだクリスとも、彼が死んだ時点で10年以上会っていない。

 ひと夏の終わり、小学生の終わりは、たとえ、小さな町で中学生へと続くだけの途上であっても、実際には大きな終焉を意味するのだ。
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 30年の時を隔てて、記念すべき Labor Day に見た Stand by Me は、同じような年が繰り返される日常にあって、どれほどの大きな終焉を幾度となく迎えてきたかを考えさせられることになった。その終わりにもほとんど気づかないうちに。

 日本で区切りなく暮らす身には、小学校卒業後のレイバー・デイの感慨はないにしても、やはりまた、何かが終わる季節なのだと、似合わぬ感慨にふけらざるをえない。

(Stand by Me, 1986 U.S.A.)

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2020.09.04

■ユニクロのエアリズムマスク雑感

 対人距離が取れる場合はなるべくマスクをしない派なのだが、ほとんどの施設がマスクを要求するようになり、手持ちの分だけでは心許なくなってきたので、ユニクロのエアリズムマスクを購入した。

 マスクを買うために行列にならんだりするつもりはまったくなかったので、ネットの公式ストアからあっさり買えて幸いだった。

 L(ふつう)(どうしてLが「ふつう」なんだよ)を買うと、ぴったりフィットしていい感じではあるのだが、ほどなく違和感に気づいた。

 呼吸をするたびに、膨らんだりしぼんだりするのである。

 ちょうどスーパーに買い物に出かけたので観察してみたのだが、ひとりとしてそんな人はいない。
 私のマスクだけが、風船のように膨らみ、その後で肌に吸い付いてくる。まさに、エアがリズムを刻むように。

 自分の呼吸が荒いのかともちらっと考えたが、これまでのマスクではこんなことはなかった。
 要するに、機密性が高いのである。

 私の買ったのは「メッシュ素材に進化し通気性が向上」とうたわれている新商品だ。
 それでも、他のマスクより圧倒的に機密性が高いのだろう。
 発売されて間もないのに、すでに「お客様の声で進化するユニクロアップデート」を施されている点から見ると、発売当初のものは、これ以上の機密性でかなりのクレームがあったものと思われる。

 だが、モノはマスクである。「メッシュ素材に進化し通気性が向上」なんかして、いいものなのだろうか。
 実際に病原菌の侵入を防ぐN95規格のマスクなど、苦しくて長い間つけていられないほどの機密性を誇る。それでこそのマスクだ。

 実際、一般的な布マスクでは「空気中の粒子の漏れ率(侵入率)が100%」だという研究が出ていた。その「粒子」にはもちろんウイルスも含まれている。
 だいたい、通常のマスクの網目は、ウイルスにとっては存在しないも同然くらいのガバガバなのだ。われわれ人間がウイルスだとすると、ざっと幅100メートル!以上の格子に相当する。
 目をつぶって通り抜けても、ぶつかる心配はないほどの広さである。

 だがそれでも、唾液の大きな飛沫とか、そういうものを防げるから、マスクをする意味はあるのだろう。
 ただ、その程度のものでいいとすると、ユニクロのエアリズムマスクは、明らかに機密性が高すぎる。長い間つけているとだんだん息苦しくなってくるくらいだ。

 「粒子をカットする」「高性能フィルター」など必要ないから、膨らんだりしぼんだりを繰り返さない程度に、もう一度「お客様の声で進化するユニクロアップデート」をしたほうがいいのではないだろうか。

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