■「「風」のコペルニクス的転回」の謎解き!
3年あまり前、はしだのりひこ氏が亡くなった後に、「★「風」のコペルニクス的転回」というエントリを書いた。
できればぜひお読みいただきたいのだが、要するに、
「♪人は誰も ただ一人旅に出て」で始まり、
「そこにはただ 風が吹いているだけ」と続き、
「人は誰も 夢やぶれ振りかえる」で終わる1番の歌詞と、
その流れを引き継いで歌い上げる2番の歌詞が終わった後に、信じられないようなコペルニクス的転回が起こり、3番では
「♪振りかえらず ただ一人 一歩ずつ」
「振りかえらず 泣かないで歩くんだ」という
身も蓋もないとしかいいようのない「前向きな」歌詞が付け加えられていることを初めて知って、愕然とした、という趣旨である。
なんだこの、「風」の世界観のぶち壊しは・・・と啞然として、冒頭にあげた文章を書いたのだ。
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そのコペルニクス的転回の謎が、3年余の時を経て明かされた。
作詞した きたやまおさむ氏自身が語った、「風」の「制作秘話」(本日付朝日新聞be掲載)によると、「きたやまさんが「ただ風が吹いているだけ」と《中略》余韻を残して終わらせようとすると」、作曲した「はしださんが「前向きな終わりにしたい」と抵抗した」というのである。
そのために、「「振り返らずただ一人 一歩ずつ 振り返らず泣かないで 歩くんだ」を加えることになった」そうだ。
「なるほど」と、それで腑に落ちるとともに、自分は きたやまおさむさんの感性と共鳴していたのだとわかって、うれしかった。
きたやまさんと はしださんとは、後に「ある楽曲をめぐって仲たがいし、40年ほど連絡を絶った」という。
40年・・・
ただ、それもむべなるかな、私に言わせれば、「風」のときに仲違いしなかったのが不思議なくらいである。
でも、40年後に「お互いの呼びかけで」はしださんと「再会した」きたやまさんは、今ふりかえる。
「あの曲は、僕とはしだのきずな」だと。
「いま人生を振り返っても、そこにはやっぱり、風が吹いているだけなんです」(きたやまおさむ(74))
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